9月3日(土)に韓国で開幕する「第7回WBSC女子野球ワールドカップ 2016 」。沖縄強化合宿の2日目(最終日)は「ONNA赤間ボールパーク」で練習が行われた。選手が宿泊した恩納村にある「ONNA赤間ボールパーク」は2005年に竣工。スポーツ施設が充実した赤間総合運動公園内にあり、観光地として名高い「万座毛」も近い。両翼100m、中堅122mの広い球場だ。
練習は9時20分からのウォーミングアップからスタート。前日に続いてサポート役を務めてくれる沖縄唯一の女子野球チーム「沖縄ティーダバル」の選手たちも混じり、アップは和やかな雰囲気で進む。その後キャッチボール、各ポジションについてのシートノックと進み、実戦練習へと移る。想定ケースは一死一、三塁でのスクイズ、あるいは一死一、二塁での送りバントなど。
もちろんマウンドの投手は、そうはさせまいと試合同様に投げる。ヒットが打てない時にいかに得点するか。大倉孝一監督が課題としていることの練習である。
それまでのリラックスした中での練習からは空気は一転。大倉監督の厳しい言葉と、清水稔コーチからの細かい指示にグラウンドは緊張感に包まれた。大倉監督は三塁走者になった選手にリードの仕方を細かく教えたり、自らバットを持ってバントの手本を示すなど、課題に対する意識を選手たちに徹底をさせていた。
こうした一方で大倉監督はチームの長距離砲として期待される石田悠紀子(新波)と有坂友理香(アサヒトラスト)にはロングティー練習を通じて、遠くに飛ばすための技術を伝授。理想はあくまで10対0で勝つ野球である。
午前の練習が終わると眼下に美ら海が広がる恩納村の「ふれあい体験学習センター」で強化合宿最後のミーティング。大倉監督は「今回の強化合宿のテーマは私が考えている課題をしっかりみんなに伝えるのと、現在の代表候補23名を20名に絞ることでした」と言うとこう続けた。
「前者についてはできたと思うので、次の松山合宿までに各々のチームでバントやエンドランなどの精度を上げてきてほしい。それと後者ですが、ポジションのバランスなど、チーム事情を考慮した結果、投手では吉田えり(ルートインBCリーグ・石川ミリオンスターズ)に、外野手では御山真悠(平成国際大学)と林佳名子(大阪体育大学)の3名に外れてもらうことになりました」
挨拶に立った吉田は気丈な表情で「悔しさもありますが、みんなの実力がよくわかりました。またどこかで一緒にプレーができればと思っています」と話し、御山は「絶対に5連覇できる」と残った選手にエールを送り、代表候補初選出の林は「本当にいい経験ができました」と感謝の言葉で締めた。
これで沖縄強化合宿には参加できなかったプロ選手5名を含む20名の「第7回WBSC女子野球ワールドカップ 2016 」を戦うメンバーが決まった。
前回大会主将の志村亜貴子(アサヒトラスト)は「5連覇達成はとても厳しい道のりだが、前回大会と同じようにチームを引っ張りたい」と、今回で代表選出が6度目になる金由起子(ホーネッツ・レディース)は「女子野球発展のためには2位ではダメ。優勝を続けたい」と、小技、機動力といった優勝には不可欠の野球のキーマンでもある六角彩子(侍)は「落選した8名の思いも背負って、全員で頂上に行きたい」と、それぞれ決意を述べた。
ついに2016年の侍ジャパン女子代表が決定。ただ大倉監督には「淡々と1つ1つの課題をクリアしていくだけ」と力みはない。1つ1つの積み重ね―。その果てに5連覇という大偉業が待っている。
第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ
大会概要
第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ 出場選手(2016年7月10日発表)
大会期間
2016年9月3日~11日
オープニングラウンド
9月3日(土)19:00 カナダ 2 - 8 日本
9月4日(日)14:00 日本 12 - 0 オランダ
9月5日(月)14:00 日本 18 - 0 インド
スーパーラウンド
9月7日(水) 14:00 ベネズエラ 2 - 7 日本
9月8日(木) 19:00 日本 10 - 0 チャイニーズ・タイペイ
9月9日(金) 19:00 日本 10 - 0 オーストラリア
9月10日(土)14:00 日本 6 - 0 韓国
決勝
9月11日(日)18:00 日本 10 - 0 カナダ
会場
韓国釜山広域市キジャン郡
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