第2回 WBSC U-23ワールドカップ(10月19日からコロンビア・バランキージャ)に出場する侍ジャパンU-23代表が10月11日、大会直前合宿をスタートさせた。この日はチームへの合流が遅れている楽天・堀内謙伍、内田靖人、東京ガス・中山悠輝、阪神・島田海吏を除く20人が東京近郊のグラウンドで約3時間、調整を行っている。
今回はトップチームを率いる稲葉篤紀監督が、U-23世代も束ねる。グラウンドでの冒頭のミーティングでは、2つの「約束事」を伝えた。「グラウンドでツバを吐くのは良くない。成長させてくれる場所だからやめましょう、と。また、試合中、投げないピッチャーも帽子とユニフォーム(上着)を着用する。皆で一緒に戦っているわけですから」と、侍ジャパン代表としての強い自覚を促した。まずは日の丸を背負う心構えを説いたのも、実直な稲葉監督らしい指示と言える。現役時代は、攻守交代時における全力疾走を怠らないなど、野球人としての姿勢を重要視しているのだ。
ウォーミングアップの後は投内連係でバントシフトほかの確認、そしてシートノック。投手は4投手(ロッテ・種市篤暉、楽天・近藤弘樹、広島・長井良太、広島・塹江敦哉がブルペン入りし、野手はフリー打撃を行った。
「フェニックスリーグ(宮崎)もあって、選手は(体が)仕上がっている。選手たちも緊張と楽しみ両方あるようですが、皆、良い顔をしていた。この緊張感を途切れることなく、結束力を持って世界一を目指して戦います」(稲葉監督)
なお、主将には楽天で5年目の23歳・内田靖人を指名した。14日からのチーム合流予定だが、指揮官は「年齢も一番上。四番を任せようと思っている」と、今季一軍で12本塁打を放った右の大砲に大きな期待を寄せている。
フリー打撃で快音を響かせたロッテのルーキー・安田尚憲には、稲葉監督は「高校時代から見ていますが、飛ばす能力が素晴らしい」と目を光らせる。今季終盤には一軍で初本塁打を放っている19歳を、クリーンアップで起用する方針だ。
投手陣はロッテ・種市と楽天・近藤のブルペン投球を熱心にチェックし「力強いボールを投げる。期待できると思います」と、勢いある2人の右腕に目を細めていた。なお、稲葉監督は投手11人のリーダー的存在として広島・塹江に託す意向を示している。
「前回大会(2016年、メキシコ)を経験しており、自らで感じたことを、どんどん伝えていってほしいと思っている」。指揮官の言葉を受けて、塹江はこう語っている。
「一軍で投げている年下の人もいますし、国際試合だからと言って、怖がる必要はないと思います。僕は前回大会、思うような投球ができなかったときに、歳内さん(宏明、阪神)ら先輩方がフォローしてくれた。一人だと難しかったので、声をかけていただき、ありがたかった。今回は、自分がその役割を果たしていきたいと思っています」
とはいえ国際試合、しかも、今回は異国開催であり、想定外の動きが十分、予想される。侍ジャパン・山中正竹強化本部長は、宿舎でのミーティングで「何があっても動じない!!」と選手たちに伝えている。稲葉監督としても、中南米での真剣勝負は初めてだ。「選手は次のステップへ生かしてほしいですし、私の中では経験が大事」と、2020年の東京五輪へ向け、指揮官としての場数を踏んでいく狙いもある。「昨年11月のアジアプロ野球チャンピオンシップでの反省でもあるんですが、1点をどうやって取りに行くか。策を使えるチャンス。投手交代を含めて、試していこうと思っています」
大会直前合宿は明日12日も東京近郊のグラウンドで練習を行い、その後は社会人チームとの2試合の練習試合を経て、15日にコロンビアへ出発する予定となっている。
第2回 WBSC U-23ワールドカップ
大会期間
2018年10月19日~10月28日
オープニングラウンド
10月20日(土)5:00 日本 13 - 0 南アフリカ
10月21日(日)0:00 チャイニーズ・タイペイ 1 - 3 日本
10月22日(月)0:00 日本 7 - 2 メキシコ
10月23日(火)0:00 日本 5 - 0 オランダ
10月24日(水)10:00 コロンビア 2 - 7 日本
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
スーパーラウンド
10月26日(金)0:00 日本 3 - 2 韓国
10月27日(土)5:00 日本 6 - 3 ベネズエラ
10月28日(日)0:00 日本 4 - 0 ドミニカ共和国
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
決勝
10月29日(月)9:00 日本 1 - 2 メキシコ
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
開催地
コロンビア(バランキージャ)
出場する国と地域
グループA
日本、メキシコ、チャイニーズ・タイペイ、オランダ、コロンビア、南アフリカ
グループB
韓国、オーストラリア、プエルトリコ、ベネズエラ、ドミニカ共和国、チェコ