「YANAGITA」の名を世界に轟かせたのは2014年の日米野球である。一番・右翼で先発した第2戦で適時三塁打を含む3安打4打点、二番・右翼で出場した第4戦でも3安打を放つ大暴れ。全5試合に出場し20打数6安打、4打点、打率.300の活躍が認められMVPに輝いた。攻守走で颯爽とプレーする柳田の姿に、現役メジャーリーガーも驚きを隠せなかった。
代名詞はユニフォームがはち切れそうなフルスイングだが、強肩、俊足を生かした守備範囲、そして走塁でも魅了できる万能プレーヤーである。2015年からは侍ジャパン・小久保裕紀前監督がソフトバンク時代に着けた背番号「9」を継承。同年にヤクルト・山田哲人とともに3割、30本塁打、30盗塁の「トリプルスリー」を達成し、名実ともにスタープレーヤーの仲間入りをした。
2015年3月の強化試合(欧州代表戦)にも招集されており、侍ジャパンの中心選手としての地位を確立したかに思えたのだが……。
同年11月のプレミア12は最終ロースター28人にも入っていたが、シーズン中の故障により辞退。また、翌16年の強化試合(対メキシコ、対オランダ)も右ヒジ関節炎のため辞退。
試練は続いた。昨年のWBCへ向けて復帰を目指してきたものの、右ヒジの回復具合が思わしくなく、侍ジャパン入りは見送られる形となった。全力プレーができない本人の無念は当然のこと、ホークスの先輩でもある小久保前監督にとっても、苦渋の決断であった。
今回は3年ぶりの代表復帰となる。昨年9月、スイングした際に痛めた右わき腹も心配ない模様で、1月の自主トレ(グアム)でも復調ぶりをアピール。キャンプを通じて、1年前とは見違えるほどの順調な調整を続けている。 2月2日には稲葉監督が宮崎のキャンプ地へ視察に訪れ、柳田は代表へかける意気込みを直接、指揮官に伝えている。
6選手が発表された1月23日の記者会見で、稲葉監督は柳田について「ケガもありなかなか代表チームに出られていないなか、彼のフルスイング、身体能力、プレースタイルはお手本になると思います」と、期待大。
指揮官の言葉を受けて、柳田は「代表に選んでいただきうれしいです。チームの一員として、走攻守、全部でしっかり貢献できるように頑張ります。開幕前の大事な時期の実戦なので、貴重な経験として生かし、良い形でシーズン入れるようにしたいと思います」と決意を新たにしている。
2015年の強化試合では、柳田は一番と三番を経験している。今後、稲葉監督がその適性を見極めていく形となる。超攻撃的なトップバッターだけでなく、ポイントゲッターとしても勝負強さを発揮するだけに、指揮官を悩ませる〝うれしい悲鳴〟となるかもしれない。