新たに野球日本代表「侍ジャパン」トップチームの指揮官となった井端弘和監督。これまで選手・コーチとしてトップチームで活躍し、U-12代表監督(2022年、23年)、U-18代表および大学代表臨時コーチ(2023年)と侍ジャパン各世代の指導も経験した同監督は、どんな思いを込めて指導にあたるのか。就任会見直後にインタビューを行った。
3回にわたる連載第1回は、今の率直な思いや異例となるU-15代表監督との兼務などについて聞いた。
就任の理由、「侍ジャパン」への思い
――就任おめでとうございます。まずは就任要請を受諾した思いを聞かせてください。
「ありがとうございます。要請を聞いた時は驚きましたし悩みました。今まで野球に携わらせていただいたのでなんとか恩返しをしたいと快諾しました。プレッシャーしかありませんが、自分が経験したことを活かしていけたらと思っています」
――どなたかに相談されたのですか?
「決断するまでは自分で決めましたが、決断してからは過去に携わった監督などには連絡をさせていただきました。その中で“とにかく自分を信じて頑張れ”という言葉もいただきましたし、今は“やってやろう”という気持ちしかありません」
――その中でも印象に残っている監督はどなたでしょうか?
「稲葉篤紀さんですね。稲葉監督のもとで内野守備走塁コーチをやらせていただいて、監督とコーチの壁を取っていただき、ある程度同じ目線で野球を見させていただいたのはすごく大きい財産です。稲葉さんは“決断に至るまで、みんなで決める”というスタンスでしたので、コーチとして責任も感じながらやらせていただいたことは、ありがたかったですね。感謝しかありません」
――その経験もベースとなりそうですね。
「はい、その通りですね。今回の就任にあたり、稲葉さんからは“俺も監督経験が無かった。そこは一緒だから”と言っていただいたので、自分ですべて抱えずにスタッフやコーチ、NPBも含めてみんなでチームを作り上げていきたいです」
U-15代表監督兼務を希望した理由
――トップチームの監督という役職は、これまでと違ったプレッシャーがありますか?
「責任は重大ですが、それを言っても何も始まりません。とにかく準備を怠らず、イチからやっていこうとしか思っていません。(トップチームやプロ野球の)監督をやったことないからと言っていても前には進みません。一度決断したからには、全身全霊で取り組んでいきます」
――今回、異例の試みとなるのはトップチームの監督だけでなく、U-15代表監督も兼務するという点です。
「U-12代表の監督、U-18代表と大学代表の臨時コーチをさせていただいたことで“侍ジャパントップチームはこういうものだよ”と伝えられてきたのかなと思いましたし、U-12代表ではU-12W杯の中でそれを表現することができました。だからこそU-15代表にはまだ、そうしたことを伝えられていないという思いもあって“U-12代表の次はU-15代表の監督をやらなければいけない”という思いがあったので強く要望しました。これを受け入れてもらったことには感謝しかありません」
――U-15世代というのは野球選手として、どういった世代に思われますか?
「一番大事な時期ですよね。進学もそうですが将来の方向性にかかわってくる難しい世代なのかなと。その世代から“侍ジャパンとは”ということを伝えていければ、もっと目標が明確になるのではないかと思います。また、それは選ばれた選手だけではありません。野球をやっているU-15世代にも伝われば、なお嬉しいです」
第2回へつづく
【第1回】 稲葉篤紀元監督への感謝、U-15代表監督兼務を希望した理由
【第2回】 U-12代表監督として学んだこと、今後の野球界
【第3回】 初陣となるアジアプロ野球チャンピオンシップで目指すもの