12月2日、来夏に日本で行われる第43回日米大学野球選手権大会に向けた侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿の2日目が愛媛県松山市の松山坊っちゃんスタジアムで行われた。
3日目の天気予報が雨となっているため、午前に6イニング・午後に8イニングの紅白戦が、参加全投手が2イニングずつ登板する形で行われた。
午前中は各打者が思いきりの良いスイングを見せて2イニングで両チーム合計7得点が入り、檜村篤史(早稲田大)はレフトスタンドへ本塁打を放った。
そんな中、圧巻の投球を見せたのが左腕の早川隆久(早稲田大)だ。3回から登板すると2イニングで打者6人に対して無安打5奪三振。この日最速146キロを計測したスピード・キレともに十分なストレートを軸に変化球も冴えた。11月中旬から早稲田大で小宮山悟新監督(監督就任は来年1月1日付で、現在は特別コーチ)の指導を受け「開きを抑えつつリリースポイントを前に」と意識した新フォームが実った形だ。
生田勉監督は「左投手と右打者」を今回の大きな強化ポイントに据えているだけに、早稲田大の両選手はアピールに成功したと言える。
午後の紅白戦では、まず先発の糸川亮太(立正大)が今秋にエース格としてチームを日本一に導いた実力を発揮。リーグ戦、明治神宮大会でも有効に決まったチェンジアップなど縦に落ちる変化球を低めに集めて、2イニングを無安打に抑えた。これには生田監督も「今日、1番良かったですね」と振り返り「独特の抜け球(チェンジアップ)は日米大学野球で生きると思います」と高く評価した。
力強いストレートで存在感を放ったのは、北山比呂(日本体育大)。例年よりは暖かい気候だったとはいえ、気温の下がるこの12月上旬に150キロを計測し持ち味を大いに発揮。ストレートで押していき、「変化球も良かったです」と縦に落ちるスライダーで併殺を奪うなど堂々の投球を見せた。
また、野手陣は午後も積極的な打撃と走塁が目立ち、内山京祐(中央大)はチーム最多の4安打と1四球ですべての打席で出塁。「レベルの高い投手陣から結果を残せたことは今後の大きな自信になります」と笑顔を見せた。
そして、生田監督は「収穫が大きかったです」と振り返り「今年(2018年度)の代表メンバーを見て構想はできているので、そこに新しい力を加えていけば、かなりのチームができるかなと思います」と手応えを語ったように、各自が持ち味を発揮する充実の紅白戦となった。
最終日の12月3日は練習を午前中に行い、合宿を打ち上げる予定となっている。
監督・選手コメント
生田勉監督
「サインや指示は無いのですが、持ち味をアピールしている選手が多くて頼もしかったですね。特に下級生が野手も投手も目立っていたので楽しみです。日本の特徴として良い投手は毎年出てくるので、あとは野手。特に右打者で力のある打球を打てる選手が少ないので、山川穂高選手(西武)のような選手を発掘できればと思います」
糸川亮太(立正大)
「チェンジアップが有効に決まり、低めの変化球に打者が反応してくれました。(愛媛の川之江高校出身で)ここで投げるのは高校3年の夏以来で懐かしい感じがしました。高校の指導者や後輩も観に来ていただいたので、ホームグラウンドのような気持ちでいつも通りの投球を心がけました」