9月4日、「第31回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(9月10日まで)のオープニングラウンド第4戦が台湾の天母野球場で行われ、侍ジャパンU-18代表はベネズエラを下して開幕4連勝。残り1試合を残してスーパーラウンド進出を決めた。主将・小林隼翔(広陵)が前日の交錯で頭部を強打したため検査入院で一時離脱したものの、チーム一丸となって攻守が噛み合った。
3回まで侍ジャパンU-18代表はチャンスを作りながらもなかなか得点が奪えなかったが、その間に光ったのは固い守りだ。
初戦のスペイン戦に続いて先発を任された東恩納蒼(沖縄尚学)はテンポの良い投球でベネズエラ打線を抑えていく。2回に振り逃げで走者を出してしまうが続く打者のサードゴロを三塁手の中山優月(智辯学園)が素早く処理して併殺打が完成。3回には捕手の尾形樹人(仙台育英)がファウルフライを全速力で追いかけ、フェンスを恐れることなく好捕と、守備からリズムを作っていった。
すると4回、知花慎之助(沖縄尚学)が選んだ四球と橋本航河(仙台育英)のバント安打でチャンスを作ると、打席には前日3安打の寺地隆成(明徳義塾)が立った。
ここで明徳義塾でも指揮を取る馬淵史郎監督は「寺地はバントが上手いし、明徳でもなかなか点が取れない場合はそうするので」とスクイズを敢行。これに「そういう心持ちはできていました」と教え子が見事に応えて先制に成功した。
先制だけで終わらせなかったことも大きかった。山田脩也(仙台育英)の安打と盗塁、緒方漣(横浜)のレフト前安打と相手失策、相手投手の暴投、森田大翔(履正社)の左中間を破る二塁打、中山の一塁強襲打で、この回一挙5得点を奪い試合の主導権を握った。
さらにその裏には、今度は二塁手の緒方が一、二塁間に抜けようかという当たりを好捕すると体を素早く反転させて遊撃手の山田へ、山田も素早い処理と矢のような送球を見せ、またも併殺が完成。相手に流れを渡さなかった。
6回表には森田の二塁打などで4点、7回表には中山の三塁打でダメ押しの10点目を挙げ、投げては東恩納の後を継いだ武田陸玖(山形中央)と矢野海翔(大垣日大)も無失点に抑えて試合終了。10対0の大勝を果たした。
オープニングラウンド最終戦となる第5戦は日本時間9月5日19時半からオランダと対戦。スーパーラウンド進出は既に決めたが、オープニングラウンド同組との対戦成績は持ち越されるため、既に進出を決めているオランダとの対戦は「実質スーパーラウンド初戦」とも捉えられる。それだけに馬淵監督も「勝つか負けるかでは大違い。無敗の首位でスーパーラウンドへ行きたいです」と気を引き締めた。
監督・選手コメント
馬淵史郎監督
「守れる選手を選んでいますが、それにしても上手くプレーしましたね。なかなか点が入らない嫌な展開でしたが、東恩納が頑張って相手に流れを渡さずに投げてくれました。投手を中心に守れていることが大きいです」
緒方漣(横浜)
「県大会決勝の悔しさはここで晴らすしかないという気持ちに切り替えて、世界一に突き進んでいます。打撃は木のバットでもコンタクトできています。(4回の併殺は)岩井隆コーチから、あの打球の前に一、二塁間に寄るように指示がありましたし“捕った反動で送球した方がいい”と咄嗟に判断ができました」
寺地隆成(明徳義塾)
「とにかく1点が欲しい場面だったので、スクイズもあるという心持ちで打席に立ちました。三塁走者が足の速い知花だったので、とにかく前に転がそうと思いました。今まで明徳で学んできたことを世界の舞台で出すことができました」
森田大翔(履正社)
「1打席目は始動が遅かったので、2打席目以降は始動を早くしてボールがよく見えました。明日は1打席目から、それをしていきたいです。小林がいない分、一人ひとりが自覚を持たないといけないと思ってプレーしました。世界一のためにもこのままの勢いで行きたいです」
第31回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ
大会期間
2023年8月31日~9月10日
オープニングラウンド
9月1日(金)19:30 日本 10 - 0 スペイン
9月2日(土)19:30 日本 7 - 0 パナマ
9月3日(日)17:35 アメリカ 3 - 4 日本
9月4日(月)21:00 ベネズエラ 0 - 10 日本
9月5日(火)19:30 日本 0 - 1 オランダ
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)
スーパーラウンド
9月7日(木)15:30 日本 7 - 1 韓国
9月8日(金)11:30 日本 10 - 0 プエルトリコ
9月9日(土)19:00 チャイニーズ・タイペイ 5 - 2 日本
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)
決勝
9月10日(日)19:00 チャイニーズ・タイペイ 1 - 2 日本
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)
開催地
台湾
出場する国と地域
グループA
メキシコ、チャイニーズ・タイペイ、韓国、オーストラリア、プエルトリコ、チェコ
グループB
日本、アメリカ、ベネズエラ、オランダ、パナマ、スペイン