12月2日、侍ジャパン大学代表候補選手の強化合宿2日目が、愛媛県松山市の松山坊っちゃんスタジアムで行われた。
この日は6イニングの紅白戦が3試合、合計18イニング行われ、すべての投手が2イニングずつ登板した。その中で怪我のリスク防止の観点から、投手は1イニング25球の上限が設けられた。
堀井哲也監督が「ピッチャーの球が強いなと思いました」と振り返ったように、投手陣による圧巻の投球が目立った。すべての投手が140キロ台後半の直球を投じ、18人中8人の投手が最速150キロを超えた。シーズンオフに入るこの時期とは思えない投球ばかりで、球速が電光掲示板に映されると、観衆から驚嘆の声があがる場面も多かった。
その中でも、全投手の中で唯一三者凡退を2イニング続けたのが国本航河(筑波大)だ。150キロを超えるストレートにキレのある変化球を織り交ぜ、持ち前の打たせて取るピッチングを披露。国本は「トレーニングをして体が強くなったのがストレートの速さに繋がり、配球が組み立てやすくなったからだと思います」と自己分析し、充実した表情を見せた。
この日、最高球速を叩き出したのは中村優斗(愛知工業大)だ。測定担当者によると最速154キロを計測。自己最速タイの結果となった。だが、球速だけではない。味方の失策が絡み走者を許すも、無安打無失点の投球を見せた。堀井監督は紅白戦の前、全員に対して「単純に打って投げるのはレベルの高い人が集まっているので当たり前。試合の中でどうプレーするかが評価されます」と伝えていただけに、それを体現した投球だった。
野手陣でインパクトを残したのは、ライトスタンドに飛び込む3ラン本塁打を放った神里陸(國學院大)だ。神里和毅(DeNA)を兄に持ち、171センチと小柄ながらも打撃センスが光るスイングが目を惹いた。
また、この日3安打2打点と大暴れした平野裕亮(仙台大)も「打席での球の待ち方をいろんな人に聞いて、今までになかった考え方を教えてもらったのが勉強になり、それが試合でも出せました」とアピールに成功。さらに、「去年から選ばれている選手は振りも強くて、初球の甘いボールが来た時に振りに行ける強さが自分にまだ足りないところだと、この試合を通じて気づきました」と課題を明確にし、成長していく意気込みも十分だった。
投手・野手各々が持ち味を存分に発揮し「ひと冬越えて非常に期待が持てる内容だったと思います」と堀井監督は評価。一方で試合後のミーティングで「紅白戦の中で打球判断やベースカバーなどイージーミスが出ていましたので、普段から気を付けてやってください」と基本の大切さを選手たちに説いた。
この日は、侍ジャパントップチームの井端弘和監督も視察に訪れ、選手たちに「5年後のロサンゼルスオリンピックが決まりました。そこには皆さんが主力になってこないといけないかなと思いますので、頭に入れてこれからも頑張って欲しいです」と発破をかけた。
最終日の3日目は、シートノックとフリーバッティング、50メートル走の測定が行われる予定となっている。
選手コメント
寺西成騎(日本体育大)
※2回3安打1三振1失点
「真っすぐを軸に投球を組み立てて、フォークで抑えるといった自分の持っているものを出せたかなと思いますし、良いバッターと対戦できて楽しかったです。(U-15代表に選出された時以来の侍ジャパン合宿は)大学の日本代表は憧れもありましたし、中学の日本代表よりも難しいものだと思うので、まずはそこを目指していきたいです」
稲川竜汰(九州共立大)
※2回無失点3三振3四死球も堀井監督から「気になる選手の1人」に挙げられる
「今日は2回しか投げない予定だったので、ほとんど全力投球で行きました。球自体は良かったのですが、コントロールを乱してしまったので、そこはこの冬にしっかり直していきたいです。(3日目に向けては)すごい選手がいっぱいいるので、いろんなことを聞いてしっかり吸収して来年につなげていきたいです」
立石正広(創価大)
※前日に打撃の測定値でトップの数値を出し、この日も2安打
「1試合目は良いピッチャーということもあって、なかなか真っすぐを初球でとらえられなかったので、これから活かしていきたいです。2試合目はある程度慣れてきた中でヒットが出たのでよかったです。(3日目に向けて)今日、何人かの選手にバッティングについて聞いたので、明日もレベルの高いピッチャーと戦っている選手たちに対応の仕方などを具体的に聞いていこうと思います」