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トップチームに選出された大学生4選手など侍ジャパン経験者17選手が指名を受ける/プロ野球ドラフト会議2024

2024年10月27日

 10月24日に行われたプロ野球ドラフト会議。侍ジャパンのユニホームに袖を通した17選手も指名された。

トップチームにも選出された4人の大学生

 今年のドラフトの目玉となったのは、3月の欧州代表戦でトップチームに選出された大学生4選手で、それぞれが1位指名を受けた。
 侍ジャパンで最も鮮烈な活躍を見せてきたのが、オリックスとの競合の末にロッテが交渉権を獲得した外野手の西川史礁(青山学院大)だ。
 まずは昨年、大学代表に初選出されると「第44回 日米大学野球選手権大会」でチームトップタイの打率.316を記録し、米国開催史上2回目の優勝に貢献。今年の大学代表の欧州遠征でも「第43回 プラハベースボールウィーク」と「第31回 ハーレムベースボールウィーク」の全11試合で安打を記録し両大会の全勝優勝に貢献した。
 さらにその力はトップチームの欧州代表戦でも遺憾無く発揮され、第1戦で代わったばかりのサイドスロー右腕から初球142キロのストレートを迷いなく振り抜くと打球は三塁線を破るタイムリー二塁打。さらに8回には長身左腕から、またもファーストストライクを打ちに行き、レフト前安打。これには井端弘和監督も「初球から振れて、ファウルにならずに飛んでいくのは並の大学生ではないですね」と手放しで称賛。翌日の第2戦ではセンター前に落ちそうな打球をダイビングキャッチ。大いにスタンドを沸かせ、井端監督に「さすが元遊撃手といった思いきりと反応の良さでした」と守備でも称賛された。

 最も多い5球団から1位指名が集まり楽天が交渉権を獲得した内野手の宗山塁(明治大)も、井端監督が「何か助言することを見つけようと思ったのですが、なかなか欠点が見つからない」と唸るほどの逸材。一昨年と昨年に大学代表に選ばれ、第30回 ハーレムベースボールウィークと第44回 日米大学野球選手権大会に出場。特に昨年の日米大学野球では5試合全てに「3番・遊撃手」として先発出場し、華麗な守備などで優勝に貢献した。欧州代表戦では合流前のオープン戦で死球を受けて右肩甲骨骨折。残念ながら出場は叶わなかったが、源田壮亮(西武)らと積極的に意見を交わすなど、高い向上心が垣間見られた。

 投手では欧州代表戦には4球団競合の末に中日が交渉権を獲得した左腕の金丸夢斗(関西大)と、ヤクルトに単独1位指名を受けた右腕の中村優斗(愛知工業大)が選出。ともに第2戦で登板し1人の走者も許さない好投を見せた。
 先発のマウンドを任された金丸は初球から150キロを投じ、スプリットやチェンジアップなども冴えて連続三振を奪うなど4奪三振。2番手で登板した中村も最速157キロのストレートを中心に押していき、1三振を含む三者凡退に抑えて期待に応えた。夏の大学代表では、金丸は怪我で選考合宿前の時点で辞退したが、中村は選出され欧州遠征で活躍。中継ぎで好投を続けると、ハーレムベースボールウィークの決勝戦では堀井哲也監督から「今年のエース」と期待を託され先発に抜てきされた。5回に逆転本塁打を浴び、勝利投手にはなれなかったが、初の国際大会で貴重な経験を積んだ。
 彼らは試合を通してつけた自信に加え、ひと足先にトッププロ選手の姿勢や振る舞いも肌で感じたことも、大きなアドバンテージとなりそうだ。

今年の欧州遠征や昨年の日米大学野球を経験した大学生

 今年の大学代表では、西武にドラフト2位指名された外野手の渡部聖弥(大阪商業大)、オリックスに2位指名された右腕の寺西成騎(日本体育大)、DeNAに2位指名された右腕の篠木健太郎(法政大)、日本ハムに5位指名された内野手の山縣秀(早稲田大)も活躍が目立った。
 渡部は西川とともにフル出場。前年の日米大学野球でも本塁打を放っていたが、2回目の国際大会となった今回は、2大会で11試合9打点と勝負強さを発揮した。
 2017年の「第9回 BFA U15アジア選手権」でU-15代表の抑えとして活躍した時以来の代表選出となった寺西は、プラハベースボールウィーク決勝のチャイニーズ・タイペイ戦とハーレムベースボールウィークのオランダ戦に先発。プラハでは5回3失点と試合を作り、ハーレムではWBC出場経験者を複数擁する打線に対して6回1失点の好投を見せた。中学時代に既に141キロを計測していた寺西は、高校時代や大学下級生時に苦しんだ右肩の故障から見事な復活を遂げた。

 篠木は所属チームとは異なる中継ぎの役割を、2年前の欧州遠征同様に任されたが、その時に続いて安定感抜群の投球を今年も見せ、2大会で6回3分の2を自責点無しに抑える快投を見せた。
 山縣は慣れない天然芝を苦にしない華麗さも堅実さも兼ね備えた遊撃守備で、大いに投手陣を盛り立てて優勝に貢献した。

 この他の大学代表経験者では楽天に5位指名された吉納翼(早稲田大)が今年のハーレムベースボールウィークで打率.158、広島にドラフト1位指名された佐々木泰(青山学院大)が昨年の日米大学野球では9打数無安打と苦しんだ。だが、パンチ力あふれる打撃が首脳陣からも買われていたように、プロ側からも高く評価され吉報が届いた。

U18アジア選手権を戦った高校生やU-23W杯などの社会人選手

 準優勝となった「第13回 BFA U18アジア選手権」の出場選手の中では、全6試合で4番を務めた内野手の石塚裕惺(花咲徳栄)が最も高い評価を得た。ソフトバンクと巨人から外れ1位指名で競合し巨人が交渉を獲得した大型遊撃手は、春の候補選手強化合宿から木製バットで別格の打球を見せると、アジア選手権でも打率.294とまずまずの結果を残し、韓国戦では好守を見せ、攻守で高いポテンシャルを見せた。
 決勝進出の立役者となったのは日本ハムからドラフト2位指名された左腕の藤田琉生(東海大相模)と阪神から2位指名された右腕の今朝丸裕喜(報徳学園)、ロッテから4位指名を受けた右腕の坂井遼(関東第一)だ。
 藤田はスーパーラウンド初戦のチャイニーズ・タイペイ戦に先発し4回3分の2を投げて無失点と好投。さらにその後を継いだ坂井も7イニング制の試合の最後まで無失点に抑えた。坂井は続く韓国戦でも2番手として登板し1失点を喫したものの、今朝丸がその後を無失点で凌いだ。0対1でこの日の試合に敗れたものの、2点差であれば得失点率の関係で決勝進出は無かったため、大きな仕事を果たした。
 迎えた決勝戦では、藤田と坂井が大会規定の球数制限で登板できず、連投で先発となった今朝丸が3回途中2失点を喫するなど4投手で6失点を喫し優勝は果たせなかったが、国際大会が初めての選手が多い中で奮闘を見せた。
 また、ソフトバンクに4位指名された宇野真仁朗(早稲田実)は、2018年の「第10回 BFA U12アジア選手権」に出場したU-12代表以来の侍ジャパン選出となった。今夏は正一塁手として出場。チャイニーズ・タイペイと韓国相手には8打数無安打と悔しい結果に終わったが、2度の国際大会出場は大きな糧となっていきそうだ。

 2022年の「第4回 WBSC U-23ワールドカップ」にU-23代表として、2023年の「第30回 BFA アジア選手権」に社会人代表として出場した右腕の片山楽生(NTT東日本)はオリックスからドラフト6位指名を受けた。U-23ワールドカップではスーパーラウンド最終戦のメキシコ戦で5回無安打投球を見せて決勝進出に導いた。
 日本ハムからドラフト6位指名を受けた右腕の山城航太郎(法政大)は、寺西とともにU15アジア選手権に出場し、最終戦の韓国戦で代走としてサヨナラのホームを踏んだ。当時は控えの内野手ではあったが、視察に訪れていたMLB球団のスカウトが「一番楽しみなのは山城。素晴らしい送球をしている」と語っていたように、当時から今の球威あふれる投球の片鱗となる強肩を見せていた。

 今回指名された選手の多くは、中学時代や高校時代にコロナ禍で国際大会が無かったこともあって、侍ジャパン経験者は限られてはいるが、その希少な機会で貴重な経験を積んだ選手が、今度はトップチームのユニホームに袖を通してくれることを期待したい。

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