8月29日から韓国・釜山広域市機張(キジャン)郡で開催されていた第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップが9月8日に閉幕した。
侍ジャパンU-18代表は大会を通して3敗を喫して、決勝戦および3位決定戦には進むことができず12カ国中5位。大会最終日を待たずして戦いを終えた。3位までに与えられるメダルを獲得できなかったのは、2012年の第25回大会(当時の名称はIBAF 18Uワールドカップ)以来4大会ぶりだった。
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チーム防御率は参加国ナンバーワンの1.58。スーパーラウンド・カナダ戦で7回2安打18奪三振に抑えベストナインを獲得した奥川恭伸(星稜)を筆頭に各投手が好投を続けた。
特に奥川、佐々木朗希(大船渡)がコンディション不良でなかなかメドが立たないオープニングラウンドで、大きな存在感を放ったのが3試合に登板した西純矢(創志学園)だ。相手に立ち向かっていくマウンドさばきは爽快なものがあった。打っても12打数6安打9打点と大暴れ。南アフリカ戦で2本塁打を放ったことで本塁打王も獲得した。
西と同じく宮城大弥(興南)も投手・野手双方でフル回転し、投打で好成績を収めた。さらに外野守備でも宮城と西は、スーパーラウンド・韓国戦で本塁への好返球を見せてチームを救った。
終盤の短いイニングを任された飯塚脩人(習志野)は、力強いストレートと縦の変化球を軸に4試合6イニングを無失点に抑えた。
一方で、最速163キロを4月の合宿時に計測し、日米のプロ球団スカウトから高い注目を集めていた佐々木は、韓国戦で先発し1イニングのみの登板に終わった。8月26日の壮行試合で潰れたマメが再び潰れてしまったことによるものだが、前日のカナダ戦で中継ぎ待機をし、多くの球数を投げ込んでいたことの影響もあるという。佐々木に限らず、早くからブルペンで肩を作る投手が多くいたが「いつでも行けるような準備」が、10日間で8試合ないし9試合を行う大会スケジュールで必要以上の消耗に繋がったのかもしれない。
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野手陣は3番打者を務めた韮澤雄也(花咲徳栄)が打率.345で一塁手のベストナインを獲得。1番の森敬斗(桐蔭学園)が.320、4番の石川昂弥(東邦)が.333と、軸として起用された打者がその期待に応えた。今年から新設した島田達二分析担当コーチを中心とした対戦国の分析も的確で、特に16得点を奪ったアメリカ戦ではその効果が大きかったことを監督・選手ともに口を揃えた。
一方、守備面では送球ミスなど8試合9失策。記録には残らないミスや、本職が遊撃手の選手が6人おり、普段とは異なる守備位置でボール1つ分2つ分の捕球が届かなかった場面もあった。また、バントシフト時の不手際が失点に繋がることもあった。日本では多くない内野の天然芝や強い雨の中の試合が多かったことは事実だが、来年以降は甲子園大会終了後から始まる短い準備期間で、対応策を練り世界一獲得やアジア王者の奪還を目指していきたい。
何より大事になってくるのは、今回で得た収穫と課題を今後に活かすことだ。これからもU-18代表が世界一に向けた挑戦を続けることはもちろん、これからプロや大学・社会人に羽ばたく選手たちが、どんな形で成長した姿を見せてくれるのか。
そして、1人でも多くの選手が再び侍ジャパンのユニフォームに袖を通したり、各地でこの経験から得たことを伝えたりすることで、日本野球のさらなる繁栄や魅力向上に貢献してほしい。
第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ
大会期間
2019年8月30日~9月8日
オープニングラウンド
2019年8月30日(金)12:00 日本 4 - 2 スペイン
2019年8月31日(土)12:00 南アフリカ 0 - 19 日本
2019年9月1日(日)18:00 日本 16 - 7 アメリカ
2019年9月2日(月)18:00 チャイニーズ・タイペイ 3 - 1 日本
2019年9月3日(火)19:30 日本 5 - 1 パナマ
スーパーラウンド
2019年9月5日(木)18:00 日本 5 - 1 カナダ
2019年9月6日(金)18:00 韓国 5 - 4 日本
2019年9月7日(土)12:30 日本 1 - 4 オーストラリア
決勝・3位決定戦
2019年9月8日
開催地
韓国(機張郡)
出場する国と地域
グループA
韓国、オーストラリア、オランダ、カナダ、ニカラグア、中国
グループB
日本、アメリカ、チャイニーズ・タイペイ、パナマ、南アフリカ、スペイン