7月21日、東京オリンピックの野球競技開幕を28日に控えた野球日本代表・侍ジャパンが強化合宿3日目(非公開)を楽天生命パーク宮城で行った。
田中とともに投手陣を牽引する大野、千賀
チームを引っ張る存在になるのは経験豊富な選手たちだ。国内外での実績が群を抜く田中将大(楽天)はもちろんのこと、この日オンライン取材に応じた大野雄大(中日)、千賀滉大(ソフトバンク)、坂本勇人(巨人)の3選手もチームへの意識は高い。
大野は田中とともに投手陣最年長であり、プレミア12の経験者でもあるだけに「マー君についていくという気持ちは強いですが、やれることをやっていきたいです」と語る。この日の投内連係では大きな声も出してチームを盛り立てた。ブルペンでも44球を投じ「ボールが少し大きいかなと思うくらいで特に問題はありませんでした」と、オリンピック使用球への対応も問題無さそうだ。
左足首の靭帯損傷から復帰し辞退選手の代替として選出された千賀は「こんな状態で選んでいただきましたし、(起用や役割についての)希望は一切ありません。投手陣の雰囲気が良くなるような立ち回りをしていきたいです」と話すように年下の選手の質問を受ける場面も多い。「みんな本当によく考えて野球をやっていて、僕も負けないようにと刺激をもらっています」と充実の様子だ。
投手陣の結束力についてもコミュニケーションを取ることで「こうやって繋がりができて、みんなで盛り上がっていくというのはいいなと思います」と手応えを得ている。
また、ブルペンでは76球を投じ、オリンピック使用球については「軽く感じるので芯を探すのが難しいですね」と印象を語りつつも、「状態の良い部分も修正すべき部分も把握できているので力を出せるよう準備をしていきます」と調整については落ち着きが感じられた。
野手陣で最年長は、田中や大野とも同学年の柳田悠岐(ソフトバンク)と坂本だ。坂本は「もちろん引っ張るという気持ちもありますし、声もどんどんかけていきたい」としながらも「グラウンドに出れば年齢は関係ないと思うので、一人ひとりがチームを良い方向に引っ張るという気持ちでやってほしいです」と語った。
雰囲気についても「みんな、気を遣い合うこともないので良い雰囲気で練習ができています」と合宿3日目ながら徐々に成熟していっているようだ。
ソフトボールからも刺激
この日は、ソフトボール競技がオリンピック全競技の先駆けとして始まり、日本はオーストラリアに8対1の5回コールド勝ち。先発した上野由岐子と交流や面識のある選手も複数おり、それぞれが「刺激を受けた」と口にした。
また、稲葉篤紀監督も「非常にいい形の初戦で、さすがだなと思いました」と感銘を受けるとともに、「無観客の雰囲気だったり、選手同士の声の出し方だったり、そういうことも意識しながら見ていました」と、28日に同じ福島県営あづま球場で行われる開幕戦にもイメージを膨らませた。
この後は、22日の練習をオフにして休養し、23日に練習。24日12時から楽天、25日18時から巨人と『ENEOS侍ジャパン強化試合』を行う予定になっている(強化試合は入場制限を設けた上で有観客開催)。
稲葉篤紀監督コメント
「選手同士でコミュニケーションを取っていますし、動きもみんなシーズン中ということもあって良いですね。(投手陣をブルペンで視察し)それぞれが素晴らしい球を投げていました。千賀投手の時に打席に立たせていただきましたが、非常に力強い球を投げていましたので、投手陣もここまで順調に来ていると思います」
選手コメント
千賀滉大(ソフトバンク)
「自主トレをご一緒していて、上野さんの準備ですとか、日頃からのプロフェッショナルな姿勢を見ていたので、今の僕にも良い刺激になっています。(強化試合では)久しぶりの実戦なので、とにかく自分のボールを投げることを第一に考えていきたいです」
大野雄大(中日)
「ソフトボールの上野投手とは自主トレでご一緒したこともありますし、チームを勝利に導くことや、周囲に安心感を与えるのはさすがだと思いました。(オリンピックでは)とにかくできることを背伸びせず、マウンドで表現していきたいです」
坂本勇人(巨人)
「ソフトボールの結果とニュース映像を見て、勢いがつくだろうなと思いましたし、僕らも勇気をもらいました。僕らもチームが勝つことだけを考え、そのピースの1つになれるように良い準備していきたいです」
岩崎優(阪神)
「オリンピック本番に向けて、状態をどんどん上げていければ良いなと思います。どんな場面で登板するかまだわかりませんが、しっかり結果が出せるように準備したいです。(女子ソフトボールが初戦を勝利して)すごく勇気づけられるので、野球日本代表も頑張りたいと思います。金メダルを獲得できるように、100%の力を出せるようにしっかり準備していきます。」
菊池涼介(広島)
「オリンピックは初めてなので緊張感もありますし、結果を出さなければいけないプレッシャーも感じていますが、まずは自分らしくいられるようにみんなとコミュニケーションを取っていけたらと思います。やれることをしっかりやれば、必ず金メダルを獲れると信じています。」
山田哲人(ヤクルト)
「すごく良い練習ができていますし、身体のキレも出てきたと思います。チーム内ではコミュニケーションも取れていますし、いろんな選手と会話をして一体感が出てきています。(来週のオリンピック初戦では)最後までしっかり集中して、金メダルを獲るためにまずは初戦で良いスタートを切れたらと思います。」