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侍ジャパン発足から10年 社会人代表3度目のアジア大会参加での成果と課題

2023年10月10日

 プロ、アマ、そして女子野球を含めた各世代の野球日本代表が「侍ジャパン」としてひとつにまとまってから10年。侍ジャパン発足以前はアジア大会に大学、社会人の混成チームが参加していたが、2014年のインチョン大会からは社会人代表が出場している。今大会が3度目だ。

 今回銅メダルで大会を終えた侍ジャパン社会人代表。前回2018年のジャカルタ・パレンバン大会に続き指揮を執った石井章夫監督の下、選手そしてチームは何を得て、何を課題としたのか。

代表入りが目標に。得られた自信

 日本代表24選手の平均年齢は約28歳。5年前の前回大会メンバーが6人、昨秋のU-23W杯参加者が5人と、国際大会経験のある面々を中心に23歳から39歳までの幅広い年齢の選手が揃った。

 初選出の中には「代表入りが目標だった」と口にする選手がいた。セカンドステージのラオス戦、スーパーラウンドのチャイニーズ・タイペイ戦に先発し好投した岩本喜照(日本新薬)は、「日の丸をつけてすごいメンバーの中でやりたいというのが今年の目標だったので、2試合投げてしっかり抑えられたことは自信になりました」と落ち着いた口調で話した。

 岩本は代表チームで過ごした時間を「自分のためになった2週間。(クオリティーコントロール担当の)島(孝明)さんからはデータを通して自分の長所や、伸ばしていかなければいけないところを明確にしてもらいました」と振り返った。

 そしてラオス戦で2安打3打点の望月直也(トヨタ自動車東日本)は「ずっとここ(代表)が目標だったので、招集してもらって試合に出られたことが一番嬉しいです」と話し、中国との3位決定戦で2点タイムリーを放った鈴木聖歩(JR東日本東北)も、「侍ジャパンだけではなく選抜チームに選ばれたことがなかったので嬉しさと、いい選手たちと一緒にいることでの楽しさもあります」と語った。

 また2019年のBFAアジア選手権以来の代表入りで、チャイニーズ・タイペイ戦と3位決定戦で得点につながるチャンスメークをした金子聖史(東芝)は、仲間の思いも背負って中国にやってきた。金子は前回の主将、佐藤旭と同じチームで同期だ。「(佐藤)旭からは『この大会を目標にしていたけれど、道半ばで引退してしまったので託したよ』と言われたので、『しっかり頑張って来るね』と伝えました」

他チーム、年長選手から受ける影響

 代表の中では年長の選手がチームに与える影響も少なくなかった。岩本は「経験がある佐竹(功年=トヨタ自動車)さん、田澤(純一=ENEOS)さんと話すことで知識や、投球の引き出しが増えました」と話した。

 また木南了(日本通運)と辻野雄大(Honda)の30代2捕手と共にマスクをかぶった、24歳の南木寿也(JR北海道硬式野球クラブ)は「2人(木南、辻野)は投手とのコミュニケーション力が高く、それを隣で聞いて感じるものを生かせます」と話した。南木は3位決定戦の終盤、1点リードをマウンドの佐竹と共に守って銅メダル獲得に貢献した。

 その捕手陣について韓国戦と2度の中国戦での接戦で好リリーフを続けた加藤三範(ENEOS)は、「自チームと同じくらい投げやすかった」と振り返った。「僕が投げたいボール、強気の配球を第一に考えてくれながら、相手のバッターの特徴もとらえてリードしてくれるのでありがたかったです」

打者はノーサイン。自発的に挑戦し長打を意識した攻めの野球

 アジアの中で日本の野球は一目置かれている。相手チームの選手が語った日本の特に優れている点は「投手力」だった。一方で課題なのは「攻撃力」。そこで石井監督は「外野に打球を飛ばす長打力を意識して、1試合10得点を目指す」をテーマに掲げた。選手選考でも韓国、チャイニーズ・タイペイ投手陣の高めの速球に力負けしない打者を、数値データも参考に選んだ。

 昨秋のU-23W杯でも石井監督の下でプレーした丸山壮史(ENEOS)は「初球から長打を狙ってどんどん振っていくという超アグレッシブな野球は、これまでやってきた『つなぐ野球』とは違って刺激的で、自分の成長にもつながると思います」と選手にもその意識は浸透していた。

 しかし今大会6試合で日本のホームランはゼロ。野手の間を抜く長打はあっても外野フェンスまで届くような大きな当たりは見られなかった。

 さらに石井監督は「自発的に野球に取り組み、チャレンジすること」を選手に求めた。攻撃のサインは存在せず、三塁ベースコーチが打者に指示を出すことはなかった。作戦伝達がない試合はテンポが速く、それはとても新鮮ではあった。しかし中国戦で1点を追うチャンスで3併殺、韓国戦1、2点を追う場面で2併殺と打順との兼ね合いもあるが、作戦なしの野球が再三チャンスをつぶしてしまった。

 韓国のリュ・ジュンイル監督は日本の攻撃について「石井監督はバントが嫌いなのか?」と話し、チェ・イルオン投手コーチは「日本のバッターは振りが大きかった」と感想を話した。テーマを持って挑んでいることを知らない対戦チームにとって、日本は戦いやすい相手となっていた。

次回の愛知・名古屋大会で金メダルを目指す

 今回のアジア大会では「代表チームだからできるテーマの徹底」と「短期決戦で勝つこと」、この両立の難しさを感じさせられた。

 中国との3位決定戦、日本は2対3で追う8回表に2点を挙げて逆転に成功。4対3として勝利した。しかしその得点は長打ではなく、「つなぎの野球」で生んだものだった。

 無死二塁で1番中川拓紀(Honda鈴鹿)は自らの判断で初球に送りバントを試みるもファウル。2球目に進塁打となるセカンドゴロを打って走者を三塁に進めた。この場面で代打猪原隆雅(ミキハウス)が放ったのは前進守備のセカンドの右を抜くライトへのヒット。さらに続いたチャンスで挙げた勝ち越しの1点は、相手守備のエラーによって得たものだった。

 3番打者として2度の中国戦、韓国、チャイニーズ・タイペイ戦といずれも複数回出塁するも、一度もホームベースを踏むことはなかった主将の北村祥治(トヨタ自動車)が韓国戦後に語った言葉がすべてを物語っている。

 「韓国の方がしっかり野球をしてきている感じがありました。力の差は歴然としていると思います。僕らは打つしかないところで打てなかったので、この野球をしていたら勝てないと思います」

 前回大会は決勝戦で韓国に敗れて銀メダルだった日本。その時のメンバーの佐竹、木南らは敗北後の悔しさを胸に表彰台に立った。今回は銅メダル。3位決定戦の勝利後、数時間を経ての授賞式での選手の表情はにこやかだった。

 次回のアジア大会は2026年に愛知・名古屋で行われる。今回、開催国の中国が大きな成長を見せたように3年後は日本が躍進し、1994年広島大会以来の金メダルを手に本当の笑顔を見せたい。

第19回 アジア競技大会

大会概要出場選手

大会期間

2023年10月1日~10月7日

セカンドステージ(グループA)
10月1日(日)13:00 フィリピン 0 - 6 日本
10月2日(月)19:30 日本 18 - 0 ラオス
10月3日(火)19:30 日本 0 - 1 中国
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)

スーパーラウンド
10月5日(木)13:00 韓国 2 - 0 日本
10月6日(金)19:30 チャイニーズ・タイペイ 0 - 2 日本
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)

3位決定戦
10月7日(土)13:00 中国 3 - 4 日本
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)

開催地

中国(杭州)

出場する国と地域

日本、韓国、チャイニーズ・タイペイ、中国、フィリピン、
香港、タイ、シンガポール、ラオス

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