第43回 日米大学野球選手権大会が7月16日についに開幕する。1972年に第1回が開催され、これまで数多くの激戦と名選手を生み出してきた歴史のある大会だ。
今回は、過去にマーク・マグワイアやジェイソン・ジアンビ、ダスティン・ペドロイアらを輩出するなど、MLB予備軍とも言えるアメリカ大学代表打線と対峙する侍ジャパン大学代表の投手陣を紹介する。
開幕戦の先発が予定される森下暢仁(明治大)
生田勉監督が「チームの大黒柱」と称するのは、森下暢仁(明治大)。最速155キロのストレートに鋭いカットボール、落差のあるカーブを織り交ぜ、プロ野球のスカウト陣から「どの球でもカウントが取れるし、どの球でも三振が奪える」と絶賛されるドラフト1位候補右腕だ。全日本大学野球選手権でも優勝を果たし、名実ともに「日本大学野球のエース」として3度目の日米大学野球に臨む。
一昨年のユニバーシアードや、昨年のハーレムベースボールウィークでは優勝を果たしているが、過去2回の米国開催だった日米大学野球では優勝を逃しているだけに、記者会見では「なんとしてでも優勝して喜びを分かち合いたいです」と強い決意を語った。
先発の2枚目は3年生左腕の早川隆久(早稲田大)が有力で、第2戦の先発が生田監督から既に伝えられている。最速150キロのストレートに加え、キレ味鋭いスライダーやカットボールを投じ、14日に行われた広島東洋カープ二軍戦でも2回をパーフェクトに抑え、順調な仕上がりを見せた。
第2戦の先発が予定される早川隆久(早稲田大)
生田監督は「6日間で5試合があるので」と大会全体を考え、投手を分業制にし、先発投手には球数を目安に交代することを明言している。その中で、重要となるのは試合を締めるストッパー。その役割は2年連続の選出となり、最速154キロのストレートと縦に落ちるスライダーが武器の右腕・伊藤大海(苫小牧駒澤大)が担う。生田監督は「貫禄がある。力でねじ伏せることができる」と伊藤に信頼を置き、「伊藤が後ろにいる安心感を持って投げて欲しい」とその前のセットアッパーの役割に、代表初選出の吉田大喜(日本体育大)と山﨑伊織(東海大)の両3年生右腕を置く構想となっている。
さらには所属チームでの先発経験が豊富でロングリリーフも可能な村上頌樹(東洋大)、内間拓馬(亜細亜大)の両右腕と、左腕・佐藤隼輔(筑波大)も控える充実の布陣となっている。
またバッテリーを組む捕手陣も、強肩でワンバウンド処理にも長ける海野隆司(東海大)を中心に、打力も高く他のポジションを守ることも可能な郡司裕也(慶応義塾大)、佐藤都志也(東洋大)、古川裕大(上武大)が揃い起用法にも幅ができている。
抑えを任される伊藤大海(苫小牧駒澤大)
14日の広島戦では全8投手が登板し8安打5失点。その内容を受けて生田監督は「遠慮なくインコースをもっと使わないといけません」とバッテリー陣に注文をつけた。また過去には「どんな好投手でも(カットボールなどの)半速球をホームランに打たれている」とし、「だからと言ってそれを使わないのではなく、どこかでインコースを攻めて、相手の体を開かせてから使って欲しい」と課題を挙げた。
リーチが長くアウトコースを踏み込んで豪快に本塁打を放つ打者が、アメリカ大学代表には毎大会いるだけに、「インコースへの攻め」は試合展開を占う重要な鍵となりそうだ。