「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(カナダ・サンダーベイ)に出場している侍ジャパンU-18代表は9月7日、オーストラリアとのスーパーラウンド初戦を延長11回の末、4対3のサヨナラ勝ち。通算成績(グループBのオープニングラウンドからの持ち越しは1勝1敗)を2勝1敗とした。
3対3のまま9回終了。10回以降は無死一、二塁からのタイブレークである。今大会は「選択打順」ではなく「継続打順」が採用。
カナダは10回表、犠打と四球で満塁の好機を作るが、7回から救援した清水達也(花咲徳栄)が得意のフォークで打たせ、投ゴロ併殺で切り抜ける。その裏、日本は先頭の古賀悠斗(福岡大大濠)がバントで送れず、一死一、二塁。続く丸山和郁(前橋育英)が犠打を成功させたが、西巻賢二(仙台育英)が中飛に倒れ、延長11回表へ突入する。
この回から救援したのは左腕・田浦文丸(秀岳館)。オープニングラウンド3試合で9イニング19奪三振と圧倒してきたが、この日は得意の変化球が高めに浮く場面が目立った。犠打と四球で一死満塁。次打者をスライダーで見逃し三振に斬るも、続く八番打者はフルカウントとなる。
ボールが一つも許されない場面で、田浦が捕手・古賀をマウンドに呼び寄せた。「実は自分もタイムを取って行こうと思ったんです。意気投合です」(古賀)。そこでの2人のやり取りがこうである。
「田浦の自信のあるボールは、チェンジアップと内角ストレートなんですが、今日はチェンジアップがあまりよくなかった。そこで『インコース真っすぐで行こう!!』と言った」
田浦はサイン通りに腕を振った。まるで糸を引くようなこん身のストレートが古賀のミットに収まった。相手は手が出ず、見逃し三振。古賀が飛び上がってガッツポーズを見せた。
「鳥肌が立った。これ以上、気持ちの良いことはない。センバツでの延長15回引き分け(対滋賀学園)のときは守りが裏で、あのときの緊迫感を思い出しました。(今日は守りが表)今日のほうがプレッシャーはあります。日の丸を背負っているので。タイブレークは難しいというよりも、きつい」
押せ押せムードの日本はその裏、一死満塁から安田尚憲(履正社)がセンターへはじき返し、中前へサヨナラ安打。古賀は言う。
「スーパーラウンド初戦。入りが大事と言い合ってきました。競って競っての勝負を制したのは価値がある。大きな1勝だったと思います」。3時間19分の熱戦を制した日本。同ラウンドはグループの上位3チームと対戦するが、明日の第2戦は地元・カナダと顔を合わせる。
監督・選手コメント
小枝守監督
「よく守りました。ピッチャー陣が頑張り、指示を出したとおりの力を出してくれた。(先発の)磯村から始まって、清水は苦しい場面、難しいところで田浦も踏ん張ってくれた。最後まで選手を信じた。(明日のカナダ戦へ向けて)後ろを向いても仕方ない。精いっぱい、前へ前へ行きたい」
清宮幸太郎主将
「安田なので打ってくれると思っていました。チームが一つになった。今までで一番、楽しいゲームでした。負ける気もしなかった。10、11回と無失点で切り抜けてくれたので、守備の面が良かった。今日、勝ったことで次につながる試合になった(自身の打撃は3打数無安打、2四球)気持ちの切り替えが大事」
安田尚憲選手
「日本の勝利に貢献できてうれしい。投手陣が粘って2イニング(10、11回)を抑えていたので、あとはバッター陣がやらないとダメだ、と。1本出せて良かったです。頼もしいメンバー20人で、チーム一丸となっている。世界一まで一歩一歩、進んでいきたい」
第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ
大会期間
2017年9月1日~9月11日
オープニングラウンド
9月1日(金)22:30 メキシコ 1 - 10 日本
9月3日(日)5:00 日本 0 - 4 アメリカ
9月4日(月)6:00 日本 7 - 2 キューバ
9月5日(火)3:00 オランダ 1 - 3 日本
9月5日(火)22:30 日本 12 - 0 南アフリカ
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
スーパーラウンド
9月7日(木)22:30 日本 4 - 3 オーストラリア
9月9日(土)6:00 日本 4 - 6 カナダ
9月10日(日)2:00 韓国 6 - 4 日本
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
3位決定戦
9月11日(月)1:00 カナダ 1 - 8 日本
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
開催地
カナダ サンダー・ベイ
参加国
グループA
カナダ、韓国、チャイニーズ・タイペイ、オーストラリア、イタリア、ニカラグア
グループB
日本、アメリカ、キューバ、メキシコ、オランダ、南アフリカ