7月29日(金)に開幕する「第3回WBSC U-15ベースボールワールドカップ2016 inいわき」に向けて、ニュージーランドU-15代表チームが22日(金)に日本に到着。翌日、明友硬式野球倶楽部のホームグランドである「ハナマウイボールパーク」で午前9時より練習を行った。「ハナマウイボールパーク」は中学硬式のグラウンドでは珍しい総天然芝。内野にも美しい緑のじゅうたんが敷かれている。

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ニュージーランドU-15代表チームの監督は、NPBの千葉ロッテと横浜・DeNAで通算12年間プレーし、105勝を挙げた清水直行氏である。2004年のアテネ五輪・野球日本代表であり、06年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも日本代表として出場した。現在、ニュージーランド野球連盟ゼネラルマネジャー補佐という肩書きの清水監督は、同国の代表統括コーチでもあり、今年2月にシドニーで行われた第4回WBC予選大会では、ニュージーランド代表チームの投手コーチを務めた(ニュージーランド代表チームは予選敗退)。
清水監督がニュージーランドで野球の指導をするようになった経緯を振り返ると、きっかけとなったのは、第3回WBCでのテレビ局の解説の仕事だった。そこで「世界の野球事情をあまりにも知らない」と気付かされた清水監督は「世界の野球について多くを学びたい」と考えるように。行動派の清水監督は思いをすぐに行動に移し、現役引退後の14年1月より、ニュージーランドで野球普及に取り組んでいる。
9時からスタートした練習はまずウォーミングアップから。やや時差ボケの体をじっくりほぐす。その後、キャッチボールを行い、13年の全国大会でベスト4の明友硬式野球倶楽部の選手4名も交えてのシートノック。内野手の各選手はグラブのハンドリングも巧みで、送球も力強い。声もよく出ている。清水監督は「どんな体勢になっても体をボールに正対させ、正面で捕球するように指導しています」と言っていたが、その言葉通り、ニュージーランドU-15代表チームの選手たちは、構えの段階から、清水監督から教わった守りの基本を意識していた。
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


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
外野に目を向けると、そこではユニークな練習が。テニスラケットを持ったノッカー役のコーチに背を向けて構え、コーチが打った瞬間に振り向いてフライを追う。これは一度目を切る打球処理のための練習だ。
シートノック中は、ミスがあるとコーチが全員を集め、プレーの確認をする光景が目についた。このあたりは″日本流″にも映ったが、清水監督はあえて日本のスタイルを押しつけることはしていないという。
「日本の野球は教育が根底にありますが、ニュージーランドの人はあくまでスポーツとして野球をとらえています。私は使用するグラウンドを整備する大切さや、用具を大事にするなど、″日本流″の指導もしていますが、それを全てとはしないで、ニュージーランド文化もミックスした野球を確立したい、と思っています」
午後からは約1時間半、清水監督が自信を見せるバッティングの練習をみっちり行った。なるほど、日本の高校生くらいの体格の選手が大半のニュージーランドU-15代表チームの打球はとてもパワフルだ。芯をとらえた打球は、あっという間に外野後方に飛んでいく。


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

「打撃では細かい指導はせず、①目の高さを変えない②投手の動きとシンクロさせる③バットはレベルの3つを徹底させています」
清水監督は「第3回WBSC U-15ベースボールワールドカップ2016 inいわき」での目標を「最低でも1勝、できれば3勝」と定めている。ただ「勝負である以上、もちろん緊張感を持って戦う」ものの、思いは少し別なところにあるようだ。
「実はニュージーランドの選手たちを日本に連れてきただけで、大きな目標を達したと思っているんです。いつか連れて来たい、と思っていましたからね。彼らには日本の野球を、それを生んだ日本の文化を肌で感じてほしい。いろんなことを吸収して、自国に持ち帰り、僕は「KIWI野球」と呼んでいるんですが、ニュージーランド独自の野球を作るための糧にしてくれたら、と思っています」
選手たちは日本での初練習で早速刺激を受けたようだ。リース・ロングスタッフ主将は「一緒に練習した明友硬式野球倶楽部の選手たちのグラブさばきや、ライナーで打ち返す打撃はとても参考になりました」と話していた。
刺激を受けたのはニュージーランドU-15代表チームだけではないだろう。ベースボールを楽しんでいるその姿は、″野球道″を美徳とする日本の球児にはまぶしく映ったはずだ。
「世界では様々な国で野球が行われています。日本の選手も日本で完結することなく、世界の野球に目を向けてほしいですね。第3回WBSC U-15ベースボールワールドカップ2016 inいわきがそのための1つの場になれば、と思っています」
ニュージーランドU-15代表チームは、明日も「ハナマウイボールパーク」で練習や練習試合を行い、日本観光や激励夕食会などをはさみ、27日は侍ジャパンU-15代表チームと合同練習を行う予定だ。
第3回WBSC U-15ベースボールワールドカップ2016 in いわき
ニュージーランドU-15代表
大会期間
オープニングラウンド
7月29日(金)12:00 パナマ 16 - 1 ニュージーランド
7月30日(土)10:00 ニュージーランド 3 - 11 メキシコ
7月31日(日)13:30 ニュージーランド 3 - 16 ベネズエラ
8月 1日(月)13:30 アメリカ 16 - 1 ニュージーランド
8月 2日(火)13:30 チャイニーズ・タイペイ 10 - 4 ニュージーランド
コンソレーションラウンド
8月4日(木)~8月7日(日)
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