東京での合宿で初めての曇天となった20日。途中小雨がぱらつく中、13時から直前合宿2戦目となるHonda戦が東京ガス大森グラウンドで行われた。球場には日米の球団スカウトほか多くの球界関係者も集まったこの試合。侍ジャパン社会人代表はHondaに3-5で敗戦。敗れはしたものの収穫の多い試合となった。

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
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
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甘い球を逃さないHonda打線に5失点
先発の堀誠(NTT東日本)は5回を投げ被安打7、失点4。うち味方のエラーによる不運な1失点もあった。
「常にランナーを出してしまった。もっと抑えられれば」と振り返った堀。4失点のうち2点が2本のソロアーチだったことについて「甘く入ってしまった。(アジア大会では)海外のバッターはパワーがあるので、変化球でどうカウントを取るかを考えたい。そして低めの制球力をつけることが課題」と話した。
6回からは進路に注目が集まっている吉川峻平(パナソニック)が登板。3回を投げ三塁打2本を含む被安打4。味方の好守もあって犠牲フライでの1点に抑えた。
普段は先発だが代表チームでは今回のようにリリーフ起用が予想される吉川。「きょうはイニングの頭からの登板だったが、中継ぎとしての入り方を考えなければいけないと思った。どう取り組むべきか他の投手に聞いて参考にしたい」と今後のプランを口にした。
9回にはチーム最年少コンビのひとり、21歳の勝野昌慶(三菱重工名古屋)がマウンドに。自慢の力のある速球で1安打無失点に抑えた。
好調な中軸に加えて前後も快打を放つ
各選手が実戦感をつかむため、この日は前日の2番青栁匠(大阪ガス)と3番近本光司(大阪ガス)、8番木南了(日本通運)が先発を外れ、3番には前日の1番起用で打撃開眼した松本桃太郎(Honda鈴鹿)が入った。
松本は初回に無死一、三塁でレフトへタイムリーを放つと、3回には先頭打者としてライト線へ二塁打。ナインからは勢いのある打撃に「無双!」との声が上がった。
4番笹川晃平(東京ガス)は好調を維持しタイムリー二塁打とラッキーなヒットの2安打。2つの四死球を含め4度出塁した。5番喜納淳弥(NTT東日本)も連日のヒットで中軸は日々ヒットを重ねている。
この日は6番森下翔平(日立製作所)も2安打1打点。森下は「きのうはチャンスでゲッツーだったが、きょうはつなぎの役割が出来て良かった」と話した。積極的な強打が持ち味の森下だが3-3で迎えた3回裏、無死一、二塁の場面ではバントの構えで相手守備陣を揺さぶった。
「打てのサインだったが自分の判断でそうした。自分がサードを守っている時、バントの構えをされると警戒する。あの場面、結果は三振だったが、点を取る確率を上げるためにもそういうこともしていきたい」と森下は思いきったスイングだけではなく工夫も見せた。

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

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

不慣れな外野を守る辻野は長所でのカバーを決意
捕手登録だが1番右翼で出場の辻野雄大(Honda)は所属チーム相手に、初回四球で出塁すると次打者の時、持ち前の俊足を生かして盗塁成功。捕手からの送球が外野の逸れる間に三塁へ進み、3番松本のヒットで生還した。また2回にはライト線へのヒットも放った。
しかしその次の回、3回表の守備では2死三塁でフライを落球するタイムリーエラーをしてしまう。「攻撃ではいい面が出たが、守備ではいつもとは違うとは言え(エラーの)言い訳は出来ない」と振り返った辻野。
試合後のグラウンドで辻野は捕手仲間の木南、細山田武史(トヨタ自動車)のサポートを受けながら居残り特守を行った。特守後、先発の堀に「失点増やしちゃってごめんな」と声を掛けた辻野は、「1試合通じていい面だけで継続するのは難しいが、外野手の一員として自分らしく相手が嫌がるプレースタイルを貫きたい」とプラスとマイナスを味わった試合を経て、大会への決意を固めた。
10回にはタイブレークを実施
この試合、9回で決着したがアジア大会を見据えた特別ルールで延長10回を設け、継続打順で無死一、二塁でのタイブレークを実施。先行のHondaが荒西祐大(Honda熊本)から1点を挙げるもその裏、田村強(JR西日本)のレフトへのタイムリーと北村祥治(トヨタ自動車)のセンター犠牲フライで2点を侍ジャパン社会人代表が挙げゲームを終えた。
石井章夫監督は試合を振り返り、「先発の堀には5回を投げてもらったが、5イニング目の投球は良かった」とし、9回までに11安打を放った打線については「これまでになく強力だった。投手陣にとっても打線の活躍はいい刺激になるだろう」と話した。
直前合宿も残すところあと1日。21日はロッテ浦和球場に場所を移し、13時から最後の実戦となる千葉ロッテマリーンズ2軍とのオープン戦を行う予定だ。
第18回 アジア競技大会
大会期間
2018年8月26日~9月1日
予選ラウンド(グループA)
8月26日(日)11:00 日本 15 - 0 パキスタン
8月27日(月)16:00 日本 17 - 2 中国
8月28日(火)11:00 タイ 0 - 24 日本
※開始時刻は日本時間(ジャカルタ:時差-2時間)
スーパーラウンド
8月30日(木)14:00 日本 1 - 5 韓国
8月31日(金)20:30 チャイニーズ・タイペイ 0 - 5 日本
※開始時刻は日本時間(ジャカルタ:時差-2時間)
決勝
9月1日(土)18:00 韓国 3 - 0 日本
※開始時刻は日本時間(ジャカルタ:時差-2時間)
開催地
インドネシア(ジャカルタ)