3月9日に東京ドームで開幕する『カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 東京プール』(以下、WBC)。6年ぶりに開催される世界最高峰の戦いで、侍ジャパンは3大会ぶり3回目の世界一への期待がかかる。そこで今回は、2017年の前回大会で投手コーチとしてチームを支えた権藤博さんに、前回大会の振り返りと今大会への期待を聞いた。
紙一重の戦いの連続だった
――前回のWBCから6年が経ちますが実感としていかがですか?
「この侍ジャパンのユニホームを着たらいろいろ思い出してきましたね。アメリカに負けたのが悔しかったですが、厳しい戦いの中よくぞ勝ち進んだなと思います。一戦一戦で、”うわ、やられたな”って思った場面がいくつもあった中でしぶとく良い戦いをしました」
――壮行試合や強化試合でなかなか勝てないこと(大会前の実戦は2勝3敗)もありました
「そんなものはなんとも思いませんでしたね。やっぱり大会始まってからですよ。苦しかったのは。難しい試合ばかりでした。(1次ラウンドのオーストラリア戦では)2番手の岡田俊哉が全然ストライク入らなくてね。でもそこでゲッツーが取れた。その場面しかり、あれが無ければ負けてたなと思う瞬間がいくつもありますよ。2次ラウンドまでは全勝でしたが本当に紙一重の戦いの連続でした」
――最も印象に残っていることはどんなことですか?
「やっぱり人選での苦労ですね。小久保裕紀監督には、ダルビッシュ有と上原浩治を頼むと言ったんです。何よりも抑えがポイントだと思っていましたから。そうしたらあの2人の招集が叶わず、極端に言ったら(エース候補の)菅野智之か大谷翔平を抑えで使おうかと思ったくらいです。だけども彼らを使う前に負けたら何と言われるか分かりませんからね。そうした時にこれだと思ったのが、西武の牧田和久でした。それが成功しましたね。アンダースロー独特の球筋は海外の打者にはとても攻略が難しいんですよ」
――WBCは球数制限があるので継投も鍵になります
「先発がいくら良い球を投げていてもファウルで粘られたらすぐに球数が多くなってしまいますからね。早ければ3回で代えないといけないことは、試合前から考えていました。前回大会は(第2先発として好投を続けた)千賀滉大の力が大きかったですね」
――厳しい戦いの連続。神経も相当すり減らしたのではないでしょうか。
「いえ、短期決戦ですから私は負けたら終わりなので腹を括っていました。小久保監督はすごくプレッシャーがかかっていて胃が痛いと言っていましたが、私は無かったですね」
――準決勝アメリカ戦は1対2と惜しい試合でした
「アメリカは強かったですね…。バットに当たっても前に飛ばないですもんね。重くてグッと入り込んでくるようで内野の頭を越しませんでしたよね。勝つなら1対0か2対1だと思っていました。だから、あの時はチャンスでしたが、4回戦ったら1回勝てるかな…という実力差に感じました。それだけに理想的な展開にはなっていましたから、なんとか勝ちたかったですね」
――2失点は失策が絡んだものでしたし、投手コーチとしてやれることはやったという思いでしょうか?
「味方が1点だったら0点に抑えないといけない。それが野球の勝ち負けなので2点取られたことは悔しいですよ。でも、あの時こうやればああやればと言ったらキリが無い。強い方が勝つんですよ」
権藤さんの期待する投手は?
――今大会は投手コーチに近鉄コーチ時代の教え子である吉井理人さんが就任されています
「吉井は信念のある男ですから面白いと思います。生き様そのものが、頑固なところがありますし強気なところもある。それを上手くミックスしたら面白いと思います」
――大谷翔平投手やダルビッシュ有投手は権藤さんから観ていかがですか?
「もうあの2人は別格ですよ。スピード、背丈、いろんな球種を持っていて、メジャーでバリバリに活躍している投手ですから。彼らが引っ張ってくれると思います」
――先ほど抑え投手の重要性を語っていらっしゃいましたが、今大会の救援陣はどう観ていますか?
「巨人の大勢が特に楽しみですね。腕の角度を下げていながら高めを使えて速いですから。下から上がる軌道で高めに投げたらまず打たれないですよ。欧米の打者はリーチが長いですから、低めは届きますけど、高めは腕を畳まないといけないからさばくのがキツイんです。最近のフライボール革命の影響でアッパースイングの打者も多いですから面白い存在ですね。今回は侍ジャパンも強いですが相手国も強い。その中でどっちに勝負が転ぶか分からない時に、そうした抑え投手を持っている侍ジャパンが有利だと思っています」
――最年少の髙橋宏斗投手はどう観てらっしゃいますか?
「これはもう面白いですよ。すごい!高卒3年目で速度も角度も良いしフォークも持っていますからね。話している会話の内容もすごくしっかりしていますよ。将来の日本を背負って立つ投手になると思います」
――今大会が大きな飛躍のきっかけになりそうです
「チャンスだと思いますよ。吉井コーチが上手く使うんじゃないですか?今回これだけの投手陣の中でも既に引けをとらないですし“これはなかなかすごいな”と思う球を投げていますよ」
――今大会の侍ジャパンへの期待はいかがでしょうか?
「良いメンバーが揃っていますから、強いですよ。期待してます!」
――侍ジャパンの見どころはどういったところになりますか?
「力も負けないしアメリカに競り勝つ力は持っていると思います。短期決戦は何があるか分からないですから期待しています。世界一になれるだけの力は持っています」
2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™
試合日程
カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 強化試合
2023年3月6日(月) 18:00 阪神タイガース 1 - 8 日本
2023年3月7日(火) 19:00 日本 9 - 1 オリックス・バファローズ
カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 1次ラウンド 東京プール
2023年3月9日(木) 19:00 日本 8 - 1 中国
2023年3月10日(金) 19:00 日本 13 - 4 韓国
2023年3月11日(土) 19:00 日本 10 - 2 チェコ共和国
2023年3月12日(日) 19:00 オーストラリア 1 - 7 日本
カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 準々決勝ラウンド 東京プール
2023年3月16日(木) 19:00 日本 9 - 3 イタリア
準決勝
2023年3月21日(火) 8:00 日本 6 - 5 メキシコ
決勝
2023年3月22日(水) 8:00 日本 3 - 2 アメリカ
開催球場
台中インターコンチネンタル野球場、東京ドーム、チェイス・フィールド、ローンデポ・パーク
強化試合:京セラドーム大阪、ひなたサンマリンスタジアム宮崎、アイビースタジアム
出場チーム
プールA
チャイニーズ・タイペイ、オランダ、キューバ、イタリア、パナマ
プールB
日本、韓国、オーストラリア、中国、チェコ共和国
プールC
アメリカ、メキシコ、コロンビア、カナダ、イギリス
プールD
プエルトリコ、ベネズエラ、ドミニカ共和国、イスラエル、ニカラグア
カーネクスト侍ジャパンシリーズ2023 宮崎
試合日程
2023年2月25日(土) 13:30 侍ジャパン 8 - 4 福岡ソフトバンクホークス
2023年2月26日(日) 14:00 福岡ソフトバンクホークス 2 - 4 侍ジャパン
開催球場
ひなたサンマリンスタジアム宮崎
出場チーム
侍ジャパン、福岡ソフトバンクホークス