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インタビュー

侍ジャパンインタビューVol.2
日米野球開催へ 小久保監督インタビュー【前編】

2014年6月12日

侍ジャパンインタビューVol.2 日米野球開催へ 小久保監督インタビュー【前編】

2014年11月に8年ぶりとなる日米野球が開催されることになり、侍ジャパンがMLBのオールスター軍団に挑みます。3年後のWBCに向けた強化試合として、どのように位置づけて戦うのか――。昨年11月の台湾戦の振り返りから今季の抱負まで、小久保裕紀・代表監督が熱く語ったインタビューを2回に分けてお届けします。

小久保裕紀監督

――2月に12球団のキャンプを精力的に視察されました。狙いはどういうところにありましたか?

もちろん選手の視察が主目的ですが、まずはご挨拶と御礼です。11月の台湾戦は、シーズンオフにも関わらず、主力級を出していただいたチームも多かった。各チームの監督には電話で御礼はさせてもらいましたが、直接お会いして改めて謝意をお伝えしました。さらに今年は秋にも日米野球がありますので、その際はまた選手を派遣していただけるよう改めてお願いしたところです。

――各チームの監督とはどのような意見交換がありましたか。

個別の名前は控えますが、台湾戦から帰ってきた選手で「変化が見えた」とおっしゃる監督がいらっしゃいました。「練習の取り組み方や野球の姿勢が変わった」「自覚が出てきた」と。台湾戦は公式の国際大会ではなく、あくまで強化試合だったのですが、日の丸を背負って戦うプレッシャーといった、普段のシーズンでは味わえない経験から感じるものがあったのではないでしょうか。

――12球団の監督のうち、楽天・星野監督(北京五輪代表)、巨人・原監督(2009年WBC代表)、横浜DeNA・中畑監督(アテネ五輪代表)は、代表を率いた経験があります。経験者として何かアドバイスをもらいましたか?

アドバイスだけでなく、色々話をしていただきました。中には、選手を選ぶ基準などで貴重な経験談をお話いただき、参考になりました。ただ、中身については2人だけで話したことなので企業秘密にさせてください(笑)

――お話しできる範囲で、12球団の監督・コーチとどのようなお話をされましたか?

まず各選手のことをよく知っているのは、所属先の監督やコーチです。たとえば、「この選手は、こういう性格で、こういう風にしてあげたほうが思い切りがよくなる」ということを把握していらっしゃいます。キャンプの視察では挨拶を兼ねて、そのような情報交換をさせていただきました。

小久保裕紀監督

――選手達とも積極的にコミュニケーションを図っていたようですが?

台湾戦は自分自身が初めて監督として試合を動かす立場になりました。いざ采配を振るうとなったとき、ある程度、選手の野球観や性格面で、もう少し事前に知っていれば決断しやすかったな、という反省がありました。そこで3年後の本番(WBC)に向けて、自分の中で選手のことをもっと把握することを課題に掲げ、キャンプの視察でも意識して選手達とそういった話をしました。

――台湾戦のメンバーは、大瀬良投手(九州共立大学、現広島)らアマチュアの選手もいる一方、中田選手(日本ハム)のようにプロで主力になっている選手もいました。各選手にはあの試合の経験をどう生かしてもらいたいと思っていますか。

僕がいま逆に選手の立場に立つと、キャンプからシーズンにかけての時点では、「侍」のことは優先事項ではなくなります。中田選手らを除き、レギュラーを確約された立場にいない選手が多いですからね。キャンプでも必死に取り組んでいる姿をみて、ポジションを獲りに行くという意気込みを感じました。ただ、台湾戦の経験を自分の中で“血”に変えて流れているのであれば意義があったと思います。

――監督ご自身もさきほどお話されたように、台湾戦では課題を感じられていました。指揮官として初めての実戦を振り返ってみると?

正直、経験がない分、1試合目は頭の中がフル回転で大変でしたが、奈良原ヘッドコーチとコミュニケーションを取りながらうまく乗り切りました。選手の時は、キャプテンもしていたのでチーム全体のことは見ていましたが、やはり違います。選手なら集中力を研ぎ澄ますためにベンチで気持ちのスイッチを入れたり切ったりしますが、監督はずっとオンのままです。監督としてのデビュー戦は4時間近い長い試合(3時間39分)だったのに、野球人生で一番短く感じた試合でした。それぐらい集中していたのだと感じます。

――代表監督としての難しさはありますか?

144試合のペナントレースを率いる12球団の監督であれば、勝つことも負けることもある。優勝するチームでも60敗します。しかし自分の場合はそういう戦い方はできません。実戦で多くの経験を積めますが、そういう場も多くありませんし、それでも結果を残さないといけない立場です。そういうなかで台湾戦は経験を積むために試行錯誤する場でもありました。代表監督として初戦に入る前の気持ちであるとか、選手時代にはなかなか味わえないものでしたが、次は落ち着いて臨むことができると思います。そういう意味でも、僕としては3試合経験できたことが一番大きかったです。

ただ、今回は結果的に3連勝でしたので批判はされませんでしたが、負けた時には厳しいお声をいただくことでしょう。どこかでそういう試練が来た時には、しっかり受け止めなければならないと思っています。

(後半はいよいよ日米野球のお話です。お楽しみに)

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