10月17日、「第4回 WBSC U-23ワールドカップ」(開催地・台湾)のオープニングラウンド第4戦が台中インターコンチネンタル野球場で行われた。侍ジャパンU-23代表は、前日に開催国のチャイニーズ・タイペイに初黒星を喫したが、この日は同じく2勝1敗で迎えたコロンビアを4対1で下し、スーパーラウンド進出を決めた。
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この日はいつにもまして強風が吹く状況ではあったが、今大会2回目の先発となった富田蓮(三菱自動車岡崎)は「アクシデントは想定していました」と落ち着いていた。初回の先頭打者は打ち取った当たりだったもののレフト前にポトリと落ち、さらに味方の失策もあってピンチを招いたが、キレのある141キロのストレートで空振り三振に抑えて先制を許さなかった。
するとその裏、パドレス傘下に所属し150キロを超える球を投じる相手先発のガリンドを、打線がいきなり攻略する。
先頭の中川拓紀(Honda鈴鹿)がセンター前に運んで出塁すると、2番の齋田海斗(TDK)の打席の際に盗塁を決める。齋田も進塁打を放って中川を三塁まで進めると、丸山壮史(ENEOS)が前進守備の間を抜くセンター前タイムリーを放ち先制に成功した。
丸山壮史はここまで3試合8打数無安打と苦しんでいたが、この日の朝にスポーツサイコロジストとして帯同する布施努氏と会話を交わす中で「焦っていた気持ちを整理してもらいました」と球の待ち方を変えた。ストライクゾーンに来た球に対して思いきり打ちに行っていたが「それが海外投手の動く球に対してミスショットになっていたので、今日はゾーンを小さく絞って甘い球を強く打つように変えました」と、考えを転換した成果がすぐさま結果として表れた。
さらに、その後も相手投手の失策でチャンスは続き、6番の猪原隆雅(ミキハウス)が追い込まれてからしぶとく変化球をライト前に運んで2点目を挙げた。
この援護に富田も尻上がりに調子を上げていき、キレのあるストレートで差し込み、カーブで上手く緩急もつけて、4回には三者連続三振。5回には自身のバント処理の悪送球からピンチを広げるが、捕手の城野達哉(西濃運輸)が「送球が来ないと思っていたように見えたので」と、好判断による送球で同点の走者を刺す場面もあり1失点に留めた。
さらに6回には今大会で好救援が続く澤柳亮太郎(ロキテクノ富山)が相手クリーンアップから三者連続三振を奪い、流れを渡さなかった。

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

そしてそれがその裏のダメ押しに繋がる。先頭の大西蓮(JR東日本東北)がライト前に運ぶと、その後相手2番手投手の制球が乱れ満塁。打席に丸山を迎えた時点でコロンビアは速球派左腕を投入したが、丸山は落ち着いて対応し犠牲フライを放つ。さらに途中出場の樫村昌樹(日本製鉄鹿島)も押し出し四球を冷静に選び4対1にリードを広げた。
最後は今大会4連投となる権田琉成(TDK)がキレの良いストレートで寄せ付けず、試合を逃げ切った。そしてこの結果、各組上位3チームまでが進めるスーパーラウンド進出を決めた。
次戦はオープニングラウンド最終戦を日本時間18日15時半から南アフリカと対戦する。
監督・選手コメント
石井章夫監督
「相手のミスもあって、なんとか逃げ切ることができました。富田は2戦目ということもあって落ち着いていました。昨日負けたこともありましたし今日はそんなに点が取れないと思ったので、試合を動かさない方が良いと判断して5回まで続投させました。(丸山もここのところ安打は出ていなかったが)タイミングは合っていたので起用を続けました。勝たなければいけない試合でいろんな選手を使いながら勝つことができました」
富田蓮(三菱自動車岡崎)
「体は軽かったですしマウンドも合っていたので下半身を上手く使って投げられました。尻上がりに良くなっていたのでストレートで押していきました。まだ課題も出ているので今後引き締めていきたいです」
丸山壮史(ENEOS)
「相手が前進守備だったので強い打球を打ったら抜けると思えたのが良い結果に繋がりました。初安打まで時間がかかり、使ってくれた監督や待ってくれたチームメイトのおかげでもあるので、これからの試合も大事なところで打っていきたいです」
権田琉成(TDK)
「先頭をデッドボールで出してしまいましたが、すっぽ抜けだったので叩きつけるくらいの気持ちでその後は投げました。(4連投で)疲れはありますが、普段と同じ準備をしているのでストレートの勢いも良い感触です」
第4回 WBSC U-23ワールドカップ
大会期間
2022年10月13日~10月23日
オープニングラウンド
10月14日(金)18:00 ドイツ 0 - 6 日本
10月15日(土)15:30 ベネズエラ 2 - 5 日本
10月16日(日)20:00 日本 1 - 3 チャイニーズ・タイペイ
10月17日(月)15:30 日本 4 - 1 コロンビア
10月18日(火)15:30 南アフリカ 0 - 9 日本
スーパーラウンド
10月20日(木)15:30 日本 2 - 1 オーストラリア
10月21日(金)15:30 韓国 1 - 2 日本
10月22日(土)14:00 日本 4 - 2 メキシコ
決勝
10月23日(日)20:00 日本 3 - 0 韓国
※開始時刻は日本時間(台北:時差-1時間)
開催地
台湾(台北)
出場する国と地域
グループA
日本、チャイニーズ・タイペイ、コロンビア、ドイツ、南アフリカ、ベネズエラ
グループB
オーストラリア、キューバ、メキシコ、オランダ、プエルトリコ、韓国