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試合レポート

侍ジャパン18U、守りのミスで韓国に惜敗し準優勝

2014年9月6日18U

日本の2連覇はならなかった。ショートの崔廷龍が香月一也(大阪桐蔭)の打球を軽快にさばくと、1塁側ベンチから韓国代表が飛び出して来て、マウンド付近で歓喜の輪を作った。2対1で日本を下した韓国にアジア・チャンピオンの栄冠は輝いた。

「ニホンノミナサン、コンニチワ」。場内アナウンスで日本語の挨拶が流れた後、先発メンバーの発表に合わせて日韓の代表選手が90度に引かれたラインに並んだ。国際大会独特の和やかなセレモニーが終わると、太鼓の音が鳴り響き、両国の応援合戦も始まって決勝の舞台が整った。

日本代表は先発メンバーを大幅に入れ替えた。上り調子の浅間大基(横浜)を1番、準決勝でサヨナラのヒーローとなった徳本健太朗(龍谷大平安)を2番に入れた。そしてショートに吉田有輝(履正社)、ファーストに安里健(沖縄尚学)。右ヒジを痛めた主将・栗原陵矢(春江工業)に代わって岸田行倫(報徳学園)がマスクを被った。

宿敵・韓国戦の先発を任されたのは森田駿哉(富山商)。今大会はわずか2回しか投げていなかったが、先発オーダーに7人の左打者が並ぶ韓国戦に合わせて調整してきた。「甲子園で自分のボールは左打者に通用したので、行けると思います」。立ち上がりに走者を出したが、4番の金民奕(斗山ベアーズからドラフト指名)をショートゴロ併殺打で打ち取ると波に乗った。
一方、韓国の先発は厳相伯。右のスリークオーターから投げる快速右腕は韓国のドラフト会議で新球団KTウィズから指名されている逸材だ。140キロを超えるストレートが両コーナーに決まり、日本の打線はバットを折るシーンもあった。

序盤は森田と厳の投げ合いとなったが、均衡を破ったのは韓国だった。3回1死から9番安益勳のショートゴロを吉田がまさかのトンネル。2死3塁で、再び吉田に飛んだ打球を弾いて先制点を許してしまった。その様子を見た高橋広監督はすぐさま安田孝之(明徳義塾)に交代したが、安田も4回にショートゴロを後逸し、韓国に2点目を献上した。
クイーンシ・リキット球場の内野の赤土は場所によって微妙に固さが違う。「バウンドのスピードがその都度違います」。こう感想を話した安田は予選リーグではノーエラーだったが、決勝トーナメントでは焦りが出てミスを重ねた。「甲子園より重いものを感じた」。安田は試合後に悔し涙を流した。

打線の援護に恵まれない森田だったが、淡々と韓国の打線を封じて得点を許さなかった。「1球1球丁寧に投げれば、打ち取れると思って全力で投げました」。森田は8回1/3を投げて、2安打4四死球、7奪三振と好投し、終盤の反撃に望みを繋いだ。
7回2死1、2塁。高橋監督が今大会最も頼りにする岸潤一郎(明徳義塾)のタイムリーで1点を返した。さらに8回裏1死2、3塁で、前日の逆転劇を期待するスタンドからは打席の徳本に対して「ニッポンコール」が送られた。高橋監督はスクイズで同点狙いにいったが、この作戦を読んだ韓国バッテリーに見事に外され、峯本匠(大阪桐蔭)が三本間に挟まれタッチアウトとなった。

あと1点が遠かった。結局、日本の犯した守備のミスが勝負の分かれ目になった。ゲーム後、高橋監督は敗戦を噛みしめるように国際試合の課題を述べた。「接戦が予想される。ミスが少ないチーム作りをしなくてはいけない」。代表結成時から守りやスピードによる「日本の高校生らしい野球で優勝する」という決意は、次の代表に託された。

閉会式で、表彰台の真ん中には金メダルをかけた韓国代表チームがいた。その横で、銀色のメダルを授与された侍ジャパン18U。アジア大会2連覇はならなかったが、準決勝と決勝で粘りの姿勢を見せることはできた。そして、国際大会では一つのミスが命取りになることをタイの地で実感したはずだ。

あと一歩届かなった。だが、この大会で培われた「侍魂」は、上の世代に向かうとき、きっと彼らの糧となって繋がっていくに違いない。

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