2世代連続「侍ジャパン入り」へ~2014年「第2回IBAF U-15ワールドカップ」代表選手の現在
2016年5月31日
今年、7月29日(金)から8月7日(日)まで福島県いわき市で開催が予定されている「第3回 WBSC U-15ベースボールワールドカップ2016 in いわき」。先日、大会に出場する選手を選出するためのトライアウトが全国5箇所で開催された。侍ジャパンのユニフォームに袖を通すべく、各地でトップレベルの選手たちが熾烈な戦いを見せた。
侍ジャパンが常設されて以降、2014年と2015年にも世界を相手に熱戦を繰り広げてきた侍ジャパンU-15代表。世界との戦いを経験した選手たちは、現在どのような活躍を見せているのか。彼らの現在をレポートします。
西浦、増田、齋藤。外野陣は高校でも主力級へ
2014年当時「第2回IBAF 15Uワールドカップ」代表メンバーの中で高いポテンシャルを見せた外野の選手たち。熊本北リトルシニア(熊本)から明徳義塾(高知)に進んだ3番センターの西浦颯大。長崎リトルシニア(長崎)から横浜(神奈川)へ入学した4番レフトの増田珠、そして横浜泉中央ボーイズ(神奈川)から地元・桐光学園(神奈川)の門を叩いた1番ライト・齋藤健成の3名である。彼らは高校入学後も各校の主力として活躍を続けている。
西浦は1年春四国大会でいきなりデビュー。夏の甲子園ではベンチ入りを逃したが、秋からは3番・ライトとして四国大会準々決勝の新田戦では高校通算10号・公式戦1号を放ち勝利に貢献した。先のセンバツ・龍谷大平安戦で3番ライトでスタメン出場した。
この試合では3打席目でライト前ヒットを放つも4打数1安打2三振に終わり、チームも初戦敗退と悔しい結果に終わった西浦。「侍ジャパンU-18代表に入りたい」と明言する彼にとって2016年度はより重要な一年となる。
増田は強肩と守備範囲が広い外野守備はもちろん、好投手にも屈しないバットコントロールを武器に1年夏から名門・横浜のレギュラーを獲得。1年夏は8試合で打率率.379。1年秋も不動のレギュラーとして活躍した。その総合力の高さはこの世代の外野手でもトップクラス。「横浜・増田珠」の名前が全国でクローズアップされるのも、そう遠くないだろう。
そして齋藤は投手としても135キロ前後の速球を投げる速球派ながら、その強肩や俊足を買われ桐光学園では外野手に専念。1年秋にスタメンの座を獲得すると1番や5番として県大会準々決勝・横浜隼人戦では3安打、準決勝の日大高戦では自慢の強肩で補殺を記録。昨秋の関東大会では、侍ジャパンU-18一次代表候補にも選出された木更津総合(千葉)の左腕・早川隆久から中前安打を放つなど、左投手にもしっかりと対応できる打撃技術も見せている。
センバツにおける「元侍ジャパンU-15戦士」の躍動ぶり
先日行われたセンバツでも「元侍ジャパンU-15戦士」の2年生たちが躍動した。先ほど触れた西浦(明徳義塾)に加え、オールスター福井(福井)から敦賀気比(福井)に進んだ上中尾真季。前橋桜ボーイズ(群馬)から桐生第一(群馬)の鏑木風雅。そして大津北リトルシニア(滋賀)から大阪桐蔭(大阪)に進学した岩本久重の計4名である。
上中尾は同クラブのOBで2015年・第87回センバツの優勝投手・平沼翔太(北海道日本ハムファイターズ)の後を追って敦賀気比に入学。入学当初は投手だったが、野手としての才能を買われ、1年秋には2番センターとして、11試合に出場して打率.279。
続く明治神宮大会2回戦の創志学園(岡山)戦では、侍ジャパンU-18一次代表候補入りした高田萌生から勝ち越しの二塁打を放ち、準決勝の青森山田(青森)戦では満塁走者一掃となる逆転適時二塁打で決勝進出に貢献。侍ジャパンU-15代表時代同様の勝負強さを見せつけている。センバツでは6番を打つも、2試合とも無安打。この悔しさをバネに夏にいっそうの飛躍が期待される。
鏑木は180センチ80キロの大型三塁手。球足が速い打球を広角に打ち返す左打者として1年夏からスタメンの座を獲得。1年秋では主に4番サードを務め公式戦全9試合で打率.303・1本塁打・6打点の好成績。センバツでチームは滋賀学園(滋賀)の前に初戦敗退に終わるも、自身は4打数3安打。三打席目以降の3安打で甲子園にインパクトを残している。夏以降の成長も楽しみだ。
岩本は大型捕手として大阪桐蔭の門を叩くも、ユーティリティー性と長打力を買われセンバツ2回戦・木更津総合(千葉)戦では8番ライトとしてスタメン出場。結果は3打数ノーヒットに終わったものの、チームの高い期待がうかがえる春となった。まずはチーム内のライバルに勝利し、夏に主力選手として活躍できるか注目をしていきたい。
今回は代表20人中、7人の選手を紹介したが、その他にも高田ファイターズ(福岡)から西日本短大付(福岡)に進んだ平島廉。生光学園中(徳島)から明徳義塾(高知)に進み、センバツ入りメンバーを惜しくも逃した近本攻生。伊東リトルシニア(静岡)から進んだ静岡(静岡)で奮闘する竹内奎人など、各地で「元・侍ジャパンU-15」の肩書を背負った戦士たちが活躍の場を広げようとしている。これから春季大会が本格化し、さらに夏の大会になれば、より多くの選手の活躍が聞こえてくるであろう。
今年のU-18アジア選手権を勝ち抜き、来年に開催予定のU-18ワールドカップ(カナダ大会)で何人の選手が再び侍ジャパンのユニフォームに袖を通すことができるのか注目である。