3月9日に東京ドームで開幕する『カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 東京プール』(以下、WBC)に向けて2月17日から宮崎キャンプをスタートさせる侍ジャパントップチーム。
ともに戦う30選手も決まり、いよいよ臨戦体制に入る栗山英樹監督へインタビュー。その模様をお伝えする連載第1回目は、初選出の選手やMLBでの挑戦を続ける中で出場を決めた選手への思いや期待などを聞いた。
初選出の選手への期待
――発表した30選手は昨シーズンの開幕当初に思い描いていた30人とは大きく変わりましたか?
「大きくということは無いですね。まず60人から70人の幅にはしていましたし、各選手の今の状態ならこの30人だと思いました」
――今回初選出となった宇田川優希投手(オリックス)が象徴的であるように、選手の成長を感じるところも大きかったでしょうか?
「勢いがあって一気に駆け上がっていくような選手も選びたいという思いがありました。経験豊富な選手の方が計算しやすい部分はありますが、勢いでビックリするようなところまで到達する選手も必要ですから、バランスを見て、丁寧に考えて、自分の中で決断しました」
――捕手では大城卓三選手(巨人)が初選出となりましたが、どのようなことを評価されたのでしょうか?
「攻撃的な捕手を1人入れたいという中で、日本ハムの監督として大城くんにやられまくったイメージがあったので選ばせていただきました」
ヌートバー選手選出の意義
――ラーズ・ヌートバー選手(カージナルス)が日系人メジャーリーガーとして初めて代表入りしましたが、日系人選手のリストアップはどのように行われたのでしょうか?
「可能性があってチームに貢献できそうな選手をピックアップしました。その中で参加資格がありそうな選手には基本的に全員にアプローチしました。一番勝ちやすい形に準備するのが自分の仕事だったので、そこは多くの選手たちに確認させてもらいました」
――その中でヌートバー選手が選ばれたのは、どのようなことを評価されたのでしょうか?
「初めてこうした日系人選手が入ってくるという中では最高の選手です。一生懸命で性格も良く、能力も技術も高いですから。一方で、選手の出場資格の規定が厳しくて、彼しかない形になってしまったところもあります。そこはNPBだけでなくMLB全体で良いか悪いかはやっていかないと分からないのですが、思っていたよりも厳しかったというのが事実ですね。」
――ヌートバー選手のことを「吸収力や向上心のある選手」と評していましたが、どのような瞬間や場面から感じるのでしょうか?
「それはプレーを見ていればすぐに分かりますし、話していてもよく分かります。ヌートバー選手のセンターというのはこちらとしてもベストな選択でした。(日系人選手の選出について)賛否があるのは分かるのですが、これに関しては長い歴史が証明していくものです。その1枠によって日本でプレーする選手の場が1人減るということも分かっています。ただ、これからの野球界のために僕は前に進みたかったので進ませていただきました」
――規定などの関係ももちろんありますが、ラグビー日本代表では海外出身選手が複数いますし、他のスポーツを見ても両親もしくはどちらかの親が海外出身だという選手が非常に増えています。
「子供たちへのメッセージとしても、子供の時から自然に違う国の人が隣にいるとなれば、いまだに戦争が起こる世の中に対して“スポーツがやらなければいけないことがある”と思うのです。ちょっと偉そうかもしれませんが、そういう意味もWBCにはあると自分の中でしっかり考えさせてもらいました」
吉田正尚選手、鈴木誠也選手への期待・感謝
――異例といえば吉田正尚選手(レッドソックス)もMLB挑戦1年目ながらの選出となりました。
「MLB1年目の選手はMLB挑戦が決まった段階で僕は頭の中から消すと決めていました。“あれだけ早い段階で、あれだけ良い契約でレッドソックスに決まって良かったな”と思っていたのですが、本人と話していく中で“MLBで活躍することと、WBCで活躍することが僕の夢なのです”とハッキリ言ってくれました。その熱い言葉をすごく大切にしないといけないと思いましたし、MLBへの挑戦に対して迷惑になってもいけないとも思いました。だから、すごく考えましたけど、最終的には感動したその魂をお借りすると決めました」
――鈴木誠也選手(カブス)は能力に加えてプレミア12、東京オリンピック、MLBを経験している。彼の存在も大きいと思うのですが、いかがでしょうか?
「本当に大きかったですね。MLB挑戦1年目の昨年は彼としても不本意なシーズンを送りましたし、“なにがなんでも”という責任感の強い選手なので、きちんと準備をしてカブスのために(という気持ちになる)というのが想像できました。その中で難しい決断を迫ったのですが、自分のことだけではなく、これからの野球界や子供たちへの思いを形にしてくれました。ただただ感謝ですね」
第2回へつづく
【第1回】「世の中に対してスポーツがやらなければいけないことがある」
【第2回】思い描くWBC制覇への戦略
【第3回】「日本野球の魂」を胸に刻んで
2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™
試合日程
カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 強化試合
2023年3月6日(月) 18:00 阪神タイガース 1 - 8 日本
2023年3月7日(火) 19:00 日本 9 - 1 オリックス・バファローズ
カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 1次ラウンド 東京プール
2023年3月9日(木) 19:00 日本 8 - 1 中国
2023年3月10日(金) 19:00 日本 13 - 4 韓国
2023年3月11日(土) 19:00 日本 10 - 2 チェコ共和国
2023年3月12日(日) 19:00 オーストラリア 1 - 7 日本
カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 準々決勝ラウンド 東京プール
2023年3月16日(木) 19:00 日本 9 - 3 イタリア
準決勝
2023年3月21日(火) 8:00 日本 6 - 5 メキシコ
決勝
2023年3月22日(水) 8:00 日本 3 - 2 アメリカ
開催球場
台中インターコンチネンタル野球場、東京ドーム、チェイス・フィールド、ローンデポ・パーク
強化試合:京セラドーム大阪、ひなたサンマリンスタジアム宮崎、アイビースタジアム
出場チーム
プールA
チャイニーズ・タイペイ、オランダ、キューバ、イタリア、パナマ
プールB
日本、韓国、オーストラリア、中国、チェコ共和国
プールC
アメリカ、メキシコ、コロンビア、カナダ、イギリス
プールD
プエルトリコ、ベネズエラ、ドミニカ共和国、イスラエル、ニカラグア
カーネクスト侍ジャパンシリーズ2023 宮崎
試合日程
2023年2月25日(土) 13:30 侍ジャパン 8 - 4 福岡ソフトバンクホークス
2023年2月26日(日) 14:00 福岡ソフトバンクホークス 2 - 4 侍ジャパン
開催球場
ひなたサンマリンスタジアム宮崎
出場チーム
侍ジャパン、福岡ソフトバンクホークス