8月12日、「第6回 WBSC U-15 ワールドカップ」(コロンビア・バランキージャで8 月 16 日から25 日)で初優勝を目指す侍ジャパンU-15代表の直前合宿3日目が千葉県のNTT東日本グラウンドで行われた。前日の中央学院に続き千葉県を代表する強豪校の1つである専大松戸と7イニング制(+1イニングの延長タイブレーク練習)の交流戦が実施された。
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昨年の甲子園に春夏連続で出場し、今春の千葉大会を優勝している専大松戸は新チーム(1、2年生)の主力野手と3年生のプロ注目バッテリー(梅澤翔大と中山凱)という強力な布陣。その打線に対して先発の福井那留(愛知豊橋ボーイズ)が捕まり、2回表までに5点を失う苦しい入りとなった。それでも井端弘和監督は福井について「ストライクどんどん取りに行った結果。次に生かしてもらえたら」と今後に期待するように、強打者の中山から三振を奪うなど持ち味を出す場面もあった。
3回表から登板した大久保遼(東京ヴェルディボーイズ)は最初のイニングを三者凡退に抑えたが、4回表はスクイズで失点。それでも、その裏に打線が反撃を開始する。
梅澤は140キロ台中盤のストレートとキレの良い変化球を投げ分けていたが、先頭の川上慧(明石ボーイズ)がしっかり見極めて四球で出塁。その後二塁まで進み、打席にはチーム唯一の2年生である丹羽裕聖(愛知尾州ボーイズ)が打席へ。
第1打席で空振り三振に倒れた反省を生かし、思いきりよく振り抜くと打球は勢い良くセンター前に運ばれ、川上が俊足を飛ばして本塁に生還し1点を返した。この一打に井端監督は「昨日からすべてのストライクを振りにいけているのは彼くらい」と称賛し、「昨日6番、今日5番なので、本番はもう一つ打順を上げようかなと思っています」と、W杯での4番起用を示唆。「それだけの力があるし、チャンスになっても変わらず振りにいける気持ちの強さもあるかなと思います」と大きく期待した。
5回と6回は左腕の石毛慎二郎(千葉市リトルシニア)が好投。走者こそ出すが、ストレートとカーブの緩急を上手く使って無失点に抑えて、チームにさらなるリズムをもたらすと、6回裏には振り逃げからチャンスを作る。
ここで、第1打席では梅澤の力強いストレートを弾き返し、チーム初安打を放っていた戸倉光揮(狭山西武ボーイズ)が、2番手・林将斗のストレートにもしっかり対応しセンターへ犠飛。さらに1点を返した。
7回は谷口哲聖(摂津リトルシニア)が三者凡退に抑え、2対6と善戦し7イニングを終えた。無死一、二塁から始まる延長タイブレークの練習では、谷口が3失点を喫したものの、強豪校との連戦を経て井端監督は「打順も含めてある程度固まりつつあるのかなと感じています」と構想が見えてきたことを明かした。
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一方で課題も感じており、試合後には選手たちに準備の大切さを説く場面も。「昨日より球が速い投手に、なんとか対応しようとする気持ちは出ていましたが、1打席目からその気持ちを出していかないといけません」「昨日より準備不足が窺えました。今日で3日目ですから、チーム的にも慣れがでてきているので、緊張感を持っておかないといけません」と、気を引き締めていた。
細かな準備も抜かりなく、昼食後には走塁練習を行い国際大会でアウトになりがちな牽制球への対応にも時間を割いた。
これで直前合宿は打ち上げ。13日に戦いの舞台となるコロンビアに向けて出発。30時間を超える移動を経て、15日に公式練習を行い、16日19時(日本時間17日9時)からドミニカ共和国とのオープニングラウンド初戦に臨む予定となっている。
監督・選手コメント
専大松戸高・持丸修一監督
「良い選手ばかりですね。打てる・打てないではなく粘りやボールを見る姿勢が普通の中学生ではありませんでした。W杯では球速の速い投手と当たることもあると思い、3年生投手を起用しました。真剣に戦い、お互いに得るものが多かったです」
丹羽裕聖(愛知尾州ボーイズ)
「(タイムリーについて)第1打席が消極的になってしまっての三振だったので、第2打席は思いきり良く打ちました。第1打席ではまったく歯が立たず、初めて見る球で驚きましたが、タイミングを早めに取ったことで打つことができました。唯一の2年生ですが、侍ジャパンに選ばれたことに変わりはないので、今日みたいな勝負強い打撃でチームを勝利に導きたいです」
石毛慎二郎(千葉市リトルシニア)
「マウンドに上がった当初は低めのボールを見極められてしまいましたが、ストライクゾーンで勝負しようと修正し抑えられたことは自信になります。カーブは誰にも負けない自信があるので、どんどん投げていきたいです」
戸倉光揮(狭山西武ボーイズ)
「(チーム初安打と犠飛を放つ)昨日は投手としてタイブレークで逆転を許して迷惑をかけたので、今日は貢献したいと打席に立ちました。梅澤投手はストレートも変化球もすごかったので、追い込まれる前に打とうと思いました。チームに貢献できる活躍をして、なんとしてでも世界一になりたいです」
第6回 WBSC U-15 ワールドカップ
大会期間
2024年8月16日~8月25日
オープニングラウンド(グループA)
8月17日(土)9:00 日本 12 - 9 ドミニカ共和国
8月18日(日)5:00 イタリア 3 - 8 日本
8月19日(月)9:00 コロンビア 3 - 14 日本
8月20日(火)5:00 日本 14 - 0 グアム
8月21日(水)0:30 日本 4 - 2 プエルトリコ
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
スーパーラウンド
8月23日(金)5:00 日本 5 - 6 チャイニーズ・タイペイ
8月24日(土)5:00 日本 6 - 1 メキシコ
8月25日(日)5:00 日本 7 - 2 ニカラグア
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
決勝
8月26日(月)9:00 日本 7 - 6 プエルトリコ
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
開催地
コロンビア(バランキージャ)
出場する国と地域
グループA
日本、ドミニカ共和国、プエルトリコ、コロンビア、イタリア、グアム
グループB
メキシコ、チャイニーズ・タイペイ、ベネズエラ、オランダ、ニカラグア、南アフリカ