11月16日(木)、侍ジャパン・稲葉篤紀監督の初陣となる「ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017」が東京ドームで開幕。稲葉監督が「最後にチームの結束力が出た試合でした」と興奮冷めやらぬ口調で答えたように、韓国との大激戦を8対7のサヨナラ勝ちで制した。
先制に成功も、4回に一挙4失点
東京五輪でも活躍が期待される女子バスケットボール日本代表の中心選手・渡嘉敷来夢さん(JX-ENEOSサンフラワーズ)の力強い始球式で始まった試合は、まず中盤に動いた。
3回に四球で出た源田壮亮内野手(埼玉西武ライオンズ)が近藤健介捕手(指名打者で出場/北海道日本ハムファイターズ)の内野安打の間に俊足を飛ばして三塁を狙うと、これを韓国の朴珉宇内野手(NCダイノス)が悪送球し、源田が本塁に生還。貴重な先制点を奪った。
だが、4回に先発の薮田和樹投手(広島東洋カープ)が韓国打線に捕まる。先頭の4番・金ハソン内野手(ネクセン・ヒーローズ)にレフトスタンドに飛び込むソロ本塁打を浴びて同点を許すと、さらに連打を浴びて無死一、三塁。ここで、河周錫内野手(ハンファ・イーグルス)に犠牲フライを打たれて降板した。代わった近藤大亮投手(オリックス・バファローズ)も2四球でピンチを広げると、李政厚外野手(ネクセン・ヒーローズ)がレフト前に落ちる2点タイムリーを放ち、この回に一挙4点を奪われることとなった。
山川、山﨑が反撃のムード作る
その嫌なムードを払拭したのは4番を任された山川穂高内野手(埼玉西武ライオンズ)だ。6回裏からマウンドに上がった具昌模投手(NCダイノス)から右中間スタンドに飛び込む2ラン本塁打で1点差に詰め寄った。
さらに山川は8回の一塁守備でもバントに猛チャージし、二塁走者を三塁で刺してチームを盛り立てた。また、9回は山﨑康晃投手(横浜DeNAベイスターズ)が3人で抑え、チームに良い流れをもたらした。
すると9回裏、侍ジャパンは金潤東投手(起亜タイガース)の2四球と桑原将志外野手(横浜DeNAベイスターズ)のライト前安打で一死満塁のチャンスを作る。そして、代わった咸徳柱投手(斗山ベアーズ)から京田陽太内野手(中日ドラゴンズ)が押し出しを選び同点に追いついた。
稲葉監督に思いを託された2人が救世主に
両者譲らずに無死一、二塁から始まるタイブレーク方式となった延長10回表。又吉克樹投手(中日ドラゴンズ)が柳志赫内野手(斗山ベアーズ)と河周錫内野手にタイムリーを浴びて3点を失い、これで万事休すかと思われた。
だが、稲葉監督が大会前に「この3試合、左投手でも使うから」と伝えていた上林誠知外野手(福岡ソフトバンクホークス)が、左腕の咸から一死後に劇的な3ランを右中間に運び同点に追いついた。さらに二死後、西川龍馬内野手(広島東洋カープ)が安打を放つと、すかさず二盗に成功。このチャンスで「監督から“お前で決めろ”と言われ、絶対に打とうと思いました」と途中出場の田村龍弘捕手(千葉ロッテマリーンズ)がセンターオーバーの二塁打を放って、逆転サヨナラ勝ちを決めた。
監督・選手コメント
稲葉篤紀監督
「なかなかリードを奪えない苦しい試合でした。選手たちは、日の丸を着けて戦うことがプレッシャーというよりも、むしろ楽しんでいるようで羨ましいくらいでした。みんなで掴んだ1勝です」
山川穂高(埼玉西武ライオンズ)
「心の底から楽しむことができたので、自然と声もよく出ました。ベンチのみんなも枯れるくらい声を出していました。プレッシャーを感じながらも、絶対に勝つことが日の丸を着けてプレーするということです。最後にみんなではしゃぐことができて最高でした」
韓国・宣銅烈監督
「リードを守りきれずに残念です。ただ、選手たちには“良い試合をした”と伝えました。若い選手たちにとって良い経験になったと思います」
ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017
大会期間
2017年11月16日~11月19日
予選
11月16日(木)19:00 日本 8 - 7 韓国
11月17日(金)19:00 韓国 1 - 0 チャイニーズ・タイペイ
11月18日(土)18:30 チャイニーズ・タイペイ 2 - 8 日本
決勝
11月19日(日)18:00 日本 7 - 0 韓国
開催球場
東京ドーム
出場チーム
チャイニーズ・タイペイ代表、韓国代表、日本代表
侍ジャパン選手紹介
2017年11月6日 先発投手編
2017年11月7日 中継ぎ・抑え投手編
2017年11月8日 捕手編
2017年11月9日 内野手編
2017年11月10日 外野手編