7月20日、第43回日米大学野球選手権大会の第4戦が福島県郡山市のヨーク開成山スタジアムで行われ、侍ジャパン大学代表はアメリカ大学代表に9対1で大勝。これで対戦成績は2勝2敗となり、優勝の行方は21日に神宮球場で18時から行われる最終戦に持ち込まれた。
前日の第3戦で1安打に終わった侍ジャパン大学代表打線がこの日は猛攻を見せた。
まずは3回。先頭の宇草孔基(法政大)がセンターオーバーの打球を放ち、俊足を飛ばして一気に三塁へ。続く海野隆司(東海大)が「ストレートを狙っていたのですが、チェンジアップに上手く反応できました」と、レフトスタンドへ今大会のチーム第1号となる2ラン本塁打を放ち先制に成功した。さらに2死から児玉亮涼(九州産業大)の内野安打と四球、暴投で二、三塁に走者を置くと、牧秀悟(中央大)がセンター前にタイムリーを放って二者が生還し、この回4得点。
また4回には、生田勉監督が「今まで代打出場が主で我慢していたアドレナリンを一気に出してくれる」と送り出した今大会初先発の郡司裕也(慶應義塾大)が逆方向のライトスタンドへ本塁打を放つ。その後も宇草が二塁打で出塁し、海野のバントで三塁に進むと、篠原涼(筑波大)の内野ゴロの間に、もう1点を追加した。
さらに5回には牧がバックスクリーンへソロ本塁打、6回には郡司が今度はレフトスタンドに運ぶ2打席連続のソロ本塁打を放ち、リードを広げる。さらに8回には、今大会初出場の代打・古川裕大(上武大)が犠牲フライを放ちダメ押しの9点目を挙げた。
投手陣も、5回69球を投げて4安打無失点だった第2戦に続き先発した早川隆久(早稲田大)が走者を出しながらも、4回65球3安打無失点で試合を作った。そして5回から村上頌樹(東洋大)が今大会初登板。スローカーブなどで上手く緩急を使い2イニングを無失点に抑えた。
さらに7回は佐藤隼輔(筑波大)が無失点、8回は今大会初登板の内間拓馬(亜細亜大)が無死満塁のピンチを招くも、吉田大喜(日本体育大)が併殺を奪うなど1点に留めた。
そして9回は守護神・伊藤大海(苫小牧駒澤大)が最後に146キロのストレートで三振を奪い試合終了。好投続く投手陣に加え、これまで不調だった打線が12安打4本塁打で9得点を放っての大勝と、この上ない形で優勝のかかる最終戦に向かうこととなった。
優勝をかけた最終第5戦は21日18時から、学生野球の聖地・神宮球場で行われる。侍ジャパン大学代表は3大会ぶり19回目の優勝、アメリカ大学代表は3大会連続25回目の優勝、そして日本開催としては1979年大会以来5回目の優勝を目指す。
監督・選手コメント
生田勉監督
「昨日までは消極的になっていたので“初球からどんどん振っていこう”“カウントが有利な時は強く振ってもいい”と伝えていました。また昨夜にみんなで楽しく食事会をしてリラックスもできたと思います。我々は神宮を目指している(連盟登録者)約3万人の大学生の代表です。その仲間たちの応援を背に堂々と決着をつけたいと思っています」
郡司裕也(慶應義塾大)
「起用に絶対応えたい、思いきって振っていこうと打席に立ちました。(これまで代打起用だったが)常に出場機会をうかがって、常に相手投手を観察して“どう打つか”を頭に入れていました。狙い球を今日はストレートに絞って始動を早く心がけました。選出してもらった期待、日本の大学生の代表としての責任と自覚を持って、なんとか明日勝ちたいと思います」
海野隆司(東海大)
「なんとしても先取点を取ろうと思っていたので、気持ちで持って行った本塁打だと思います。(好投続く投手陣を)データと自分の感覚を合わせ、投手が投げたい球をしっかり投げてもらうようにリードしています。2年連続で負けているので、今年こそは何が何でも勝てるよう攻守で貢献したいです」
ダン・マクドネル監督
「日本開催での優勝は長く果たせていないことを知っていて、今回は必ず勝つと我々は言ってきました。10年前はアシスタントコーチとして来日したが勝てず、10年間この優勝を果たすために準備してきました。(相手や場所は違えど)野球は野球。基本に忠実に戦います」
スペンサー・トルケルソン(アリゾナ州立大)
「日本の投手は投球やフォームなど異なることはあるが、監督も話したように野球は野球。明日はなんとしでも勝つ。今日のような展開はすぐ起こりうること。日本が今日したことを明日は我々がしたいです」