侍ジャパンの赤星憲広アンバサダーが、2月28日に福岡ヤフオク!ドームで行われた侍ジャパン壮行試合第1戦、対CPBL選抜チャイニーズ・タイペイ戦の視察を行いました。シドニー五輪などで日本代表経験を持つ赤星氏が侍ジャパンアンバサダーの視点で、「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下、WBC)に向けた侍ジャパンの現状や課題をレポートします。
怖さ増す筒香、バッテリー陣は配球に工夫が必要
――初回に先制されて嫌な流れとなりましたが、4番・筒香嘉智外野手が逆方向に上手く流す二塁打で同点に追いつきました。
「筒香選手は、逆方向に打てるようになり、怖さが増しましたね。軽打もできるし、ホームランも打てる。(打球を飛ばす)エリアが広くなっています」
――打線に逆転してもらった則本昂大投手が3回に逆転本塁打を浴び、3回6安打3失点の内容でした。
「良いところと悪いところがハッキリ出たかなと思います。ストレートの球速は今の時点で150km/h超えているので状態は心配ないですが、そのストレートをいい当たりされてしまいました。もしキューバ戦に登板するのであれば、打力があるチームですから、あのスラッター(スライダーとカットボールの間のような変化球)やフォークを使って、ストレートを生かす配球がもっと必要になってくるかなと思います」
――やはり国際大会仕様の配球が必要になってきそうですか?
「日本の打者への攻め方とは違う配球が必要です。海外打者の方がストレートには強いですし、WBCは球数制限(1次ラウンドで65球まで)があります。どうしてもストライク先行でいけないので、打者もそこを狙ってきますから」
乱打戦の中で「流れを切る」大切さ
――打線、特に1番を打つ山田哲人内野手と3番を打つ坂本勇人内野手の調子が上がらないことも気になります。
「(ヒットを示す)“H”のランプが何よりも良い薬になるので、2・3本出た中で本番に臨みたいですよね。そういう意味では(ここまで実戦無安打だった)中田翔内野手の最終打席の二塁打は大きいです。山田選手は内野安打こそ出ましたが、シーズン中ではあまり見られないような空振りがあり、坂本選手も全体的に差し込まれています。ともに“自分のカタチ”ができていないのは気になるところです」
――投手陣も17安打を浴び8失点という内容でしたが、その中で7回に登板した宮西尚生投手の三者連続三振が光りました。
「左打者だけでなく右打者2人からも三振を奪ったのは、本番に向けて好材料でしょう。試合の中でのリズムはとても大切で、宮西投手がぴしゃっと抑えた直後に3点を取り返すことができました。WBCでも乱打戦になることがあるかもしれませんが、そうした状況で相手の流れを切ってくれる投手がいると大きいですね」
――良い流れで戦えてはいないですが、今後どのようなことが必要でしょうか?
「今日の試合のように、早いカウントからどんどん振ってくる打力の強いチームに対して、どのように攻めるかということは参考になったはずです。打たれたからこそ分かることがあるので、本番前にこういう試合があったことを良しとしなければいけません。不安材料が先に出ておいた方が修正は効くはずです。反省点を良い方に捉えて修正していって欲しいです」
アサヒスーパードライ プレゼンツ 侍ジャパン壮行試合
試合日程
2017年2月28日(火) 侍ジャパン 5 - 8 CPBL選抜チャイニーズ・タイペイ
2017年3月1日(水) CPBL選抜チャイニーズ・タイペイ 1 - 9 侍ジャパン
会場
福岡 ヤフオク!ドーム
対戦相手
CPBL選抜チャイニーズ・タイペイ