8月25日(日本時間26日)、「第6回 WBSC U-15 ワールドカップ」(コロンビア・バランキージャ)の決勝戦が行われ、侍ジャパンU-15代表はプエルトリコと対戦。終盤の美技連発などもあり7対6で競り勝ち、悲願の初優勝を果たした。
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井端弘和監督が一昨年のU-12代表監督就任以来、伝え続けてきたことが史上初の快挙がかかった決勝戦で、見事に結実した。それが「バントせずに打ち勝つ野球」と「ミスした後のプレーの大切さ」だ。
初回、先発を任された林将輝(日高リトルシニア)が制球に苦しむが、なんとか最少失点の1点に抑えると、その裏に四球で出た走者を2番の主将・新井悠河(藤岡ボーイズ)が三塁打で返し、すぐさま同点に。さらに2回は、一塁手・丹羽裕聖(愛知尾州ボーイズ)が一二塁間を抜けようかという打球を横っ飛びで掴んで無失点に切り抜けると、その裏に丹羽の安打からチャンスを作り、大宮翔(東北楽天リトルシニア)のタイムリーで勝ち越した。
3回には林が持ち直せず、押し出し四球や犠飛で逆転を許すが、直後の攻撃で岡田良太(熊本泗水ボーイズ)が同点打、丹羽が勝ち越し打を放ち、すぐさま逆転に成功。その後は2番手・戸倉光揮(狭山西武ボーイズ)の投球や、中島齊志(飯塚ボーイズ)の2点タイムリーで、突き放しにかかった。だが、プエルトリコも5回に1点差に迫るなど粘り、勝負は終盤へ持ち込まれた。
この緊迫した状況でチームを救うビッグプレーがいくつも生まれる。6回には同点打と思われたセンター前安打を処理した小久保颯弥(愛知名港ボーイズ)が強肩を生かして本塁へ鋭い送球をすると捕手・中嶋蒼空(佐倉リトルシニア)が難しいショートバウンドに上手く合わせて捕球し、その勢いで走者にタッチし間一髪アウト。小久保はさらに7回1死一、二塁の場面で左中間を破ろうかとする打球をスライディングキャッチ。「1つひとつ気を抜かずにやってきました」と胸を張った。
そして最後はなおも続くピンチで、三遊間に抜けようかという打球を川上慧(明石ボーイズ)が逆シングルで捕球すると、強肩を生かした矢のような送球で打者走者をアウトにし、試合終了。3回からのロングリリーフで試合を締めた戸倉を中心に歓喜の輪ができた。
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
守備で美技を見せた小久保、中嶋、川上は、この日打撃で無安打の選手たち。「ミスした後のプレーの大切さ」については井端監督がU-12代表監督時も再三選手たちに伝えていたことで、今大会でもミスが続出した初戦のドミニカ共和国戦の後に「1つこれだけは守ってくれ」と、下を向くことだけはないように、力を込めて語りかけていた。
長時間の移動、南米の暑さや慣れない環境、チャイニーズ・タイペイ戦での「あとアウト1つ」からの逆転負けなど、様々な逆境もあったが、井端監督の狙いや思いが伝わり、大会史上初めて日本に優勝トロフィーが渡ることとなった。
監督・選手コメント
井端弘和監督
「大変なこともありましたが、勝ちながら少しずつチームになっていきました。打てない選手は守るということが、最終回に小久保や川上でできましたね。打てないなら守る、エラーしたら打って返す、というのが野球なんでね。強い気持ちをこれからも持ち続けて野球をして欲しいです」
新井悠河(藤岡ボーイズ)※主将
「この大会の初優勝を最高の仲間とできて、嬉しい気持ちでいっぱいです。涙が自然と出てきました。主将に立候補して最初は不安もあったのですが、このメンバーたちなら絶対に世界一になれると思っていたので、主将をやって良かったです」
戸倉光揮(狭山西武ボーイズ)
「胴上げ投手になりたいとずっと思っていたので嬉しいです。落ち着きを装っているだけで内面はすごく焦っていました(笑)バックには何度も助けてもらいました。この世界一の経験を今後の高校野球に繋げていきたいです」
川上慧(明石ボーイズ)
「(最後の好守について)打球が絶対に飛んでくると思っていました。今日は打撃で貢献できなかったので、守備では貢献したいと思っていました。一生懸命やってきた結果が出て嬉しいです」
丹羽裕聖(愛知尾州ボーイズ)
※チーム唯一の2年生
「(決勝打など攻守にわたる活躍)先輩たちに迷惑をかけていたので、なんとしても先輩たちを勝たせようと思って打席に立っていました。発熱してしまった時は泣くくらい悔しかったのですが、試合に出たいという気持ちを常に持っていました。2度と味わえない経験をチームにも伝えるとともに、来年はMVPを獲りたいです」
第6回 WBSC U-15 ワールドカップ
大会期間
2024年8月16日~8月25日
オープニングラウンド(グループA)
8月17日(土)9:00 日本 12 - 9 ドミニカ共和国
8月18日(日)5:00 イタリア 3 - 8 日本
8月19日(月)9:00 コロンビア 3 - 14 日本
8月20日(火)5:00 日本 14 - 0 グアム
8月21日(水)0:30 日本 4 - 2 プエルトリコ
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
スーパーラウンド
8月23日(金)5:00 日本 5 - 6 チャイニーズ・タイペイ
8月24日(土)5:00 日本 6 - 1 メキシコ
8月25日(日)5:00 日本 7 - 2 ニカラグア
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
決勝
8月26日(月)9:00 日本 7 - 6 プエルトリコ
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
開催地
コロンビア(バランキージャ)
出場する国と地域
グループA
日本、ドミニカ共和国、プエルトリコ、コロンビア、イタリア、グアム
グループB
メキシコ、チャイニーズ・タイペイ、ベネズエラ、オランダ、ニカラグア、南アフリカ