"世界の野球"セルビア野球の挑戦と葛藤 バルカン・ベースボール事情あれこれ「セルビア野球と国際リーグ」 | ジャパン | 世界の野球 | 野球日本代表 侍ジャパンオフィシャルサイト

野球日本代表 侍ジャパンオフィシャルサイト

メニュー

日本語 English

世界の野球

"世界の野球"セルビア野球の挑戦と葛藤 バルカン・ベースボール事情あれこれ「セルビア野球と国際リーグ」

2017年7月11日

文・写真=辰巳 知行

 セルビアの野球界にとって、昨年2016年は大きな節目の年となった。二つの国際リーグで昇格を果たしたのだ。ひとつはインターリーグ(中東欧地域のクラブチームによるリーグ戦)でプールBからAへ、もうひとつは各国代表チームによる欧州野球選手権でプールCからBへ、それぞれワンランクずつアップし、選手をはじめとする関係者は歓喜の声を上げた。セルビアに野球が「伝わって」四半世紀にしてついに、ボトムプールから抜け出したのである。

 まずは、それぞれのリーグについて簡単に説明しておこう。

 
インターリーグ

 インターリーグはスロベニア、クロアチア、ハンガリー、スロバキア、セルビア等の中東欧諸国によるクラブチーム対抗戦で、各国を代表するクラブチームが年間を通じてリーグ戦を戦う。週末になるとお互いの国を車で行き来しながらホーム&アウェーで試合を重ねて行く姿は、国土が比較的コンパクトな中欧地域ならではのリーグである。

 2つのプール(AとB)があり、それぞれ6チームずつで構成されている。毎年、プールAの下位2チームとプールBの上位2チームが入れ替わるルールはなかなかダイナミックであるが、ベオグラード96は昨年、このプールBで2位に入ったため、今年からプールAでプレーをすることになった。もうひとつのセルビアのクラブチーム、ヴォイヴォディナは、今年もプールBで奮闘している。

 各国の国内リーグにおいては、上位と下位の力の差が大きい場合が多いことから、各国の上位チームが集うインターリーグは、彼らにとって野球らしい野球を堪能できる貴重な場となっている。有意義な試合をするためには国境も超えるという彼らの情熱が、インターリーグを成立させているのだろう。

 因みに、今シーズン7月時点での戦績は、ベオグラード96がプールAにおいて5勝13敗の5位、ヴォイヴォディナがプールBにおいて1勝8敗で最下位となっているが、秋シーズンでの挽回に期待したいところである。

インターリーグの関連ウェブサイトは以下の通り。

インターリーグのウェブサイト
http://eurointerleaguebaseball.com/

インターリーグのフェイスブックページ
https://www.facebook.com/eurointerleaguebaseball/?fref=ts

 
欧州野球選手権

 欧州野球選手権は、国別対抗でヨーロッパの最強国を決めるリーグ戦である。欧州野球連盟が主催し、3つのプール(A、B、C)に分かれて実施されている。セルビアは1996年の連盟加盟以来、プールCが指定席となっていたが、昨年スロベニアで開催された同カテゴリーの大会で見事優勝を果たし、念願のプールBへの昇格を果たした。

 セルビアの新聞に取り上げられたセルビア代表。野球を知らない大多数の読者のために、バット、ボール、グラブ等の説明が付されている。見出しは、「東京(オリンピック)へ夢を膨らませる!」。因みに、野球の記事を新聞で目にすることは通常、ほとんどない。

2016年欧州野球選手権プールCのフェイスブックページ
https://www.facebook.com/BaseballEChLjubljana2016/

 あくまで筆者の個人的見解であるが、セルビア代表の野球のレベルは、日本の高校野球地区予選の2、3回戦ぐらいならば突破できるレベルであろう。セルビアの野球競技人口は300人程度で、その内、高校生以上の大人はおそらく100人前後だろうか。その分母からの国代表ながら、野球そのもののレベルは決して低くはない。球技スポーツ全般に長けたセルビアだけに、競技人口さえ増えてくれれば、と願いたくなってしまう。

 因みに、昨年2016年の欧州選手権の覇者はオランダである。欧州唯一のWBC常連国だけあって、欧州では圧倒的な強さを誇っている。2位はスペイン、3位はイタリア、以下はドイツ、チェコ、ベルギーと続く。旧ユーゴ諸国ではクロアチアが10位にランクインしている。

欧州野球連盟のウェブサイト
http://www.baseballeurope.com/

欧州野球連盟のフェイスブックページ
https://www.facebook.com/EuropeanBaseball/?fref=ts

 ヨーロッパではまだまだマイナースポーツの野球であるが、オランダ以外にもWBCの常連国となるような国が出てくれば、普及もさらに進むかも知れない。欧州が世界の野球地図にがっちり食い込んでくるようなことになれば、オリンピック競技から野球が外されるという悲しい事態も回避できる可能性が大いに高まるだろう。その意味で、セルビアの小さな一歩は、世界の野球にとっては実は大きな一歩なのかも知れない。

 次回は、数年に一度の定期行事となりつつある、セルビア高校代表チームによる日本遠征武者修行の旅についてお伝えする予定である。

著者プロフィール
辰巳 知行(たつみ ともゆき)
1968年10月18日生まれ
バルカン地域に勤務していた2000年代、誕生間もないセルビアの野球と出会う。以来、コーチ兼選手として、同国における野球の発展と普及に取り組む。セルビア高校代表チームの日本遠征を企画・実施する等現在も協力を続けており、いつの日か、セルビア代表が侍ジャパンに挑戦できる日が来ることを夢見ている。大阪府立北野高校野球部99期主将。

世界の野球
ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12
侍ジャパン公式オンラインショップ

PARTNERS

DIAMOND PARTNERS

  • 日本通運
  • MUFG

OFFICIAL TITLE PARTNER

  • ラグザス株式会社

OFFICIAL PARTNERS

  • JTB
  • KONAMI
  • 興和株式会社
  • 花王 SUCCESS
  • JAPAN AIRLINES
  • コカ・コーラ

SUPPORTING PARTNERS

  • LAWSONticket
  • UNIQLO
  • mizuno