第43回 日米大学野球選手権大会開幕を2日後に控えた侍ジャパン大学代表。この日は愛媛県松山市のマドンナスタジアムで広島東洋カープ二軍とのオープン戦が行われた。
先発のマウンドに上がったのは早川隆久(早稲田大)。第2戦(17日・今治)での先発が予定されている左腕は、フアン・サンタナと一軍で3本塁打を放っているアレハンドロ・メヒアから空振り三振を奪うなど2回無安打無四球2奪三振でパーフェクトに抑える好投を見せて、大会本番への期待を膨らませた。
また同じく左腕の佐藤隼輔(筑波大)もメヒアから三振を奪うなど三者凡退に抑える好投を見せた。
一方で打線は初回に宇草孔基(法政大)が初球から打って三塁打とし幸先の良いスタートに思われたが、以降の打者で走者を返せず。また3回にも安本竜二(法政大)の二塁打でチャンスを作るも捕手・中村奨成の牽制球で刺され無得点。さらに5回には無死満塁のチャンスを作るが、ここでも得点は奪えなかった。広島先発のアルフレッド・メナの角度あるストレートとスライダーを中心とした投球の前にホームが遠かった。
投手陣は2番手の村上頌樹(東洋大)が3回に中村の安打と大盛穂に安打を打たれて失点すると、5回には内間拓馬(亜細亜大)が安打や四球などで一死満塁のピンチを作り降板。後を継いだ吉田大喜(日本体育大)がサンタナにタイムリーを浴びて、この回2点を失った。さらに6回にも山﨑伊織(東海大)が正随優弥に2点タイムリーを打たれて、さらに2失点した。
この嫌な流れを払拭したのが、1年生の森下翔太(中央大)だ。7回から代わったサイドスロー左腕・飯田哲矢が投じた外角のチェンジアップを逆方向のライトへ上手く運ぶソロ本塁打を放ち1点を返した。
7回は山﨑、8回は伊藤大海(苫小牧駒澤大)、9回は森下暢仁(明治大)が無失点に抑え、なんとか食らいつきたい9回裏。ここで、一軍経験豊富な中田廉が投じた外角のストレートを、森下が今度はレフトスタンドへ打った瞬間分かる本塁打を放ち、さらに1点を返して意地を見せた。
生田勉監督も「学生野球界の宝。(教え子で現ソフトバンクの)松田宣浩も1年生から代表入りさせてもらっていましたが、森下くんは数段上」と話す逸材が遺憾無くその力を発揮した。
また海外の打者2人、海外の投手1人と対戦ができたことなど収穫と課題を多く得られた意義のある試合となった。
また試合後には愛媛県内の中学生約50人に対して野球教室を実施。スタッフ・選手たちは参加者とともに笑顔を弾けさせるなどリラックスした表情を見せていた。
監督・選手コメント
生田勉監督
「海外投手の速い球をいかに攻略するか?三塁走者がいる場面で打てるのか?これが難しいことが分かったと思います。だから小技がいる、という話をしていきます。8回に投げた(代表経験者の)伊藤と森下は貫禄がありましたね。ただ彼らも最初からそうだったわけではないので、そうした経験談をこの後してもらおうと思います」
早川隆久(早稲田大)
「(サンタナとメヒアからの三振は)スライダーとカットボールで奪うことができました。リーチが長い分、インコースを攻めることができて良かったです。日本の大学野球の代表として恥じぬよう、勝ちにこだわって泥くさくやっていきたいです」
森下翔太(中央大)
「海外投手独特の球質やフォームを経験できたことが良かったです。初めてプロの選手と対戦し、自分に足りない部分がたくさん見えたので吸収していかなくてはいけません。スキルアップに繋がるようノートを見返し、ミスショットをなくせるよう練習から意識していきたいです」