10月4日に侍ジャパントップチームを率いることが発表された井端弘和監督。就任早々、王座を奪還したWBC後初となる国際大会である「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」(11月16日~19日/東京ドーム)を控える。 その胸中に迫るインタビュー連載の後編は、選手の編成・選出の意図や対戦チームの印象、大会で見せたいものなどを聞いた。
選手たちへの期待
――選手選考は、10月初旬の就任発表からあまり時間がありませんでしたが、どれくらい時間を要して、どのように選考したのでしょうか?
「それこそあっという間で1週間くらいしかなかったので、“まずは今大会の規定の中からピックアップ。補充しないといけないところをオーバーエイジで”と考えていました。ただ今井達也投手(西武)と坂倉将吾捕手(広島)は25歳。規定より1歳上だったくらいなので、若い選手と同じような意図で選出しました。ただ、試合の最後を任せるのはチームでも抑えの経験のある方が良いと思い田口麗斗投手(ヤクルト)を選出しました。ただ他の投手に抑えを任せる可能性もありますし、キャンプで投げているボールを見て決めます」
――捕手陣についてはいかがでしょうか?
「坂倉選手はカープでほぼメインでマスクを被りましたので、侍ジャパンを経験することで、さらに飛躍するのではないかと期待しています。また、古賀悠斗選手(西武)も同様の期待をしています。さらに石橋康太選手(中日)は良いところで打ちますし、中日でも正捕手とは一味違うリードをしているのでアクセントにもなるでしょう。加えてムードメーカー的な存在でもあるので、彼に限らずですが、自チームと同じ姿を見せて欲しいですね」
――内野手・外野手の選手たちはいかがでしょうか?
「みんな期待していますよ。来年以降も侍ジャパンに入って欲しい選手たちですから、それくらいの活躍を見せて、プレミア12にも1人でも多く入って欲しいと思っています」
――コーチとして戦った東京オリンピックは、今回に比べると2名少ない登録選手枠でしたが、その経験が生きていることはありますか?
「そうですね。良い経験をしましたし、源田壮亮選手(西武)が内野全ポジションを守るくらいの役割になっていましたので、やはりそういう選手はありがたいなと、あらためて思いました」
――今回のメンバーで源田選手のような役回りは、どの選手に期待していますか?
「みんなをレギュラーとして考えていますし、これからキャンプ、練習試合で見定めていこうと思うのですが、その中でも門脇誠選手(巨人)はサード、ショート、セカンドとできますからね。そうした複数ポジションを守れる選手が数名いるので、いろんな選択肢ができてありがたいです」
――若い選手たちにはのびのびとやって欲しいと常々おっしゃっていますね。
「それがすべてと言っていいですね。のびのびとやることが良い結果を生むということはU-12代表監督として経験しましたから。その中で、“これはやらなければいけない”というものだけは作って、やっていきます」
――メリハリが大事ということになるのでしょうか?
「そうですね。侍ジャパンである以上は、様々な人に見られる立場になりますから責任が伴います。これは、U-12代表監督としても、臨時コーチ(U-18代表、大学代表)としても言ってきました。言動に責任を持つことは、どの世代であっても変わりません」
対戦チームの印象
――大会開幕まで近くなってきています。まず開幕戦(16日19時)で戦うチャイニーズ・タイペイの印象はいかがでしょうか?
「U-12からU-23の世代では常にトップを争っているチームです。今回も24歳以下なので、変わりなく強いのかなと思いますね。完成度の高いチームを作ってくる印象です」
――2戦目(17日19時)で戦う韓国の印象はいかがでしょうか?
「先日のアジア競技大会(侍ジャパンは社会人代表が出場し銅メダル)で金メダルを獲得しているメンバーが多く、ベースはできているので、強敵になってくるのではないでしょうか。チームとして何試合も、しかも国際試合を数多くこなしていることは強みでしょう。その中で、侍ジャパンとしても結束力は作れると思うので、上手くまとまってチームとして戦いたいです」
――3戦目(18日12時)で戦うオーストラリアの印象はいかがでしょうか?
「今年のWBCでも、韓国に勝利しキューバに善戦するなど飛躍的に成長を遂げているのが分かりましたから、油断はまったくできません」
――WBC後初の国際大会になりますが、ファンの方にはどのようなことを見てもらいたいうでしょうか?
「チームが1つになって戦うところをお見せしたいです。ほとんどの選手が代表初経験なので、選手たちにはこの大会での経験を生かして、次のレギュラーシーズンや国際大会への成長の糧にして欲しいと考えています。ですからファンの皆さんには、良いプレーは全力で褒めていただいて、ミスもあるかもしれませんが温かい目で見守ってくだされば嬉しいです」
――最後に目標とする優勝への鍵となるものは、どういったことでしょうか?
「チームが1つになることだと思います。約10日でチームを作り上げて戦うためにも、1日でも早くチームがまとまって、普段通り、背伸びすることなく、みんなで盛り上がれるチームにしたいです」