11月22日から24日まで愛媛県で行われたU-15 アジアチャレンジマッチ2019は、3試合35得点4失点と他チームを圧倒した侍ジャパンU-15代表が全勝優勝を果たした。軟式の選手たちで構成された同代表も8月のBFA U15アジア選手権で優勝を果たしており、軟式・硬式それぞれのU-15代表が大会を制覇したこととなった。
U-15 アジアチャレンジマッチはWBSC(世界野球ソフトボール連盟)が主催するU-15W杯が2年に1度の開催のため、それが無い隔年に行われる。今大会は松山市代表、フィリピン、チャイニーズ・タイペイが参加。
侍ジャパンU-15代表は、中学硬式野球5連盟からジャイアンツカップ(全日本中学野球選手権大会)出場選手を中心に選出された18名の精鋭たち。フィリピンはアジア選手権で好投した左腕のデラクルーズが先発してきたが、チャイニーズ・タイペイはアジア選手権の代表とは異なりポニーリーグワールドシリーズで優勝したメンバーを中心とした台北市の選手たちが参加した。
侍ジャパンU-15代表の試合は3戦とも実力差があり大差はついたが、終始緊張感を持ったプレーでしっかりと勝ち切った。
結成は大会前日の公式練習からではあったが、経験豊富でこの夏のジャイアンツカップも戦った吉田昌弘(世田谷西リトルシニア監督)、古谷武士(橿原ボーイズ監督)両コーチが戦力を把握。選手たちも結束力や自覚も強かった。
これらによって攻守で隙が無く好プレーが多く生まれ、鹿取義隆監督は「バランスの良いチームで、みんながしっかりと役割を果たしてくれました」と称えた。また、吉田コーチも「まだまだ強くなれそうなチームでしたよね」と名残惜しそうに語った。
選手たちの意識も高かった。昨年、メンバー唯一の2年生で代表入りを果たしU-15W杯ではベストナイン(二塁手)を獲得するなど4位入賞に貢献した福原聖矢(安仁屋ヤングスピリッツ)は、さらに進化した高い技術力を走攻守で見せて各選手の手本となった。
今大会唯一の本塁打を放った海老根優大(京葉ボーイズ)は、プレミア12の日本ラウンドをアメリカ戦以外、すべてチケットを買って観戦に行き、同じく長打力と俊足が武器である4番の鈴木誠也(広島)から大きな刺激を受けたという。また優勝がかかった最終戦前には、松田宣浩(ソフトバンク)がプレミア12の決勝開始前に行った円陣の声かけを再現し、チームメートを盛り立てた。
鹿取監督は選手たちに「侍ジャパンに選ばれた自覚を持って模範となるように。成長を続けて、また侍のユニフォームを着られるようになって欲しい」とエールを送る。彼らの躍動を来年以降は各地の高校や甲子園で見られること、そして1人でも多くの選手がU-18代表として再びこのユニフォームに袖を通すことを願いたい。
そして、8月のU15アジア選手権で優勝し2位以上に与えられる来年のU-15W杯の出場権を獲得しているだけに、全国数カ所で行われる予定のセレクションを経て選出される来年のU-15代表による初の世界一を目指す戦いにも注目していきたい。