2017年ドラフト指名を受けた侍ジャパン戦士たち~社会人代表編~
2017年10月31日
10月26日に開催された「2017年 プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」。育成枠を含めて12球団で計114名がNPBへの扉を開いた中、世界一やアジア制覇のために戦った侍ジャパン戦士の多くも夢を叶えている。今回は世代別に3回に分け、彼らの大会での活躍を振り返る。最終回の第3回は台湾での「第28回 BFA アジア選手権」で優勝した侍ジャパン社会人編だ。
10月2日~8日まで開催された「第28回 BFA アジア選手権」を5戦全勝で優勝した侍ジャパン社会人代表24名。大卒1年目の平尾奎太投手(Honda鈴鹿)、笹川晃平外野手(東京ガス)、横浜、福岡ソフトバンクでプレーした細山田武史捕手(トヨタ自動車)を除く、ドラフト対象選手21名中11名が今回ドラフト指名された。
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
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投手は4名。佐野日大時代から好投手の呼び声が高かった最速152キロ左腕・田嶋大樹(JR東日本)はオリックスが2球団強豪の末、1位指名を獲得。入社1年目では第27回BFAアジア選手権、2年目ではWBSC U-23ワールドカップの侍ジャパンメンバーに入る国際経験豊富な田嶋は、大会決勝のチャイニーズ・タイペイ戦で先発5回無失点。大会最優秀選手を手土産に来季開幕ローテーション入りを狙う。
中日1位指名の鈴木博志(ヤマハ)は田嶋と同じく磐田東高卒3年目。BFAアジア選手権でも150キロ~155キロを計測するストレートと130キロ後半のフォークボールで、パキスタン戦では2回4奪三振、スーパーラウンドのチャイニーズ・タイペイ戦でも1回1奪三振。いずれも無失点と竜のクローザー候補らしい結果を残した。
大会ベストナインと最優秀防御率(0.00)を獲得した谷川昌希(九州三菱自動車)は阪神が5位指名。香港戦で3回無失点、韓国とのスーパーラウンド戦では8回無失点。決勝戦のチャイニーズ・タイペイ戦でも9回表登板、胴上げ投手の原動力となった145キロ前後のストレートに、スライダー・フォーク・シュートの高い制球力は、プロ相手にも十二分に通用するはずだ。
千葉ロッテが5位指名したのがNTT東日本の都市対抗初優勝に貢献した右腕・渡邉啓太(NTT東日本)。大会では香港戦、決勝のチャイニーズ・タイペイ戦で1イニングずつリリーフ登板した。140キロ前半のストレートと、変化球のキレとテンポのよさをプロの世界でもさらにレベルアップさせる。

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

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野手は7人が指名を受けることになった。藤岡裕大(トヨタ自動車)は千葉ロッテ2位指名。大会前から巧打・俊足・強肩の総合力の高さはトップクラスと推され、主に3番遊撃手で出場・、15打数6安打。大会ベストナイン遊撃手部門に加え最優秀守備賞も獲得した。千葉ロッテでは即戦力として活躍が期待される。
神里和毅(日本生命)は横浜DeNAが2位指名。大会では主に下位打線ながら自慢のバットコントロールで、香港戦での本塁打含む12打数6安打9打点で大会打点王。50メートル5秒9の俊足を利した走塁と外野守備も含めてプロ1年目から勝負する。また。今年の都市対抗では橋戸賞を受賞し、NTT東日本を優勝に導いた福田周平はオリックスから3位指名。大会では藤岡の陰に隠れる形になったが、広陵高、明治大といった名門チームで積み重ねた遊撃手守備で1年目からアピールしていく。
大城卓三(NTT西日本)は本来、強打・強肩・巧みなリードをウリにする好捕手だが、この大会では強化試合3本塁打の打撃力が評価され、主に指名打者として出場した。読売3位指名を受け、今度は正捕手争いを勝ち抜く意気込みで臨む。そして大会で藤岡と二遊間を組み、リードオフマンとしても15打数5安打と躍動した田中俊太(日立製作所)は大城と同じく読売から5位指名を受けた。東海大相模、東海大を経て、昨年の都市対抗では若獅子賞も受賞した実績を糧に1年目からのレギュラー争いを誓う。さらに高校・社会人と田中俊太とチームメイトだった菅野剛士(日立製作所)は、千葉ロッテから4位指名を受けた。大会5試合で打率.429、8打点パンチ力とミート力を兼ね備えた打撃を武器にプロ1年目から即戦力の活躍を目指す。
若林晃弘(JX-ENEOS)は読売から6位指名。大会では主に8番ないし9番でつなぎ役を演じ、守備でもメインの二塁手ではない三塁手・一塁手として出場。大学までは外野手としてスタメン経験もある若林。どこでも守れるユーティリティぶりを発揮し、プロでも存在感を示す。
彼らを含めた社会人出身選手にプロが求めるのはもちろん即戦力の三文字。先輩たちとの激戦を勝ち抜き、この中から侍ジャパントップチームに名を連ねる選手が出てくることを大いに期待したい。