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
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9月3日から11日まで韓国・釜山で開催される「WBSC第7回女子野球ワールドカップ」へ向け、8月11日から愛媛県松山市にて2泊3日の強化合宿を行った侍ジャパン女子代表。
坊っちゃんスタジアムにおいて開催された西日本大学選抜(大阪体育大学と環太平洋大学からの選抜チーム)との7イニング制強化試合で3-6敗戦。試合後には急遽予定にはなかったロングティーなど打撃練習が追加された合宿初日に続き、2日目は日本女子プロ野球機構所属選手5名が合流し、WBSC第7回女子野球ワールドカップ出場メンバー20名がはじめて集い、西日本大学選抜との再戦が行われた。
試合は初回に1番・六角彩子(侍)の四球、川端友紀(埼玉アストライア)の安打で一死満塁のチャンスをつかむと、金由起子(ホーネッツ・レディース)がエンドランをかけた中での2点適時打に寺部歩美(兵庫ディオーネ)のスクイズで3点を先制。打線は5回追加し計6得点し、前日からの修正を果たした。侍ジャパン女子代表は投げても先発の清水美佑(埼玉栄高校3年)が3回無安打無失点の好投を見せると、2番手・吉井萌美(アサヒトラスト)も2回を1安打無失点。前回大会MVPの里綾実(兵庫ディオーネ)も立ち上がりに3点を失うも、最終回は無難に締めて6対3と勝利を飾っている。
そして迎えた最終日の13日。愛媛銀行総合グラウンドに場所を移し、午前9時ごろから始まった練習はいよいよ本番を見据えた緊張感あふれるものとなった。
その空気が一気に張り詰めたのは、アップ・キャッチボールの後に行われたファーストゴロでピッチャーがベースカバーに入る投内連携の序盤である。ノックを数本見たところで大倉孝一監督が練習を止め、選手たちを集め、話しかける。
「少ない本数しかやらないから。普通にトスぐらいできるだろ。ワールドカップの決勝で、三塁ランナーがいると思ってやってみろよ。ポロっとやったらランナーは還ってしまうんだよ。そういう意識を持ってやってみよう」
常に実戦を想定した高い意識こそが、5連覇へつながる唯一の道。その後、ランナー二塁でのバント処理のケースでも、ピッチャー捕球と決めつけず打球の強さや方向によってはサードが捕ってボールファースト。微妙な当たりに対する声の連携を確認した。
「プレーのミスはしょうがないけど、意識してないのは0点。何のために、いつやるのか。1点やっていい時はボールファーストでアウトを1個もらう。シフト敷くのは1点もやれない時。一・二塁のピンチでバッター4番、そういう時に隙無いかなぁって一塁牽制するんだろ。全員ドンピシャのタイミングで行かないと決まらないんだよ」。大倉孝一監督は再びチームを引き締め次の練習に移る。
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




続いてはランナーもつけてのサインプレーの練習。この松山強化合宿の大きなテーマである一体化したプレーを形作るべく、6度目の代表となる金由起子らを中心に選手同士で声をかけ合う姿が随所に見られた。
そしてこの合宿最後の練習は4人一組12分、3本交代で回す2ヶ所での打撃練習とブルペンでの投げ込み。打撃練習では大倉孝一監督自ら打撃投手を務め、場面を想定した打撃練習に着手。ブルペンでは荒木未来(アサヒトラスト)、笹沼らが力のこもった投球で個々の課題を消化した。
そして、午後からは坊ちゃんスタジアムに移動して昼食後に合宿最後のミーティング。ここで大倉孝一監督は11日夜のミーティングや投内連携時に指摘した内容を繰り返し選手達に伝える。
「準備不足にならないように。国内最終合宿となる8月29日までに頭の中を整理して、やっておかなければならないことしっかりして入ってほしい。
みんな攻撃も守備も細かいサインプレーは十分に理解していると思うし、そこは心配していません。ただ、コンディションが万全でないとか、もっと出来るプレーがあるのにそれが出来ないとか、そういうことはなしにして下さい」
同時に選手達に訴えたのは日本代表としての心構えである。
「当然、世界一になることがチームの目的になるんだけども、それだけじゃありません。侍ジャパン女子代表のユニフォームを着るからには使命がある。
勝つことだけが仕事ではありません。我々は女子野球を普及させるために全力を尽くさないといけない。責任を背負っているということを必ず頭に入れておいて下さい」
熱い言葉に20名の侍ジャパン女子代表たちは大きく頷き、3日間の松山強化合宿は幕を閉じた。
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かくして2月末のトライアウトに始まり、4月の高知県、6月の新潟県、7月の沖縄県、今回の愛媛県と全国各地で計4回の強化合宿を行った侍ジャパン女子代表、次回の招集はいよいよ8月29日からの国内最終合宿。そのまま決勝の地、韓国へ乗り込む。前人未到の5連覇へ向け、全ての準備が着々と進む侍ジャパン女子代表。その集大成の時は、もう目の前に迫っている。
第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ
大会概要
第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ 出場選手(2016年7月10日発表)
大会期間
2016年9月3日~11日
オープニングラウンド
9月3日(土)19:00 カナダ 2 - 8 日本
9月4日(日)14:00 日本 12 - 0 オランダ
9月5日(月)14:00 日本 18 - 0 インド
スーパーラウンド
9月7日(水) 14:00 ベネズエラ 2 - 7 日本
9月8日(木) 19:00 日本 10 - 0 チャイニーズ・タイペイ
9月9日(金) 19:00 日本 10 - 0 オーストラリア
9月10日(土)14:00 日本 6 - 0 韓国
決勝
9月11日(日)18:00 日本 10 - 0 カナダ
会場
韓国釜山広域市キジャン郡
侍ジャパン女子代表候補 マドンナジャパン座談会
【第1回】マドンナジャパンの注目3選手の素顔
【第2回】3選手がそれぞれに感じる女子野球界の変化を語る>
【第3回】マドンナを目指す全国の野球女子たちに伝えたいこと