東京オリンピックの野球競技開幕を7月28日に控え、野球日本代表の稲葉篤紀監督がインタビュー取材に応じた。後編となる今回は、オリンピックに向けた対策や意気込みを聞いた。
オリンピック特有の難しさ
――24日と25日に強化試合を行いますが、24日の楽天戦は正午開始です（25日の巨人戦は18時開始）。これは同じく正午開始のオリンピック対策でしょうか？
「はい。あえて開始時間を正午にしていただきました。プロ野球のデーゲームは早くても13時からです。選手たちにとって正午からの試合というものは、あまり経験がありません。朝起きての過ごし方や試合に入るまでの過ごし方をしっかり合わせていく狙いです」
――オリンピックでは通常のプロ野球の試合と異なる点がいくつかありますよね。
「例えば、オリンピックの試合前練習はこれまで40分しかなかったので、今回も40分だと思います。40分で練習をして試合に臨まなくてはいけない。また、ベンチに入れるスタッフの数も限られるので、荷物も自分たちで持って行っていかなくてはいけない。やはりオリンピックならではのことが、いくつもありますから対応していかなくてはいけません」
――「オリンピックならでは」で言いますと、大会システムも今までに経験したことの無いものだと思います。まず予選ラウンド（日本はグループA）の2試合はどのように捉えていますか？ 2勝でも、2敗でも金メダル争いは続くシステムです。
「予選ラウンドは1位を取りたいと考えています。2位でトーナメントに進むと、もし初戦で負けてしまったら、その後の試合が連戦になる可能性があります。ですので、我々としてはまずはしっかりと1位通過をしたい。それならば、トーナメント初戦でグループBの1位と戦って、もし負けても、連戦は少ないですから」
――投手起用の予定も組みやすくなりますよね。
「はい。だからこそ予選ラウンドの2試合は大事になってきますし、ここで先発した投手が準決勝だったり、ここで負けられないという敗者復活戦があれば、そこでも投げられるのではないか。そういう想定を、日程を見ながらやっています」
「良いチーム」を作るために
――稲葉監督は選手として2008年の北京オリンピックに出場されていますが、その経験を生かしていきたい、伝えていきたいという部分はどういったところでしょうか？
「やったことのない守備位置をやってもらうことは極力避けたいと思っています。北京の時はG.G.佐藤（佐藤隆彦）選手が、レフトをあまりやったことない中でレフトを守りましたし、西岡剛選手も本職はショートですが、セカンドを守りました。もちろん、試合の終盤になってきて選手が入れ替わり、"どうしても"という場面はあるかもしれませんが、極力は経験の無いポジションは守らせないつもりです。野手13人の中で、控えの選手も含めて、どの選手に怪我や不調があっても補っていけるようなメンバー構成にしていますし、やはり選手が不安なくやってもらえると環境を作ることが大切だと考えています」
――「良い選手を集めるのではなく、良いチームを作りたい」と常々言われてきましたが、そうしたことが1番大事な部分になっていきますか？
「もちろんです。選考について様々なことを言われていたりもしますけども、今の調子良い・悪いに関係なく、チームのために自らの役割を果たせる選手たちを今回集めました」
――最後に東京オリンピックへの意気込みをファンの皆さまにお願いいたします。
「自国開催ということで、たくさんの方にテレビなどを通じて応援していただけると思うので、とにかく我々は1試合1試合に全力を尽くして戦っていく姿をしっかり見せていきます。また、プロ選手が参加できるようになった2000年のシドニー大会以降は金メダルを獲れていないので、金メダルを獲って応援してくださる方たちと、ともに喜びを分かち合いたいです」
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