8月17日、第19回 アジア競技大会(野球競技は10月1日から7日/中国・杭州)に出場する侍ジャパン社会人代表の国内強化合宿3日目が、鹿児島県鹿児島市の平和リース球場で行われた。
11時から始まったこのチームで2回目となる実戦は、西部ガスとの練習試合となった。
序盤から試合は動いた。1回表、先頭の中川拓紀(Honda鈴鹿)が初球を打ち安打にすると、佐藤竜彦(Honda)、北村祥治(トヨタ自動車)も連打で続き幸先良く先制に成功。さらに、向山基生(NTT東日本)にもタイムリーが生まれ2対0と主導権を握る。
しかしその裏、先発の岩本喜照(日本新薬)は制球に苦しみ、立て直すことができぬ間に2点を失い、同点とされる。
その後、4回からマウンドに上がった森田駿哉(Honda鈴鹿)が石井章夫監督の求める「かわすのではなくバッターに対して攻め込んでいく姿勢」を見せ、三者凡退に。守備から流れを作ると、5回表、2死一、三塁から中川は「狙っていました」と北村祥治(トヨタ自動車)とダブルスチールを仕掛け見事に成功させ勝ち越し。さらに向山が1打席目のタイムリーに続き、先発起用に応える三塁打を放ち、4対2とリードを奪う。
しかし6回、好投を続けていた森田が相手打線に捕まり5失点。嫌な流れを断ち切りたい侍ジャパン社会人代表は7回から片山雄貴(Honda熊本)がマウンドへ。ストライク先行の打たせて取る投球で2イニングを零封し、最終回に望みを託した。
4対7で迎えた最終回、2死ながら一、三塁とチャンスを作るも、あと1本が出ず前日に続く連勝とはならなかった。
ふた桁安打と打線の好調さは見られたものの、あと1本が出ず得点力に課題が残る結果となった。だが、石井監督は「(野手は)得点力、(投手は)かわす投球ではなくバッターに対して攻め込んでいく姿勢」と課題を明確にしたうえで、4回の守備から流れを作り5回に得点した部分では「求めている野球ができたのではないかなと思います」と評価し、すでに前を向いていた。
自分自身と向き合うことをテーマに掲げ、練習に励んできた今合宿。それを物語るように、試合後すぐさま場所を鴨池ドームへ移し、佐藤竜彦(Honda)、猪原隆雅(ミキハウス)、丸山壮史(ENEOS)、南木寿也(JR北海道硬式野球クラブ)の4名が個別練習で自身の課題と向き合っていた。映像機器で打撃フォームを見返したり、フリー打撃・トス打撃をしたりなどで約1時間にわたり課題解決に没頭。その中でも、最後まで選手一人一人に向き合い、身振り手振りを交えながら、解決に向けて尽力する石井監督の姿が印象的だった。
18日で国内強化合宿は終了。自慢の足で1点をもぎ取り、打っては2安打と躍動した中川は「長い間アジア大会では優勝できていないと聞いているので、若い自分たちがチームの勢いをつけられるように、全力で頑張って金メダルを獲ってきたいと思います」と頂を見据え、最終日も参加選手たちは自身と向き合いながら更なる成長を模索していく。
選手コメント
下川知弥(NTT東日本)
「(自身の打撃については)侍ジャパンに入ってから、石井監督、内川コーチ、加藤コーチの下で、高めを打っていくことなど、いつもとは違う打撃も積極的に試しています。(アジア大会に向けては)各チームからレベルの高い選手が集まっていると思うので、組織としての力をつけて金メダル目指して頑張りたいです」
中川拓紀(Honda鈴鹿)
「周りのメンバーが世界を経験したすごい選手たちばかりなので、スタメンで出るのであれば、思いきって自分のことに集中し、あとは先輩に任せる気持ちでいいのかなと思っています。チームで戦っていく中で、さらに一丸となっていけるように意識していきたいです」
第19回 アジア競技大会
大会期間
2023年10月1日~10月7日
セカンドステージ(グループA)
10月1日(日)13:00 フィリピン 0 - 6 日本
10月2日(月)19:30 日本 18 - 0 ラオス
10月3日(火)19:30 日本 0 - 1 中国
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
スーパーラウンド
10月5日(木)13:00 韓国 2 - 0 日本
10月6日(金)19:30 チャイニーズ・タイペイ 0 - 2 日本
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
3位決定戦
10月7日(土)13:00 中国 3 - 4 日本
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
開催地
中国(杭州)
出場する国と地域
日本、韓国、チャイニーズ・タイペイ、中国、フィリピン、
香港、タイ、シンガポール、ラオス