「第8回WBSC女子野球ワールドカップ」(8月22~31日、米国フロリダ)で6連覇を目指す侍ジャパン女子代表の第1回強化合宿が23日、宮崎県日向市内で始まった。
侍ジャパン初の女性監督となった橘田恵監督が組んだメニューは初日からハード。昨年末のトライアウトで選出されたアマチュア29人とプロ6人が、大王谷運動公園野球場とお倉ヶ浜騒動運動公園屋内運動場で午前9時から午後5時30分までたっぷりと汗を流した。夕食後には栄養学講座とチームミーティングも行われ、充実の初日となった。
![リーダーに指名されてあいさつする出口彩香(ハナマウイ)](/img/news/press/20180223_1_1-1.jpg)
![歓迎セレモニーで花束を贈呈される橘田恵監督](/img/news/press/20180223_1_1-2.jpg)
![投手陣にバント処理のフィールディンスを指導する橘田恵監督](/img/news/press/20180223_1_1-3.jpg)
![走塁練習する出口彩香(ハナマウイ)](/img/news/press/20180223_1_1-4.jpg)
![チームトップの俊足を誇る田中美羽(アサヒトラスト)](/img/news/press/20180223_1_1-5.jpg)
![華麗なスライディングを見せる三浦伊織(京都フローラ)](/img/news/press/20180223_1_1-6.jpg)
![出口彩香(ハナマウイ)は橘田恵監督の指示をあおぐ](/img/news/press/20180223_1_1-7.jpg)
橘田ジャパンのカラーが色濃く出た一日でもあった。ウォーミングアップ後、真っ先に取り組んだのは走塁練習だ。12年大会から前回大会までワールドカップ大会技術委員を務めて世界の女子野球を知り尽くしている指揮官は「海外で一番差が出るのは走塁」と言い切る。今回の候補メンバーは走力のある選手を多く集めた。「今までよりさらに走れるんじゃないかなと思います」とイメージをふくらませる。
監督デビューとなった昨年のアジアカップがきっかけになった。全勝優勝したとはいえ、香港戦では2得点しか挙げられずに苦戦した。「シンプルな野球をやっているようでは、一筋縄ではいかないなと感じました。その経験をワールドカップで生かしたい。打てない時にはしっかり走って、相手に揺さぶりかけていくことで、私たちの野球の展開に持っていくという形をつくりたいと思います」と意図は明確だ。
単に足が速いか遅いかということではなく、走塁の技術向上を突き詰めていく。この日1時間かけて走塁指導を行ったのは、橘田監督の小野高時代の同級生で、大阪ガス時代に走塁のスペシャリストだった猪坂彰宏コーチ。スタートの切り方からスライディングまで基本から徹底的に叩き込んだ。また、ミーティングではわかりやすい例を挙げて、走塁意識を刺激した。トライアウトで計測した二塁到達タイムの1位と2位の0・17秒差に触れて「0・17秒というとあっという間に思うけれど、距離にすると1・1メートル。アウトになるかセーフになるかを考えると大きい。0・17秒を縮める努力をしてほしい」と選手がイメージしやすい言葉で呼びかけた。
午後に行った6イニングの紅白戦においても、橘田監督の明確なメッセージが込められていた。サインは盗塁、バント、エンドランの3つだけという状況の中、自チームではバントをしない選手に敢えてそのサインを出したのだ。「そういうことができないと(代表に)残れないんだよという意識付けができたのかなと思います」。その言葉からも橘田ジャパンが目指す野球が見えてくる。
走塁や小技を使って目指す6連覇という頂。その出発点となる今合宿には「学び」と「コミュニケーション」というテーマが根底に流れている。
![捕手陣を指導する木戸克彦コーチ](/img/news/press/20180223_1_2-1.jpg)
![投内連係で一塁ベースに入る里綾実(愛知ディオーネ)](/img/news/press/20180223_1_2-2.jpg)
![外野手を指導する橘田恵監督と志村亜貴子コーチ](/img/news/press/20180223_1_2-3.jpg)
![紅白戦ではクロスプレーも](/img/news/press/20180223_1_2-4.jpg)
![紅白戦で2回を無安打無失点に押さえた小田嶋真美(横浜隼人高)](/img/news/press/20180223_1_2-5.jpg)
![猪坂彰宏コーチが走塁を指導](/img/news/press/20180223_1_2-6.jpg)
![スライディングの説明をする猪坂彰宏コーチの話を真剣な表情で聞く選手たち](/img/news/press/20180223_1_2-7.jpg)
前夜宿舎で行ったミーティングで橘田監督は、チーム目標として「全てにおいて『世界一』」を掲げた。あいさつや礼儀、全力プレー、感謝の心といったチーム心得を説き、選手たちに人間性を磨くことを求めた。将来的に女子野球界を背負って立つ人材になってほしいという思いからだ。
だからこそ、この強化合宿を単なるふるいの場にはしない。「最終的には20人になるサバイバル合宿だけど、その中でも学びを大切にしてもらいたい。人をけなして突き落とす合宿ではなく、人のいいところを見て学んでチームに持ち帰る。そうすれば女子野球がレベルアップする取り組みにつなげていけるはず。そういうポジティブな合宿にしてほしい」と橘田監督は話す。
さらに、選手たちには自分自身の考えを発信することも求めた。「監督がこうだと言った時に、ハイ、ハイと全部聞く選手がいい選手だと思わない。一緒にしっかり会話していきたいと思います。こんなのどうですかと言ってくれた方がよっぽど向上していく」とコミュニケーションの重要性を説く。
合宿2日目の24日に行う紅白戦では、打順も登板順もサインも全て自分たちで考えて話し合って決めるように指示を出した。選手たちが、どんな試合運びを見せ、どんな反省をぶつけ合って、チーム力を高めていくのか。その成長過程は、日本の女子野球の将来を占うことにもなる。
第8回 WBSC 女子野球ワールドカップ
大会期間
2018年8月22日~8月31日
オープニングラウンド
8月22日(水)23:00 日本 8 - 0 ドミニカ共和国
8月23日(木)23:00 香港 0 - 23 日本
8月25日(土)7:00 日本 2 - 1 カナダ
8月26日(日)7:00 キューバ 1 - 4 日本
8月27日(月)7:00 日本 5 - 1 オーストラリア
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
スーパーラウンド
8月29日(水)7:00 日本 3 - 0 アメリカ
8月30日(木)2:00 日本 2 - 1 チャイニーズ・タイペイ
8月30日(木)22:00 日本 10 - 0 ベネズエラ
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
決勝
2018年9月1日(土)7:00 日本 6 - 0 チャイニーズ・タイペイ
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
開催地
アメリカ(フロリダ)
出場する国と地域
グループA
アメリカ、ベネズエラ、チャイニーズ・タイペイ、韓国、オランダ、プエルトリコ
グループB
日本、カナダ、オーストラリア、キューバ、香港、ドミニカ共和国
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