日本時間10月5日までメキシコ・メリダで行われた「ラグザス presents WBSC U-15野球ワールドカップ2026」。侍ジャパンU-15代表は2大会連続2回目の優勝こそ果たせなかったが3位決定戦で地元・メキシコを8対6で破り3位。銅メダルを獲得した背景には選手たちの心技体での逞しい成長があった。

今大会の指揮をとった大森剛監督がテーマに掲げたのが「野球観を養い人生観を変える」「柔・剛を兼ね備えた日本らしい野球をしよう」「準備・対応力・コンディショニングを大切に」の3点。
海外へ行くこと自体が初めての選手が多く、初めて飛行機に乗るという選手もいた中、メリダまで26時間の長旅や日本とは異なる文化・環境の中でもパフォーマンスを発揮することが求められた。
さらに、国内での直前合宿は台風の影響で1試合もできないどころか室内練習場で2日行えたのみ。ぶっつけ本番で大会に臨むこととなった。
それでも選手たちは躍動した。食事には苦労していたが食べられるものを食べ、金属バットも国内の規格とは異なる低反発バットへの対応も迫られたが、オープニングラウンド初戦の南アフリカ戦と2戦目のドイツ戦では負傷で出遅れていた選手以外全選手が起用され実戦感覚を取り戻した。すると、3戦目のキューバ戦では11対1と圧勝。盗塁も3試合で積極的に仕掛け、今後戦う相手に意識を向けさせた。
4戦目は地元・メキシコに大声援が送られる完全アウェーの中での対戦だったが、シーソーゲームを最後は5対4でサヨナラ勝ち。守備面では無失策、攻撃面では盗塁や全力疾走が相手のミスを誘い、中盤の苦しい状況では4番の関蓮太郎(多摩川ボーイズ)が本塁打を放つなど、まさに「柔と剛を兼ね備えた野球」を展開した。
だが5戦目のドミニカ共和国戦は初回に連続失策から先制を許すと、2回にはアンヘル・モンタスに本塁打を浴び、92マイル(約148キロ)を投じたアラン・フェリックスらから1点しか奪えず。MLB球団との大型契約が目される有望株を前に1対7の完敗を喫した。
ここから、より生きたのが、毎日の練習・試合後に行われたグループワークだ。まずは5人1組になって意見を出し合い、その後全員に対して発表していく形式だ。負けた時こそ、より意見を活発に出し合った。国内では「負けたら終わり」のトーナメント制の大会ばかりだが、今大会は「反省を翌日にすぐ活かせる場」があるため、選手たちはそれを実行に移した。
スーパーラウンドではニカラグアに積極的に足を絡めて打線も繋がり、投手陣も原悠翔(多摩川ボーイズ)と工藤未來(狭山西武ボーイズ)の2安打1失点リレーで11対1の6回コールド勝ち。2戦目はチャイニーズ・タイペイとの激戦を2度の雨天中断にも集中力を切らさず、5対4で競り勝った。
決勝進出のためには勝利しかなかったアメリカ戦は、パワーだけでなくバントやエンドランも仕掛けたアメリカの攻撃や、大会MVPを獲得することになるノア・ヴァーザルの196センチの長身から投げ下ろされる最速90マイル(約144.8キロ)のストレートを中心とした投球の前にねじ伏せられ、1対4で敗れた。
それでも悔し涙を無駄にはせず。意見を出し合って、メキシコとの再戦となった3位決定戦に臨むと、三ツ井蓮(取手リトルシニア)や関が今大会2本目となる本塁打を放つなど8得点。前日の課題となった速球への対応もしてみせた。投手陣では粘る相手に対して、笠松光琉(東北楽天リトルシニア)と日下蓮志(宮城仙台東ボーイズ)が好救援すると、最後は2点差1死満塁のピンチで黒田蒼介(世田谷西リトルシニア)がセカンドゴロを打たせ、今大会何度も好守を見せてきた二塁手・井端巧(多摩川ボーイズ)と遊撃手・三ツ井の好連係で併殺を奪って試合終了。敗戦を糧に逞しくなる姿を再び見せて銅メダルを獲得した。

3位決定戦の試合後のミーティング。大森監督は、大会中盤から加えた「気合いと根性、冷静さを持って戦う」というテーマに触れ、「どの要素もあったと思う」と選手たちを称えた。続けて熱を込めてこう伝えた。
「やっぱり日本の野球って今はデータとかも重視されてきたけど、気持ちとか執念とか、そうしたことも必ずみんなにとって大事なことになる。高校へ行く時、大学へ行く時、プロになってWBCに行く時、外国人選手たちの(勝負どころでの)高い集中力に立ち向かう時に、気合いや根性を持っていながらも冷静さは持っていて欲しい。それが本当の侍魂だと思う」
そして最後は「柔も剛も見せてくれて最後は良い形で終われたと思う。本当にありがとう。みんなお疲れさま」と選手たちを労った。
投打で活躍した成川蒼空(青森山田リトルシニア)は、アメリカ戦で敗れた後に「これからも国際大会で対戦すると思うので生かしていきたいです」と悔しさを滲ませながらも力強く語った。逆境の中でも実力を発揮したプロセスや敗戦を糧に成長したこと、強い精神力で修羅場を乗り切ったこと。今大会で得た様々な貴重な経験を今後の人生に活かしていって欲しい。
選手コメント
関蓮太郎(多摩川ボーイズ)
※主将・正捕手・4番打者として打率.333、2本塁打、11打点で敢闘賞とベストナイン(捕手)を獲得
「賞を獲れると思っていなかったので良かったです。課題にしていた速いストレートを打つことができました。高校野球、プロ野球とレベルアップした中でも力を発揮できるよう、この経験を活かしていきたいです」
日下蓮志(宮城仙台東ボーイズ)
※スーパーラウンド出場チームで同ラウンド最終戦まで最多タイの11奪三振、決勝含めた13奪三振で「最多奪三振」のタイトル獲得
「大会全体通しての投球内容はそんなに良くはなかったですが、しっかり追い込んでからのスライダーで三振を取ることができました。(国際大会で対戦した選手や侍ジャパンの仲間たちは)本当に柔と剛を兼ね備えた選手ばかりでした。ここに来てみて自分よりすごい選手はいっぱいいたし、もっともっとレベルアップしないといけないと思いました。(今後に向けて)日本の中で20人しかできない経験をさせてもらったので、これを無駄にせず、周りに伝えることもそうですし、みんなに置いていかれないように。高校でも頑張ってU-18代表に選ばれたいです」
井端巧(多摩川ボーイズ)
※全9試合で出塁を記録し打率.393、出塁率.541でベストナイン(二塁手)を獲得
「大会を通して十分に成長できたと思いますし、良い景色を目に焼きつけることができました。あんなにスタンドに人が入った中で野球することはありませんでしたし、90マイルを超えるストレートへの対応もできるようになっていきました。(野球観について)やっぱり流れは大事だなと思いましたし、プレーしている人以外が変えられるなと思いました。審判の方とか観客の方とかですね。(今後の目標)一歩ずつ着実に、小さな目標をどんどんクリアして良い選手になれたらいいなと思います」
和田健吾(東海中央ボーイズ)
※全9試合に出場し打率.480、長打率.720、出塁率.606、OPS1.326でベストナイン(外野手)を獲得
「U-12代表から3年間やってきたこと、学んだこともたくさんあったので、その経験をこの大会にぶつけて、ベストナインを獲れたことが嬉しいです。特に打撃で、しっかり振ることとミート力を両立させることを大事にやってきました。(今後に向けて)U-12、U-15と侍ジャパンに選んでいただいたので、それを自分のチームにも伝えて次の世代にも繋げていきたいですし、僕自身も高校でも大学でも代表に選ばれて活躍できるように日々努力していきたいです」

ラグザス presents WBSC U-15野球ワールドカップ2026
大会期間
2026年9月26日~10月5日
オープニングラウンド(グループA)
9月26日(土)1:30 南アフリカ 0 - 16 日本
9月27日(日)7:00 日本 10 - 0 ドイツ
9月28日(月)4:00 キューバ 1 - 11 日本
9月29日(火)10:30 日本 5 - 4 メキシコ
9月30日(水)6:00 日本(延期)ドミニカ共和国
10月1日(木)1:00 日本 1 - 7 ドミニカ共和国
※開始時刻は日本時間、メキシコ(メリダ):時差-15時間
スーパーラウンド
10月2日(金)1:30 日本 11 - 1 ニカラグア
10月3日(土)6:00 チャイニーズ・タイペイ 4 - 5 日本
10月4日(日)6:00 アメリカ 4 - 1 日本
※開始時刻は日本時間、メキシコ(メリダ):時差-15時間
3位決定戦
10月5日(月)2:00 メキシコ 6 - 8 日本
※開始時刻は日本時間、メキシコ(メリダ):時差-15時間
開催地
メキシコ(メリダ)
出場する国と地域
グループA
日本、メキシコ、ドミニカ共和国、キューバ、ドイツ、南アフリカ
グループB
チャイニーズ・タイペイ、アメリカ、ベネズエラ、オーストラリア、ニカラグア、チェコ
























