7月23日に開幕する東京オリンピックで3大会ぶりに実施される野球競技。これまで7大会に出場し、熱戦を繰り広げてきた野球日本代表の過去のオリンピックでの戦いを振り返る。最後は、星野仙一監督のもと、金メダル獲得を目指した2008年の北京大会の戦いぶりを紹介する。
※カッコ内の所属は当時
2006年の第1回WBCを王貞治監督のもとで優勝を遂げ、野球日本代表の次なる目標はオリンピックでの金メダル獲得となった。
2008年のオリンピック開催国である中国の出場が決まっていたため、アジア予選では1位のみに出場権が与えられ、2・3位は世界最終予選に回らなければいけないという厳しいものだった。それでも日本はフィリピン、韓国、チャイニーズ・タイペイに3連勝し1位で出場権を獲得した。
また、前回大会であった1球団2人の制限も無くなり、金メダルへの追い風が吹いているように思えた。
しかしオリンピックに向けては、候補選手の怪我や不調が多く、代表選手発表は7月中旬までズレ込むなど順風満帆ではなかった。
オリンピック予選リーグは初戦でキューバに敗れるも、第2戦のチャイニーズ・タイペイ戦は涌井秀章(西武)の好投や阿部慎之助(巨人)の本塁打で6対1と快勝し、第3戦のオランダ戦も杉内俊哉(ソフトバンク)と佐藤隆彦(G.G.佐藤/西武)の本塁打などで6対0と連勝。これで持ち直したかに思えたが、第4戦の韓国戦では後にオリックスやソフトバンクで活躍するイ・デホに本塁打を打たれるなど3対5で敗れ、なかなか波に乗れなかった。
第5戦のカナダ戦は稲葉篤紀(現野球日本代表監督)のソロ本塁打を、成瀬善久(ロッテ)、藤川球児(阪神)、上原浩治(巨人)の継投で守りきり1対0の完封勝ち、続く開催国・中国戦も10対0で大勝。予選リーグ最終戦のアメリカ戦は敗れたものの予選リーグ4位で決勝トーナメントに駒を進めた。
準決勝では韓国と対戦。予選リーグでも手を焼いた左腕のキム・グァンヒョンを打ちあぐねると、同点で迎えた8回裏に岩瀬仁紀(中日)がイ・スンヨプに本塁打を打たれ、2対6で敗戦。アメリカとの3位決定戦でも、慣れない左翼手を務めた佐藤の失策などで波に乗れず、打線も荒木雅博(中日)と青木宣親(ヤクルト)に本塁打は飛び出すが4対8で敗戦。2大会ぶりにメダル無しに終わった。
2021年の東京大会を率いる稲葉監督は2008年に選手として悔しさを味わった。それだけに、「オリンピックの借りはオリンピックで返したい」と常々、口にしてきた。
日本野球界においてオリンピックは、特にプロ選手参加以降、苦闘の歴史と言える。今大会に出場する各国も経験豊富なベテランやNPB在籍者および経験者、将来有望な若手選手らが揃い戦力は充実。また複雑なトーナメント方式の導入やメダルをかけた一発勝負、レギュラーシーズンにはあまりない真夏のデーゲームなど慣れないことや障壁は多いが、それを乗り越えて歓喜に至る姿に期待したい。