9月14日、「カーネクスト presents 第9回 WBSC女子野球ワールドカップ・グループB」の第2戦が広島県の三次きんさいスタジアムで行われ、侍ジャパン女子代表はフランスに20対1の5回コールド勝ちで大勝した。
先発のマウンドに上がったのは広島県尾道市出身の坂東瑞紀(阪神タイガースWomen)。1回表に田中美羽(読売ジャイアンツ)、星川あかり(淡路BRAVE OCEANS)の連打ですぐさま先制すると、その後も打線が繋がり坂東はいきなり6点の援護をもらった。
その分、登板までの時間は要したが「点を取ってくれたので、自分の良い球をどんどん投げて行こうと思いました」と、初回を三者凡退で終わらせるなどテンポの良い投球を続けた。
これが攻撃のリズムにも繋がり、坂東とバッテリーを組んだ英菜々子(埼玉西武ライオンズ・レディース)が5打点を挙げるなど、打線は着実に得点を重ねていった。
坂東は3回に「落ちる球が浮いてしまいました」と3安打を浴びて1点こそ失ったが、後続をきっちりと抑えて3回4安打1失点で中継ぎ陣にマウンドを託した。
4回からマウンドに上がった堀田ありさ(東海NEXUS)も二塁打を1本打たれながらも無失点に抑えると、5回は国際大会初出場の泰美勝(ZENKO BEAMS)が登板。弟に泰勝利(東北楽天)を持つ代表最年少20歳の左腕は、思いきりの良い腕の振りから力強い球を次々と投げ込み三者連続三振。観衆を大いに沸かせる投球で試合を締めた。
試合後、見事に地元で勝利投手となった坂東は記者会見に出席。「こんなに声援をもらえると思っていなかったので、拍手をいただいたりボードを掲げてくださったり、すごく力になりました」と感慨深く語った。
2021年3月に広島県廿日市市で行われた野球教室では、自身が子供の頃は「女子が野球をやる環境があまり無かった」と話していたが、今大会を通して「広島で野球の世界大会が行われることで“日本代表を目指したい”とか“野球を続けたい”と思う女の子が増えてくれたらいいなと思います」と、女子野球の普及にも思いを馳せた。
また家族や友人、中学時代の監督・コーチの目の前で夢だったワールドカップ初出場を果たせたことについて問われると「お世話になった方の前で、ワールドカップに出るという夢が叶ったのが嬉しくて・・・感動しています」と声を震わせた。
15日の第3戦も三次きんさいスタジアムで18時半から試合を行い、ベネズエラと対戦。グループステージ突破に向けて3連勝を目指す。
監督・選手コメント
中島梨紗監督
「今日はリラックスして試合に入ることができました。先頭の田中美羽がクリーンヒットを打ってくれたのが大きかったですね。坂東は試合に集中していたので“力を出し切るだけだよ”と伝えてマウンドに送りました。泰は良さが出ましたね。心強いストッパーになりそうなことは大きいですね。今後は接戦での起用の可能性も十分あります」
泰美勝(ZENKO BEAMS)
「(国際大会初出場だったが)緊張はしていませんでした。弟からは“頑張れー”と連絡がありました(笑)ストレートの調子が良く、最速はこれまで118キロだったので、120キロは自己最速です。点差があったので楽しく投げることができました。今日のように自分のテンポで、これからも投げていきたいです」
英菜々子(埼玉西武ライオンズ・レディース)
「自分らしくできることをしっかりやろうと臨みました。(5打点について)ファーストストライクから振ろうとしたことが良い結果に繋がりました。(3投手のリードについて)みんなストレートが走っていたので押しつつ、変化球もキレていたので要所で使えればと思いました。隙のない野球をこれからもしていきたいです」