10月4日に侍ジャパントップチームを率いることが発表された井端弘和監督。就任早々、王座を奪還したWBC後初となる国際大会である「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」(11月16日~19日/東京ドーム)を控える。 その胸中に迫るインタビュー連載の前編は、監督として大事にしたいことや6日から始まる「侍ジャパン宮崎秋季キャンプ2023」での狙い、コーチ編成の意図などを聞いた。
監督として大事にしたいこと
――就任発表から1ヶ月が経ちましたが今のご自身の状況はいかがでしょうか?
「あっという間の1ヶ月でしたね。選手選考から各球団への挨拶回りまで慌ただしい日々でした。今はその辺りも落ち着いてきて、アジアプロ野球チャンピオンシップに向けて様々なことを考えられています」
――周囲の期待を感じる部分はありますか?
「侍ジャパンはここのところずっと勝っていますので、あくまでも“勝つ”という中で、選手を育てていかなくてはいけないと、ひしひし感じています」
――井端監督にとって代表監督はどういう存在ですか?
「“子どもたちに夢を”という思いの中で、やはり侍ジャパンが勝つことで子どもたちに夢を与えたり、これから野球をやりたいと思ってくれたりする。それがこの春のWBCの優勝で増えたと思います。また、野球に興味が無い人も侍ジャパンは応援するということも間違いなくあったと思うので、その辺りも代表監督の大変さはあると感じています」
――代表監督として大事にしたいことはありますか?
「選手を信頼するしかないなと思いますね。やっぱり良い選手を呼んでいますし、レギュラーシーズンで結果出した選手を呼んでいますので、信頼しかないですし、いかに自分が我慢強くできるかだと思います」
キャンプで重要なことは
――キャンプは選手・コーチとしてもう何回も経験されていますが、キャンプへ向かう気持ちに違いはありますか?
「特に変わらないですね。まずは選んだ選手の顔や動きをひと通り見れば、そこから見えてくるものがあるでしょう。今のところは、どういったチームやプランなのか聞かれることは多いですが、まずはそこを見てから考えたほうが自分らしいのではないかと思っています」
――どのようなキャンプにしていきたいですか?
「日本シリーズを戦っている選手もいますし、レギュラーシーズンを終えてから1ヶ月以上経っている選手もいます。まずは状態をチェックしたいですね。あと。キャンプの中で最も重要なのは、各球団から選手が集まってきているので、プレーの中の約束事などが異なる可能性がある。侍ジャパンとしてはこのようにやるんだということが統一できればいいなと思っています」
――キャンプ内で行われる10日の巨人戦、12日の広島戦は、どのように戦いたいですか?
「投手は全員に投げてもらおうと思っていますし、野手はポジションの適性を見ていこうと思います。特に二遊間をどうやって回すかを試せればと思います。また、外野でも複数のポジションで被っている選手がいるので、適性を判断したいですね。打順の流れも試せればと考えています。普段守っているメインのポジションじゃないところを守らせる選手もいるでしょうけど、若い選手たちですし、試合に出ることに変わりはないと思うので、思いきって自信持ってプレーしてもらえればと思います」
――若い選手中心だからこそ自信や「いつも通り」を大切して欲しい思いがありますか?
「そうですね。侍ジャパンだからといって背伸びする必要はないですし、地に足をつけてやってもらえればいいかなと思いますね。今まで通り、明るく楽しく元気良くという選手もいると思いますので、そこはいつも通りやってもらえればいいかなと思います」
コーチ編成の意図
――コーチ陣の人選はどのようなことを大切にされましたか?
「少数ですが“このコーチ陣だったら回せるな”と思いました。打撃コーチはいませんが、亀井義行外野守備走塁コーチは巨人で、梵英心内野守備走塁コーチはオリックスで打撃コーチの経験があります。また、2人はサードコーチやファーストコーチとしての経験もあるので信頼しかありませんね」
――村田善則バッテリーコーチは小久保裕紀監督、稲葉篤紀監督、栗山英樹監督が率いる侍ジャパンに続いての選出ですね。
「スコアラーとして加わっていた時期も含め侍ジャパンに携わってもう長いですし、東京オリンピックなどでもコーチとして共に戦いました。相手チームの分析やどのように攻めるのかを考えるのは日本の中で一番だと思っています」
――ヘッドコーチには金子誠氏を招聘しました。
「稲葉篤紀さんが監督のときにコーチとして一緒にやっていましたし、彼には慎重さや思慮深さがあります。僕がパッパッと決めてしまうタイプで、それが良さでも悪さでもあるので、そこに金子コーチが毎回疑問を投げかけてくれると思うので、ありがたい存在です」
――吉見一起投手コーチは昨年、今年とU-12代表でもタッグを組んでいましたね。
「U-12代表の時に一緒にやって、子どもたちへのアプローチの仕方や物腰の柔らかさを見て、いいなと思いました。今回もプロの若い選手が多いですし、勉強熱心なので良い経験になると思いますし、最初から力を発揮してくれると期待しています」