6月11日、第65回全日本大学野球選手権記念大会の準決勝2試合が行われ、中京学院大と中央学院大の2校が決勝戦にコマを進めた。
「あと1人」からの大逆転
奈良学園大の先発は1・2回戦を連続完投し、準々決勝は温存されたエース右腕・鈴木佳佑投手(4年)。一方の中京学院大は3試合すべてに登板(2回戦はリリーフ)し21回を投げてきたエース左腕・栁川優太投手(4年)ではなく、2回戦に先発した左腕・熊岡脩平投手(4年)を先発に起用した。
試合は初回から大きく動く。1死から中京学院大の2番・南亮介内野手(3年)が四球で出るとすかさず二盗。このチャンスにドラフト1位候補・吉川尚輝内野手(4年/侍ジャパン大学代表候補選手)がセンターへのタイムリー二塁打を放ち先制すると、今大会好調の山崎善隆捕手(4年)がライト前へ運び、この回2得点。
だがその裏に、奈良学園大も連打で作った1死二、三塁のチャンスで、高橋拓也内野手(3年)の内野ゴロの間と、村上海斗外野手(3年)のレフト前タイムリーですぐさま同点に追いついた。
さらに奈良学園大は、4回に再び村上のタイムリーで勝ち越し、6回には中西玲人内野手(3年)のライト前タイムリーで4対2と中京学院大を引き離した。
だが、9回にドラマが待っていた。中京学院大は1死から代打・大向繁利内野手(2年)のセンター前安打を皮切りに3連打。そして南の内野ゴロの間に走者が還り1点差とした。
なおも2死一、三塁で打席に立つのは3番・吉川だったが、奈良学園大・酒井慎二監督は「今一番乗っている打者に勝負はしたくなかった」と敬遠。
これに火が点いた4番・石坂友貴内野手(3年)は「インコースのフォークを思いきり振りました」と上手くセンター前に運び、二塁走者も生還する逆転タイムリー。中京学院大が土壇場で試合をひっくり返すと、6回途中から登板していたエース・栁川がその裏を締め、中京学院大が5対4との逆転勝ちで全国大会初出場で初の決勝進出を決めた。
これには吉川も「本当に嬉しいです。(9回は)自分で走者を還したかったですが、石坂がよく打ってくれました」と中京高校の後輩でもある石坂を褒め称えた。
中央学院大が快勝
ここまで2回戦・準々決勝と2試合連続サヨナラ勝ちをしていた上武大だが、試合後に谷口英規監督は「完敗です」と白旗を挙げた。
中央学院大は初回の2死から、成田昌駿内野手(4年)と志岐晴太郎内野手(4年)の連続長打で先制すると、続く5番・深瀬靖彦捕手(4年※指名打者で出場)もライト前へ運び、いきなり2点を先制。上武大先発左腕の寺沢星耶投手(2年)の出鼻をくじくと、後を継いだ投手からも4回・5回・6回と続けて得点を奪い計5得点。
中央学院大の先発は今大会初登板の左腕・田辺樹大投手(4年)だったが、140km/h前後のストレートとキレの良いスライダーで、長澤壮徒外野手(4年)の本塁打のみの7回3安打1失点に抑えた。
8回からはリーグ戦中から抑えを務めてきた臼井浩投手(4年)が無失点に抑え、中央学院大が5対1と快勝。
一方、上武大はこれまでの粘り強さが影を潜め、2年続けての準決勝敗退。侍ジャパン大学代表候補に選出されている吉田高彰捕手(2年)は肩を落としながらも「(17日から始まる選考合宿では)凄い選手たちばかりの中で自分の持ち味を出したい。スローイングは誰にも負けたくありません」と抱負を語った。
12日の13時から明治神宮野球場で行われる決勝戦は、中京学院大(東海地区学生野球連盟)と中央学院大(千葉県大学野球連盟)のどちらが勝っても連盟勢初優勝となる新鮮な組み合わせとなった。
第40回 日米大学野球選手権大会
大会概要
出場選手
全日本大学野球連盟 公式サイト(外部サイト)
大会結果
第1戦 7月12日(火) 日本 2 - 1 アメリカ
第2戦 7月13日(水) アメリカ 0 - 1 日本
第3戦 7月15日(金) 日本 0 - 1 アメリカ
第4戦 7月16日(土) アメリカ 10 - 2 日本
第5戦 7月17日(日) 日本 5x - 4 アメリカ
大会期間
2016年7月12日~17日(※予備日7月18日)
会場
7月12日(火)、13日(水)ハードオフエコスタジアム新潟(新潟)
7月15日(金)明治神宮野球場(東京)
7月16日(土)、17日(日)草薙球場(静岡)
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