8月26日、東京都の明治神宮野球場で「侍ジャパン壮行試合 高校日本代表 対 大学日本代表」が行われた。国内での最後の実戦となる高校代表は、格上の大学代表と点を取り合うシーソーゲームを展開し5対5で引き分け。
8月30日から韓国・機張(キジャン)で開催される「第29回WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に向けて、充実した内容の試合となった。
両チームの先発はともに今秋のドラフト1位候補に挙がる佐々木朗希(大船渡)と森下暢仁(明治大)。まず森下が高校代表の3番・韮澤雄也(花咲徳栄)をストレートのみで三球三振に抑えるなど評判に違わぬ投球で三者凡退に抑える。
すると佐々木も最速156キロを計測するなど次々と豪速球を投げ込み、130キロ台中盤から後半のスライダーも鋭くキレて、打者3人から2三振を奪った。
試合が動いたのは2回。大学代表の守備のミスを突いて高校代表が先制。そして中盤からは点を取り合う展開となった。
4回に大学代表の村上頌樹(東洋大)から高校代表が石川昂弥(東邦)と遠藤成(東海大相模)の連打でチャンスを作ると、熊田任洋(東邦)のタイムリーで追加点を挙げた。大学代表もその裏、2回からマウンドに上がっていた宮城大弥(興南)の3イニング目をとらえ、牧秀悟(中央大)と佐藤都志也(東洋大)のタイムリー、海野隆司(東海大)のソロ本塁打で3点を奪い逆転に成功した。
高校代表は5回に内間拓馬(亜細亜大)からチャンスを作ると、石川がセンターの頭上を越える打球を放ち、これが逆転の2点タイムリーに。永田裕治監督「合宿初日から万全の状態で来てくれました」と話す頼れる4番がこの日3安打を放つ活躍を見せた。
これで一気に流れが高校代表に傾くかと思われたが、今度は6回に大学代表の4番・牧が西純矢(創志学園)からレフトスタンドへソロ本塁打を放って同点に追いついた。
球場のボルテージが最も上がったのは9回の攻防。先頭の代打・武岡龍世(八戸学院光星)が、大学代表の絶対的守護神・伊藤大海(苫小牧駒澤大)が投じた148キロのストレートを弾き返して二塁打を放つ。続く熊田の犠打で一死三塁とチャンスを広げると、山瀬慎之助(星稜)が2ボール2ストライクからスクイズを決めて勝ち越し。これには永田監督を含むベンチのチームメイトたちが喜びを爆発させた。
だがこのままで終わらないのが日米大学野球を制した大学代表。振り逃げで生まれたチャンスに、主将の篠原涼(筑波大)がセンター前に運ぶタイムリーを放ち同点に追いついた。さらに篠原は盗塁で三塁まで進み、一気にサヨナラ勝ちのチャンスを作る。しかし最後は飯塚脩人(習志野)が見逃し三振を奪って粘り、引き分けに留めた。
試合後には壮行セレモニーが行われ、永田監督と主将の坂下翔馬(智辯学園)はともに「初の世界一を目指します」と力強く抱負を語り、超満員の観衆から大声援が送られた。
監督・選手コメント
高校代表・永田裕治監督
「よく粘りました。この試合を勝ちに行こうと言い続けてきました。あと一歩でしたが、良い試合ができ大学代表の皆さんに感謝しています」
佐々木朗希(大船渡)
「大観衆の中で楽しみながら投げることができました。これからも強いチームとたくさん試合をするので一丸となって戦っていきたいです」
石川昂弥(東邦)
「チャンスでランナーを返すという自分の仕事ができました。追い込まれたら終わりと強気に振っていくことができました」
大学代表・生田勉監督
「去年の壮行試合も驚きましたが、今年もそれ以上に力のある選手がたくさんいて素晴らしいチームです。疲れを取ってベストコンディションでぜひ世界一を獲って欲しいです」
森下暢仁(明治大)
「高校生に力を見せ付けようと思いましたが、2回は力が入り失点してしまいました。高校代表は初球から迷いなく振ってくる印象でした。これを続けていけば、もっともっと結果もついてくると思います」
第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ
大会期間
2019年8月30日~9月8日
オープニングラウンド
2019年8月30日(金)12:00 日本 4 - 2 スペイン
2019年8月31日(土)12:00 南アフリカ 0 - 19 日本
2019年9月1日(日)18:00 日本 16 - 7 アメリカ
2019年9月2日(月)18:00 チャイニーズ・タイペイ 3 - 1 日本
2019年9月3日(火)19:30 日本 5 - 1 パナマ
スーパーラウンド
2019年9月5日(木)18:00 日本 5 - 1 カナダ
2019年9月6日(金)18:00 韓国 5 - 4 日本
2019年9月7日(土)12:30 日本 1 - 4 オーストラリア
決勝・3位決定戦
2019年9月8日
開催地
韓国(機張郡)
出場する国と地域
グループA
韓国、オーストラリア、オランダ、カナダ、ニカラグア、中国
グループB
日本、アメリカ、チャイニーズ・タイペイ、パナマ、南アフリカ、スペイン