「第8回 WBSC 女子野球ワールドカップ」(8月22~31日、米国フロリダ)で6連覇を目指す侍ジャパン女子代表は14日、前日に引き続き、高知県安芸市の安芸市営球場で強化合宿を行った。
今合宿2度目となる紅白戦は1-0で紅組が勝利。配球をしっかり相談しておくように指示を出していた橘田恵監督は、この日出場した8人の投手と4人の捕手を高く評価した。「キャッチャーはピッチャーをいい具合に引き出すことができていた。会話の大切さがわかったと思うし、バッテリーは収穫。日本のピッチャーは世界ナンバーワン。最小失点でいく目安ができた」と6連覇への絶対条件になる投手力について確かな手応えをつかんだ。
一方で、両チーム合わせて8安打に終わった打線に質問が及ぶと、表情を曇らせた。「日本らしさの機動力を生かすには、ランナーを出さないといけない。今日はピッチャーが素晴らしかったが、セーフティーバントを試みるとか球数を投げさせるとか、打てなくても今自分ができることを探して、明日はそれを見せてほしい」と選手に訴えた。
守備では様々なオプションも試みた。外野手登録の小島也弥(IPU環太平洋大)を二塁で先発起用。捕手登録の田端凜々花(折尾愛信高)と英菜々子(日大国際関係学部)を一塁と左翼、緒方佑華(履正社RECTOVENUS)に一塁を守らせた。「本番は選手20人で、10日間で9試合を行う。あらゆるバリエーションを考えて、復数ポジションを守れる選手が3人か4人くらい必要」と指揮官はその狙いを語る。
実際に、この日は全員が無難に新ポジションをこなした。16年大会では、内野手登録ながらすべて外野手として7試合に先発出場した小島は「このために大学でも内野の練習をやらせてもらい、準備はしていました。外野と内野、両方できることを強みにしたいです」とユーティリティープレヤーとしての自覚も十分だ。橘田監督は「小島は高校生の時もセカンドを守っていたし、みんな割といけた。(選考の)悩みが増えた」と明かす。15日の最終日を経て行う35人から20人への絞り込みは、難しい作業になりそうだ。
夜のミーティングでは、木戸克彦ヘッドコーチ(阪神球団本部部長)が選手に30分間の講義を行った。説いたのは、準備の大切さだ。「技術は持っているだけではダメで、発揮しないといけない。野球は間のあるスポーツ。急に攻守が変わらないし、急に打順が回ってくることはない。起こりそうなことを予測して、準備をしたら有利になる」。投手なら走者を置いた場面を想定してイニング間の投球練習でクイックを入れたり、打者ならベンチから相手投手のフォームにタイミングを合わせたり。さらに細かくイメージしやすい場面を交えて、頭を使えばできる準備を伝授した。「細かいことまで丁寧に教えてくださって、助かっている」と橘田監督は感謝する。
昨年11月のトライアウトから女子代表に関わる木戸ヘッドコーチの存在感は、チームの中で日に日に大きくなっている。今合宿では、女子選手に自ら歩み寄り、関西弁で話しかけて、しっかり笑いも取る。ちょっと面白くて優しいお父さんといった立ち位置でいながら、選手に指摘するポイントは鋭い。アップを兼ねた走塁練習では、盗塁のスタートの切り方の練習を取り入れている。この日は猪坂彰宏コーチが投手役を務め、顎を少し下げた2秒後にスタートを切る練習を行った。「顔が落ちて、イチ、ニでドンと投げるピッチャーが結構いるから。そういった癖に気づくと野球がもっと楽しくなる」と木戸ヘッドコーチは意図を説明する。ほかにも、直球と変化球のセット時における右肘と体の開き具合の違いや、つま先の向きなどクイズ形式を交えて、癖を盗むためのチェックポイントを伝授した。
基本的にはバッテリー担当だが、走塁、そして打撃と助言の幅を広げている。「今回の合宿は人選もあるけれど、野球をよく知って帰ってもらうことも目的。伸びしろはあっても、気づかないと、ゼロはなんぼ掛けてもゼロ。打つ、投げる以外にも、興味を持ってもらい、地元に帰って広めてもらいたい」と木戸ヘッドコーチは熱い思いで女子野球の指導にあたる。
プロの協力も得て進む新生女子代表。15日に最後の紅白戦を行い、6連覇に挑む20人が決まる。
第8回 WBSC 女子野球ワールドカップ
大会期間
2018年8月22日~8月31日
オープニングラウンド
8月22日(水)23:00 日本 8 - 0 ドミニカ共和国
8月23日(木)23:00 香港 0 - 23 日本
8月25日(土)7:00 日本 2 - 1 カナダ
8月26日(日)7:00 キューバ 1 - 4 日本
8月27日(月)7:00 日本 5 - 1 オーストラリア
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
スーパーラウンド
8月29日(水)7:00 日本 3 - 0 アメリカ
8月30日(木)2:00 日本 2 - 1 チャイニーズ・タイペイ
8月30日(木)22:00 日本 10 - 0 ベネズエラ
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
決勝
2018年9月1日(土)7:00 日本 6 - 0 チャイニーズ・タイペイ
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
開催地
アメリカ(フロリダ)
出場する国と地域
グループA
アメリカ、ベネズエラ、チャイニーズ・タイペイ、韓国、オランダ、プエルトリコ
グループB
日本、カナダ、オーストラリア、キューバ、香港、ドミニカ共和国