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試合レポート

後藤凌寿の粘りの投球や山田拓也の逆転打などでオーストラリアを下し2連勝

2024年9月8日

 9月8日、「第5回 WBSC U-23ワールドカップ」(15日まで中国・紹興市)のオープニングラウンド第3戦が行われ、侍ジャパンU-23代表はオーストラリアと対戦。試合中盤に逆転し4対1で勝利した。

 大会初戦のプエルトリコ戦を落とし、スーパーラウンド進出へ向け負けられない一戦だったが、相手に先制を許すも試合中盤の猛攻で逆転。また登板した4人の投手が計1失点と好投し、大きな白星を掴んだ。一方のオーストラリアは初敗戦。これでグループAでは日本、オーストラリア、中国、プエルトリコが2勝1敗で並んだ。

 両軍とも初回は三者凡退に終わるも、2回裏、先発の後藤凌寿(トヨタ自動車)は1死から3者連続で単打を許し満塁としてしまう。このピンチに後藤は粘りの投球で続く打者を三振と一塁邪飛に打ち取り無失点で逃れた。
 先制したい侍ジャパンU-23代表は3回表、先頭の吉川海斗(日立製作所)が四球で出塁。1死から山田拓也(東芝)による安打で一、二塁とするも後続が打ち取られ、やはり無得点に終わる。

 試合が動いたのは3回裏、先頭を歩かせた後藤は後続に安打と四球を与え、無死から再び満塁とされると、1死から5番のジョー・スティーブンスに中堅前へのタイムリーを浴び先制を許してしまう。なおもピンチが続くが、直後の打者を併殺に打ち取ってなんとかこの回を最小失点で切り抜けた。

 オーストラリアの先発右腕で、昨秋の「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」でも日本を相手に登板しているキーレン・ホールと2番手のラクラン・ブルックを途中まで打ちあぐね、得点を刻むことができずにいた侍ジャパンU-23代表だが、試合中盤、その打棒に火が付く。
 5回表、先頭の吉川と有馬諒(ENEOS)がともに左翼前への安打で出塁すると、前の打席でも安打を放っていた1番の山田が右翼手超えのタイムリー二塁打を放ち、相手エラーも絡み逆転に成功する。
 さらに今里凌(日本製鉄鹿島)の内野安打と四球で2死満塁にすると、この日遊撃手として先発出場した髙田幸汰(日本生命)が2点タイムリーを放ち、山田と今里が本塁へ生還して4対1とリード。これが最終スコアとなった。

 前の2試合で計8安打となかなか打棒が振るわなかった侍ジャパンU-23代表だが、この日は7安打を記録。山田は2安打1打点1四球とチームを牽引する活躍を見せた。
 チーム唯一3試合連続で安打を記録している山田は「自分の中では結構、完璧だった。(相手投手の)強いまっすぐにさされないようにというイメージで入りました」と5回の適時打の打席を振り返った。

 後藤は球数が増えるなど我慢を強いられる投球となったが、終わってみれば3回3分の1を失点1で乗り切ったことが大きかった。後藤の降板後にマウンドを受け継いだ西村王雅(東芝)と佐藤亜蓮(TDK)も、ともに1安打を許すも安定した投球で得点を許さず。最終回には、プエルトリコ戦で2失点を喫していた林田夢大(西部ガス)がマウンドに上がり、完璧な投球で試合を締めくくった。
 川口朋保監督は、オーストラリアがグループAでは最も打力のある難敵であるという大会前の見立てをしていたようで、それを受けて「直球や変化球、キレのところで後藤に託していた」と話し、「しっかりと通じていたし、良かった」と右腕をねぎらった。

 この日は野手を入れ替え、髙田と吉川を先発ラインナップで起用した川口監督。2人の「目つきが良かった。やってやるぞという気持ちが出ていた」と述べた。髙田は適時打を挙げ、吉川も安打を含め2度出塁するなど、これが奏功した形となった。

 オープニングランドは残り2試合。次戦は日本時間9日20時から、ここまで1勝2敗のコロンビアと対戦する。先発マウンドには松田賢大(バイタルネット)が上がる予定となっている。

監督・選手コメント

川口朋保監督

「先発の後藤が走者を出しながらも最少失点の1点で抑えてくれたことが、一番大きかったと思います。(後藤が連打を浴びたところでマウンドで声をかけた)やはり先制点は許したくなかったので。早いイニングでしたがみんなしっかりと守っているので、チーム全員がいるし1人じゃないからしっかりと投げてくれと、そういう声かけをしました。そこをゼロで抑えてくれたというのは非常に大きかったと思います。3回1失点で継投も考えたのですが、後藤もこれから先を考えた時に4イニングをしっかり投げてほしいなという思いがあって、続投させました」

山田拓也(東芝)

「(3試合連続安打)昨日、一昨日はあまり良くなくて、何とか1本打てたという感じなのですが、今日は打撃練習からいい感じでできていたので、良いところで打てればなと思っていました。合宿から中国に入って自分でも気付かないうちに疲労がたまっていたので、そこのケアと、あとは自分の体のトレーニングの時間を昼に作れたので、フレッシュな状態で打撃ができたというのが大きいかなと思います」

後藤凌寿(トヨタ自動車)

「全試合、負けない気持ちでいますが、1戦目を落としてしまって今日の試合はすごく大事だということで気持ちもしっかり入れて、後ろにも投手がいるので初回から全力で飛ばしていこうという話を(捕手の)有馬としました。(川口監督からは)昨日の夜、ホテルで”後ろに投手はいっぱいいるから初回からガンガン飛ばして、気にせず自分の投球をしてこい”と言われました。この試合でピンチは何回か来るとは予想していたので、その中で最少失点で帰ってこようと試合前から腹をくくって投げました」

髙田幸汰(日本生命)

「ずっとスタメンで出たい気持ちだったのですが、いつか来る時のために準備はしっかりしていたので、あとは結果を出すだけだなと思って試合に入りました。朝食の時に"今日行くぞ"と言われて、そこで心の準備をしました。(5回の適時打について)自分はチャンスが得意で、勝負強いのを売りにしているので、良い場面が来て結果が出たことは良かったと思います。投手が取るかなと思ったのですが、そのまま抜けてくれて良かったです。これからもどんな使われ方をするかわからないですが、1戦、1戦、勝っていくことが大事なので、試合で与えられた役割をしっかりこなせるように準備をしていきたいと思います」

第5回 WBSC U-23ワールドカップ

大会概要 出場選手

大会期間

2024年9月6日~9月15日

オープニングラウンド(グループA)
2024年9月6日(金)20:00 日本 1 - 6 プエルトリコ
2024年9月7日(土)15:30 日本 2 - 0 中国
2024年9月8日(日)20:00 オーストラリア 1 - 4 日本
2024年9月9日(月)20:00 日本 7 - 1 コロンビア
2024年9月10日(火)20:00 イギリス 1 - 4 日本
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)

スーパーラウンド
9月12日(木)20:00 日本 5 - 1 ベネズエラ
9月13日(金)15:30 ニカラグア 1 - 9 日本
9月14日(土)20:00 日本 2 - 1 韓国

決勝
9月15日(日)10:00 プエルトリコ 0 - 5 日本

開催地

中国(紹興市)

出場する国と地域

グループA
日本、オーストラリア、プエルトリコ、コロンビア、イギリス、中国
グループB
韓国、チャイニーズ・タイペイ、ベネズエラ、オランダ、ニカラグア、南アフリカ

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