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栗山英樹監督新春特別インタビュー【第3回】次世代に繋ぐ責任、WBCへ最大限の準備を

2022年1月3日

 新たに野球日本代表「侍ジャパン」トップチームの指揮官となった栗山英樹監督。2023年3月に開催予定の第5回ワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)での世界一奪還を託された同監督の新春特別インタビューを3回に分けて連載する。
 第3回となる今回は、日本の野球を次世代へ繋いでいく強い決意やWBCへの抱負などを語った。

次世代へ繋ぐ思い

――これまでの栗山監督の活動や会見での言葉を聞いていると「次世代への思い」を強く感じます。その原点はどんなことでしょうか?
「もちろん私たちは“周りの人に感謝しろ”と教わってきましたけど、特に星野仙一さんから“なんで俺たちは野球ができているか分かっているのか!野球界に恩返ししろ!”とすごく教えられたし、怒られました。そういうきっかけを星野さんだけでなく、いろんな人からいただきました。僕がヤクルトで選手をしていた時に当時の関根潤三監督から“昔、我々は野球屋さんと呼ばれた時代があった。野球選手がプロとして認められない時代もあったことを絶対に忘れちゃいけない”と、言われていたことも強く印象に残っています。そうした先輩たちが作ってくれた今の野球界なのです。僕らの頃にはもう“野球で飯を食う”という夢があったわけですから、その夢を次の世代に繋げていくというのは我々の責任なのです」

――だからこその「繋いでいく」という思いですね。
「どうしても新しいものを作りたくなるけど、そうじゃない。先輩方が作ってくれた良いものを次世代に繋ぐ責任があると思うので、それは絶対に忘れないようにしたいですね」

「本当の思いは勝たないと伝わらない」の真意

――侍ジャパンではU-12からトップチーム、女子と合わせて8つのカテゴリがありますが、視察などの際に必ず伝えたいことはありますか?
「視察で顔を出すこと自体が何かを伝えることにもなるし、“仲間なんですよ”と伝えることにもなります。そしてその“仲間なんだ”という気持ちは侍ジャパンに選ばれた選手だけじゃなくて、例えばゴムボールで野球して遊んでいるお子さんに対しても大事にしないといけません」

――野球の競技人口減も叫ばれています。
「野球は今、どうしてもお金がかかってしまうからできないという子供たちもいる。それでも、子供たちに野球の面白さを少しでも感じてもらう作業をしっかりしなくてはいけません。それが侍ジャパンの監督になる条件の中にもあったし、NPBの方もそうしたことを考えてくださっている。僕らができる限りのことをしなくてはいけません」

――就任会見で述べた「本当の思いは勝たないと伝わらないこともある」の真意を教えてください。
「例えば、ファイターズでは“選手のためになる”ということを判断基準でやってきました、でも、どんな作戦だろうと、どんなチームの動かし方だろうと、勝てば納得してもらえるけど、勝たないと伝わりにくい。やっぱり“敗軍の将は兵を語らず”なので、負けているのに“僕らはこんな思いでやりました”なんて言うつもりは決してありません。物事は、良いことをやっていても、結果がすべてだというところもありますから。また、選手の取り組みや思いは勝つことによってハッキリ伝えられる。監督として、野球のことを考えてくださっているすべての人たちの思いを考えれば、勝ち切らないといけない責任を感じています」

――2023年に開催予定のWBCではどのようなものを見せていきたいですか?
「なんでもいいです。勝てれば。勝つためにはなんでもやってやると思っています。どんな形でもいい。その“どんな形があるのか?”を最後の最後まで、1試合の中で打つ手がなくならないように準備をしていきたいです」

――そのために2022年はどのような年にしていきたいですか?
「今年の漢字一字にも記した“備”(そなえ)ですね。どれだけ準備できるのか。“あの時にあれをやっておけば良かった”とか“あの人に会って話を聞いておけば良かった”とか、そういうものが無いようにひたすら準備をする。備えるということを繰り返す1年にします。“あんなに準備したことないよね”といつか振り返れる1年にしたいです」

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