11月5日、6つの国と地域がアジアナンバーワンをかけて争う第9回BFA U-15アジア選手権(志太スタジアム/静岡県伊豆市)の5日目が行われた。4戦全勝で最終戦を迎えた侍ジャパンU-15代表は、3勝1敗からの逆転優勝を目指した韓国との激戦を1対0のサヨナラ勝ちで勝利し、4大会ぶり2回目の優勝を果たした。
新打順が機能し大量得点
侍ジャパンU-15代表は初回からピンチを迎えた。先発右腕・荻原吟哉投手(私立星稜中)の制球が定まらず2死球で1死一、三塁。だが、ここで相手4番打者の強い当たりのファーストゴロを主将の山田将義内野手(私立駿台学園中)が冷静に処理。まずファーストベースを踏むと、中途半端に飛び出していた三塁走者を挟殺プレーに追い込んで併殺を完成させ、ピンチを脱した。
投手陣も荻原が3イニング、左腕・根本悠楓投手(白老町立白翔中)が3イニングを韓国打線が無失点に抑えた。一方、援護点を挙げたかった打線は韓国先発右腕・KWON JI MIN投手の堂々としたマウンドさばきの前に、あと一本が出ないままホームが踏めず最終回を迎えた。
そして、7回表は守護神・寺西成騎投手(能美市立根上中)がぴしゃりと3人で抑え、この時点で引き分け以上が確定し優勝が決定した。だが「打って勝ちたかった」と伊藤将啓監督(習志野市立第一中)が振り返ったように、あくまで完全優勝を目指した。
すると、先頭の寺西がしぶとい打撃で相手三塁手のエラーを誘い、二塁まで進むと、1死後の打席に今大会絶好調の功刀史也外野手(南アルプス市立白根巨摩中)が立った。
ここで功刀が華麗なバットコントロールでセンター前に打球を運ぶと、代走で三塁まで進んでいた山城航太郎内野手(福岡市立高宮中)が生還。サヨナラ勝ちで5勝全勝の完全優勝が決まり、ベンチから選手たちが飛び出し、一目散に功刀のもとに駆けつけ、喜びを分かち合った。
胴上げを終えた後、伊藤監督は「嬉しいです」と満面の笑みを見せた。そして「危ない場面があったらすぐ彼に代えるつもりでした」と初戦の先発登板以降、多くの場面でブルペン待機していた清水惇投手(高崎市立長野郷中)を称え「清水がいてくれたからこその優勝です。また、濵田世(私立高知中)もベンチで盛り上げ役を買って出てくれました」と影の立役者たちに感謝の言葉を口にした。
試合への出場機会は多い選手もいれば、少ない選手も当然いたが、各自がしっかりとチームのためにできることは何かを考えた結果が4大会ぶりの歓喜に繋がった。
監督・選手コメント
伊藤将啓監督
「投手が一番の勝因ですね。ここ一番の集中力がありました。功刀は振り抜く打撃に変えてからの対応力は素晴らしいものはありました。1試合ごとにヒーローが生まれて、可能性は無限大だなと感じさせてくれました」
功刀史也外野手(白根巨摩中)
※打率.588を記録し大会MVPを獲得
「後ろに良い打者がいたので、三振してもいいという気持ちで打席に立ちました。(MVPは)自分でいいのかなという感じです。チーム全員でコミュニケーションをとってリラックスして試合に臨めました。この思い出を大事にして、今後も泥臭いプレーをしていきたいです」
根本悠楓投手(白翔中)
「最初の香港戦で四球を出してしまったのですが、チャイニーズ・タイペイ戦から足を大きく上げてゆったりと投げるようにしてから修正でき、今日もそれができました。レベルの高い仲間たちとの日々や試合を通じて、自分に足りないことが見つかったので、今後に生かしていきたいです」