第2回 WBSC U-23ワールドカップ(コロンビア・バランキージャ)に出場している野球日本代表「侍ジャパン」U-23代表は10月26日、スーパーラウンド第2戦でベネズエラと対戦。
3対3の8回裏に堀内(楽天)のスリーランホームランで勝ち越した日本が6対3の接戦を制し、開幕から7戦全勝を遂げ、優勝した第1回大会(メキシコ)に続く決勝進出を決めた。
侍ジャパンU-23代表・先発メンバー
(中)島田海吏(阪神)
(遊)大河(DeNA)
(左)岸里亮佑(日本ハム)
(三)内田靖人(楽天)
(一)安田尚憲(ロッテ)
(指)原澤健人(SUBARU)
(捕)堀内謙伍(楽天)
(二)西巻賢二(楽天)
(右)周東佑京(ソフトバンク)
▼投手 種市篤暉(ロッテ)
1点を取りにいく野球を今大会のテーマにしてきた稲葉監督。勝利に徹する執念のさい配が、実を結んだ。3対3で迎えた8回裏一死一、二塁から堀内が右越えへの決勝3ラン。今大会、正捕手として投手の良さを引き出し、1バウンドのボールに対して体を張って捕球してきた司令塔が、バットで試合を決めた。
日本は序盤、いきなり劣勢の展開へ持ち込まれる。1回表、先発・種市が二死一、二塁から先制3ランを浴びた。だが、その裏、二死満塁から、六番・原澤の左前適時打で2点をかえす。3回裏には先頭の四番・内田が中越え三塁打。一死後、またしても原澤が右二塁打を放ち、3対3の同点に追いつく。3打点のDHの原澤は前日まで6試合連続で先発起用されてきた宮澤に代わり、今大会初のスターティングメンバー抜てきだった。「気持ちの準備はできていた。チャンスなので初球から振っていこう、と思っていました。(第2打席は)勢いを信じてストライクを振っていって、結果的に良いところに飛んでいった。チームに少しでも貢献できて良かった」。過去3試合、2打席で安打はなかったが、稲葉監督の起用に見事にこたえてみせたのである。
先発の種市は2回以降も再三、走者を背負う厳しい投球も、失点を許さない。ボールを受けた堀内は言う。「種市は調子自体は良くなかったが、要所を抑えてくれた」。特に2ストライクに追い込んでからのフォークが効果的で、三振がほしい場面で鋭く変化するボールに、ベネズエラ打線は対応できなかった。
日本は4回裏、勝ち越しのチャンスが訪れる。先頭の周東が打った当たり損ねの打球が幸いし、相手投手の一塁悪送球も重なり、二塁へ進塁。ここで打順は一番・島田。第1、2打席とも持ち味の粘りで四球を選んでおり、ここでも良い働きが期待されたが、初球に手を出して左飛。走者を進めることができず、二番・大河の打席の際には、周東が三盗を試みるも失敗。この回は3人で無得点に終わった。5回表二死。ベネズエラの二番打者が放った中前の飛球に対し、島田はダイビングを試みるも捕球できず三塁打となった。このピンチでもマウンドの種市は慌てず、次打者を中飛に抑えて窮地を脱した。しかしながら、日本打線は5回から3イニング連続で安打が出ず、ベネズエラの3番手左腕の力投の前に打ちあぐねていた。
3対3のまま、8回裏の日本の攻撃。先頭の四番・内田が中前打で出塁。ここで今大会、前日まで開幕から6試合連続安打と好調を持続してきた五番・安田に対して、稲葉監督は犠打のサインを出した。指揮官はその意図をこう語る。「内田選手が出て、どうしようか迷った。何とかランナーを進めて、1点を取りたい。安田選手はよくバントを決めてくれた」。安田は初球からバントの構え。2ボール1ストライクからの4球目を投前へ転がして、確実に一塁走者を二塁へ進めることに成功。ルーキーシーズンの今季、一、二軍を通じて記録していない犠打を、この大一番で決めた。
続く六番・原澤は2ボールとした後、申告敬遠により無死一、二塁で打席には七番・堀内。最近2試合は計6打数無安打と当たっていなかったが、この好機で大仕事をやってのける。カウント1ボール1ストライクからの3球目、甘く入ったスライダーを見逃さず、フルスイングした打球は、大きな弧を描いて右翼席へ飛び込んだ。勝ち越し3ランに、堀内は笑顔で振り返った。
「最近は全然当たっていなかったので、フルスイング、それだけを心掛けたら結果がついてきた。何を待つとかではなく、どんな球でも全部フルスイングできるよう準備した。種市ががんばってくれていて、僕も打てなくて悔しかったが、最後の最後にこういう形で打てて良かった。」
3点のリードを奪った稲葉監督は9回裏、8回3失点の種市に代わり、左腕・成田を起用。今大会4試合目、1回2/3を抑えた前日からの連投となったが、打者3人をきっちり抑えた。
日本は唯一の7戦全勝で、スーパーラウンド1試合を残して決勝進出を果たした。明日(現地時間27日)のドミニカ共和国との一戦も、きっちりとした戦いを継続し、連覇を目指す28日の決勝へとつなげていきたいところだ。
監督・選手コメント
稲葉篤紀監督
「初回に3失点したが、すぐに追いつくことができて良かった。何と言っても、種市選手が粘り強く投げてくれたことが、日本に流れがきた要因。投打ともバランスがかみ合っている。攻撃と守りのリズム、切り替えもできており、ピッチャー陣が苦しい状況の中でも粘り強く投げてくれているのが、良い方向にいっている。あと2試合、全員で(白星を)取りにいきたい」
種市篤暉投手
「昨日の試合では、たくさんの中継ぎ投手を使っていたので、最低でも6,7回ぐらいまでは投げなければならないと思っていた。初回にホームランを打たれたが、その後粘れたのは良かったと思う。ここで1勝して決勝に行きたいという思いで今日は投げた。」
第2回 WBSC U-23ワールドカップ
大会期間
2018年10月19日~10月28日
オープニングラウンド
10月20日(土)5:00 日本 13 - 0 南アフリカ
10月21日(日)0:00 チャイニーズ・タイペイ 1 - 3 日本
10月22日(月)0:00 日本 7 - 2 メキシコ
10月23日(火)0:00 日本 5 - 0 オランダ
10月24日(水)10:00 コロンビア 2 - 7 日本
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
スーパーラウンド
10月26日(金)0:00 日本 3 - 2 韓国
10月27日(土)5:00 日本 6 - 3 ベネズエラ
10月28日(日)0:00 日本 4 - 0 ドミニカ共和国
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
決勝
10月29日(月)9:00 日本 1 - 2 メキシコ
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
開催地
コロンビア(バランキージャ)
出場する国と地域
グループA
日本、メキシコ、チャイニーズ・タイペイ、オランダ、コロンビア、南アフリカ
グループB
韓国、オーストラリア、プエルトリコ、ベネズエラ、ドミニカ共和国、チェコ