ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018「日本vsオーストラリア」が3月3日にナゴヤドーム、4日に京セラドーム大阪で開催される。1月23日に東京都内で記者会見が行われ、コーチ陣5人と代表選手が一部発表。投手2人(DeNA・山﨑康晃、ソフトバンク・千賀滉大)、捕手1人(ソフトバンク・甲斐拓也)、内野手1人(広島・菊池涼介、)外野手2人(ソフトバンク・柳田悠岐、DeNA・筒香嘉智)の計6人。このオーストラリア代表戦は、東京オリンピックでの金メダルを見据えたチームの土台作りという重要な位置づけとなる2試合となる。本日より、選出された6選手の日本代表での実績を中心に紹介していく。
稲葉監督の指揮官としての「国際大会デビュー」となった昨年11月のENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップ2017。侍ジャパンはアジア3強を形成するライバルの韓国、チャイニーズ・タイペイを相手に3戦全勝で優勝した。韓国との初戦、そして再び対戦した韓国との決勝のラスト1回を締めたのが山﨑だった。2試合の起用法を見れば、その〝信頼感〟が見て取れる。
韓国との初戦は8回を終えて、3対4。リードされた展開にも関わらず、稲葉監督は6番手として山﨑を惜しみなく投入した。9回表の韓国の攻撃を11球、3人で完璧に抑えると、その裏、相手投手の押し出しで追いつく。タイブレークとなった10回表に3点を奪われるも、決してあきらめない。その裏にソフトバンク・上林誠知の同点3ランと、ロッテ・田村龍弘のサヨナラ打で劇的勝利。チーム一丸の勝利を呼び寄せたのも、守護神・山﨑の好救援によるところが大きかった。
「アジア王者」をかけた韓国との決勝は初戦とは一転として、日本ペース。序盤3イニングこそ両軍ゼロ行進も、中盤以降は侍ジャパンが得点を重ねた。7点をリードした9回、稲葉監督はセーブがつかない場面ではあったが、山﨑を3番手に指名。落ち着いたマウンドさばきでわずか12球、この日も打者3人をパーフェクトに抑え、胴上げ投手となった。
「最後に行かせていただくというのは本当にうれしいこと。監督や投手コーチ、スタッフのみなさんに感謝したいです」
山﨑がストッパーとしての適性を見いだしたのは、大学時代に2度経験した国際舞台である。亜大では主に先発投手として活躍していたが、3年時に選出された日米大学選手権(日本開催)では守護神を任され、4試合6イニング無失点で、優勝に貢献。また、4年時に出場したハーレムベースボールウイーク(オランダ)でも救援で3勝を挙げ、準優勝を遂げている。
プロ入り後はリリーフに専念。1年目からクローザーの大役を担い、新人王を獲得した2015年には、第1回WBSCプレミア12にトップチーム初選出。ドミニカ共和国、アメリカとのグループBの予選リーグではともに3番手として1イニングを3人で片づけ、チームの勝利に貢献。
また、メキシコとの3位決定戦(7回コールド)では3番手としてラスト1イニングを三者凡退に仕留めた。昨年のアジアチャンピオンシップを含めて計5試合、打者15人で、一人の走者も許さないパーフェクト投球を続けている。
山﨑のウイニングショットは亜大時代に習得したツーシーム。真っすぐと同じ腕の振りから、ほぼ同軌道で変化する。強振してくる外国人打者には効果的であり、ほとんどが初見となる国際試合では、さらにその威力を発揮する。マウンド度胸もあり、守護神としての資質のすべてを持ち合わせている。
稲葉監督は1月23日の記者会見で、山﨑をクローザーとしての起用を展望。山﨑は3月3日の初戦にしっかりと照準を合わせてくるだろう。
昨年11月のアジアチャンピオンシップ。「山﨑康晃」がコールされると、東京ドームの観客席は、DeNAの本拠地・横浜スタジアムでもお馴染みの「ジャンプ」で送り出した。今回の強化試合が行われるナゴヤドーム、京セラドーム大阪においても、ファンによる強力な後押しがラスト1イニングを締めるクローザーの勇気となることだろう。