第2回 WBSC U-23ワールドカップ(コロンビア・バランキージャ)に出場している野球日本代表「侍ジャパン」U-23代表は10月20日、オープニングラウンド第2戦でチャイニーズ・タイペイと対戦、3対1で制し、開幕2連勝を飾った。
侍ジャパンU-23代表・先発メンバー
(指)宮澤義也(新日鐵住金かずさマジック)
(中)島田海吏(阪神)
(一)安田尚憲(ロッテ)
(三)内田靖人(楽天)
(捕)堀内謙伍(楽天)
(二)中山悠輝(東京ガス)
(左)岸里亮佑(日本ハム)
(遊)大河(DeNA)
(右)周東佑京(ソフトバンク)
▼投手 種市篤暉(ロッテ)
待望の一発が飛び出した。双方無得点で迎えた3回表一死二塁から、三番・安田が右越えへの先制2ラン。チャイニーズ・タイペイの先発左腕のスライダーを、持ち前のパンチ力でジャストミートすると、ライナーで右中間スタンドへ運んだ。現役時代、同じ左打者の稲葉篤紀監督は日本での大会直前合宿の際から「彼の成長というのが、これからのプロ野球にも大きな影響が出る。この期間を成長の場にしてほしい」と、マンツーマンで指導。安田も「いろいろ吸収していきたい」と語っていた通り早速、指揮官へ恩返しの本塁打となった。安田は高卒ルーキーの今季、一軍でもプロ初本塁打を放っている期待の長距離砲。昨年9月、銅メダルを獲得したU-18W杯(カナダ)にも出場しているが、侍ジャパン公式戦での初アーチだった。
この日の先発投手は建山コーチが「国際試合では相手の情報が少なく点を取ることが難しくなる試合が多い。彼はこの大会では長いイニングを最少失点に抑えられる力のある投手」と期待を寄せる高卒2年目の種市をマウンドへ送った。しかし、立ち上がりにいきなりアクシデントが起こる。1回裏、先頭打者の一、二塁間のゴロで、捕球した一塁手・安田の一塁送球が逸れる内野安打。犠打と二ゴロで二死三塁のピンチを迎えるが、本人も「落ち着いていた」と振り返ったように、冷静さを失わない投球で、四番打者からフォークで空振り三振を奪っている。
日本は2回表二死から六番・中山が右中間二塁打、岸里が四球を選び、大河の三塁内野安打で二死満塁。だが、周東は二ゴロで先制機を逃している。日本としては嫌なムードとなったが、2回裏は三者連続三振と、種市が相手に傾きかけた流れを断ち切った。左打者への外角ストレートに、右打者にはタテ横のスライダー、そして、追い込んでからはフォークと相手打線に的を絞らせなかった。
守りでリズムを作った日本は3回表一死から二番・島田が初球に「サードとファーストの、守備位置や試合前練習の動きを見て判断した」という三塁前への絶妙なセーフティーバントを決める。続く三番・安田の打席で島田の足を警戒し、執拗なまでの一塁けん制。2ボール1ストライクとなったところでボークを誘い、島田は労せずして二塁へ進塁。ここで、動揺する相手投手の心の〝スキ〟を突いたのが安田だった。直後の甘く入った変化球を見逃さず、先制2ラン。日本が得意とする機動力で相手バッテリーを揺さぶり、得点へとつなげる理想の攻撃パターンであった。
追加点がほしい日本は、7回表一死から大河が右翼フェンス直撃の三塁打で出塁。二死後、「タイミングは合っていたので、いつも通りの気持ちで打席に入った」一番・宮澤の右二塁打。いい当たりではなかったが「終盤の良いところで打ててよかった」と本人も自賛する値千金の追加点で3対0とリードを広げる。
先発・種市は「国際大会では知らない打者ばかり。集中して投げた」と語るように、テンポの良い投球で7回無失点。わずか88球で、被安打4の10奪三振(無四球)とほぼ完ぺきな投球内容を披露。8回裏は2番手、「海外の選手との対戦を楽しみにしていた」長井が力強いストレートで押し、2奪三振で無失点。9回裏は左腕・塹江が一死からソロアーチを浴びて2点差とされたが、。一塁ベンチ横で日の丸の旗を掲げるファンからの「ニッポン!!」コールの後押しもあり、落ち着いて試合を締めくくった。
稲葉監督も試合後、種市と安田の両ヒーローについて「種市は素晴らしかった。安田も一発で気分もよくなったと思うし、これで上向きになってくれれば」と話し、試合自体も「勝ちきることが大事。非常にいいゲームだった」とチームを讃えた。
グループAの日本は開幕2連勝。オープニングラウンドは5試合あり、上位3チームがスーパーラウンドへ進出する。第3戦(日本時間22日、0時試合開始)はメキシコと対戦を控える。メキシコはチャイニーズ・タイペイとのオープニングラウンド初戦を2対1で勝利している侮れない相手だ。稲葉監督は明日の試合を控え「毎日対戦相手が変わる。とにかく1戦1戦気持ちを切り替えて、反省すべきは反省して明日の試合に臨みたい」と力強く語った。
第2回 WBSC U-23ワールドカップ
大会期間
2018年10月19日~10月28日
オープニングラウンド
10月20日(土)5:00 日本 13 - 0 南アフリカ
10月21日(日)0:00 チャイニーズ・タイペイ 1 - 3 日本
10月22日(月)0:00 日本 7 - 2 メキシコ
10月23日(火)0:00 日本 5 - 0 オランダ
10月24日(水)10:00 コロンビア 2 - 7 日本
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
スーパーラウンド
10月26日(金)0:00 日本 3 - 2 韓国
10月27日(土)5:00 日本 6 - 3 ベネズエラ
10月28日(日)0:00 日本 4 - 0 ドミニカ共和国
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
決勝
10月29日(月)9:00 日本 1 - 2 メキシコ
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
開催地
コロンビア(バランキージャ)
出場する国と地域
グループA
日本、メキシコ、チャイニーズ・タイペイ、オランダ、コロンビア、南アフリカ
グループB
韓国、オーストラリア、プエルトリコ、ベネズエラ、ドミニカ共和国、チェコ