9月13日、「カーネクスト presents 第9回 WBSC女子野球ワールドカップ・グループB」が広島県の三次きんさいスタジアムで開幕。侍ジャパン女子代表はプエルトリコと戦い、先制を許す苦しい展開を強いられたが逆転勝ちで開幕戦をものにした。
「国際試合独特の緊張感で思ったより、小野寺含め周りも硬かったですね」
中島梨紗監督が試合後にそう苦笑いしたように、5年ぶりのワールドカップとあってか序盤はなかなかペースを掴めず。開幕投手に抜てきされた21歳・ワールドカップ初出場の小野寺佳奈(読売ジャイアンツ)は「気持ちが入りすぎてバタバタしてしまいました」と振り返るように初回から毎回走者を出し、2回までは無失点で凌いでいたが、3回に連続四球からピンチを作るとタイムリーと暴投で2点の先制を許した。
さらに続くピンチは連続三振を奪って踏みとどまったが、3回の攻撃では四球で出塁した俊足・田中美羽(読売ジャイアンツ)の盗塁が刺されるなど嫌な流れが続いた。
それを打ち破ったのが5大会連続出場となる4番・川端友紀(九州ハニーズ)だ。中島監督が「1本出れば突破口になると思っていたので、川端が打ってくれて打線が繋がりました」と感謝したように、相手先発投手のカーブを上手くライト前に弾き返しチーム初安打を放った。
続く楢岡美和(九州ハニーズ)がライト前、星川あかり(淡路BRAVE OCEANS)がセーフティーバントで続くと、広島県内に本拠地を置くチームでプレーする村松珠希(はつかいちサンブレイズ)がセンター前に運び二者が生還。同点に追いつき、三次きんさいスタジアムは大いに沸いた。
さらに岩見香枝(埼玉西武ライオンズ・レディース)が「サインが来ると思っていました」という中島監督との阿吽の呼吸でスクイズを決めて勝ち越し。出口彩香(埼玉西武ライオンズ・レディース)もライト前にタイムリーを放って、この回一挙4点を奪った。
そして終盤にかけて小野寺もストレートで押し変化球も要所で決める持ち味を取り戻し、4回から最終7回までで許した走者は1四球のみという完璧な投球で、終わってみれば12三振を奪う力投でプエルトリコ打線を封じて試合終了。4対2という好ゲームに、スタンドからは両チームに大きな拍手が送られた。
試合前には三次市出身の岸田裕子内閣総理大臣夫人による激励や始球式が行われるなど、華やかな雰囲気に包まれ、観客も多く集まった中での試合。ここで勝てたことは意義が大きく、中島監督は「村松の同点打の際の盛り上がりには鳥肌が立ちました」と振り返り、「初めて女子野球を観に来た人にも魅力が伝わったんじゃないかと思います」と胸を撫でおろした。
14日の第2戦も三次きんさいスタジアムで18時半から試合を行い、フランスと対戦。中島監督は「初戦を取れた流れを離さず戦っていきたいです」と話したように、逆転勝ちの勢いを生かして連勝街道を歩んでいきたいところだ。
選手コメント
小野寺佳奈(読売ジャイアンツ)
「相手打線の体格が大きく、高めに行けば打たれてしまうと思ったことでコースを狙いすぎてしまいました。でも先輩たちが“楽に投げていいよ”と言ってくれたので途中からはリラックスして投げることができました。4回以降はカーブも上手く使うことができました」
村松珠希(はつかいちサンブレイズ)
「(同点打の場面は)声援がすごく聞こえた中で打てて“よし!”という気持ちだったので普段はあまりしないガッツポーズをしながら走りました。温かくやりやすいホームの雰囲気の中で戦うことができて感謝しています」