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強い結束力で10年ぶりの世界一 東京五輪金メダル獲得へ大きな弾み/第2回 WBSC プレミア12総括

2019年11月18日

 11月18日、「第2回 WBSC プレミア12」での優勝を成し遂げてから一夜明け、侍ジャパンの稲葉篤紀監督が報道陣の取材を受け「みんなが一戦一戦全力で戦った結果です」と選手・スタッフにあらためて感謝の気持ちを表した。侍ジャパントップチームとして2009年のWBC以来、実に10年ぶりの世界一となった要因を振り返りたい。

結束を生んだコミュニケーション

 稲葉監督は就任以来、トップチームの選手たちにはもちろん、アンダー世代の激励の際にも「結束」という言葉を口にしてきた。その中で大事にしてきたのはコミュニケーションだ。これまで選手、コーチとしても侍ジャパンで戦ってきただけに、その重要性は肌で感じていた。

「選手の気持ちはよく分かっているつもりですし、これまでの代表監督の方々も選手と凄くコミュニケーションを取られていました。また小久保裕紀前監督のもとでコーチをさせていただき、立ち振る舞いや選手へのリスペクト、声かけを近くで見ていたことが、今回非常に活かされました」

 悔しい結果となる試合もあった山田哲人(ヤクルト)や坂本勇人(巨人)を我慢強く起用。これまでの姿や会話を通じて「長い期間で不調ということはない。何かのきっかけで必ず良くなるはず」と確信を持って起用し、結果としてスーパーラウンド終盤と決勝戦に1・2番打者として優勝に大きく貢献した。
 また投手陣もペナントレース中とは異なる役割を担った選手にも明確な意図や起用法を伝え、主に8回を任され圧巻の投球をリリーフで見せた山本由伸(オリックス)らが勝利に貢献。追加招集ながら決勝戦の7回を任されたプロ1年目の甲斐野央(ソフトバンク)、8回の山本、最終回は今や絶対的守護神となった山﨑康晃(DeNA)と、「勝利の方程式」も大会を通じて完成した。
 そして、守備の好連係や対戦する投手の情報共有といった部分でもチームとしての成熟が進み、10月21日の招集から長い期間をかけてきたからこその結束力が優勝を呼び込んだ。

若手の台頭、ベテランの献身

 前述した「勝利の方程式」となった3投手、足のスペシャリストとしてオーストラリア戦の勝利に貢献した周東佑京(ソフトバンク)、負ければ優勝が遠のくメキシコ戦で6回1安打1失点の今永昇太(DeNA)ら今大会は20代前半から半ばの選手の台頭も目立った。
 特に4番を任された鈴木誠也(広島)は「良い打者が多いので後ろに繋ぐ意識が好結果となりました」と振り返ったように、全8試合で安打を放ち、打率.444、3本塁打13打点を記録し大会MVPとベストナインを獲得。「自主練習にたくさん付き合ってくれた方もそうですし、監督、コーチの皆さんを含め、たくさんのコミュニケーションを取り、楽しく野球ができました」と感謝の言葉を並べた。
 一方で、大会前からムードメーカーとしての役割も期待されていたベテランの松田宣浩(ソフトバンク)も「本当に呼んで良かった」と稲葉監督は言葉に力がこもった。
「声を出して盛り上げてくれましたし、決勝でスタメンを外して“申し訳ない”と伝えたら“監督、全然大丈夫です!ベンチで盛り上げますから”と言ってくれて。本当に助けられました」
 こうして若手からベテラン、スタッフも含めて一体感を醸成できたこと、その中で五輪にも出場する韓国やメキシコら世界各国のチームと対戦できたことは、来年の東京五輪に向けても非常に大きな弾みになった。
 また、10年ぶりの世界一となっただけに、全選手が初めての経験となり「世界一とはこういうものだよと分かってくれたことは五輪にも繋がってくると思います」と、自身もその経験を持つ稲葉監督はその意義の大きさを語った。

 東京五輪では、虎視眈眈と今大会に敗れた雪辱を狙う韓国とメキシコ、近年急激に力をつけてきたイスラエル、そして激戦必至の予選を勝ち抜いてきた2カ国と戦い、今大会のように楽に勝てる相手は1つも無いことが予想される。
 それだけに今大会で得た多くの収穫は、悲願の金メダル獲得を目指す侍ジャパンの大きな後押しとなるだろう。

第2回 WBSC プレミア12

特設サイト
大会概要 出場選手 放送予定

大会期間

2019年11月2日~11月17日

オープニングラウンド

11月5日(火)19:00 日本 8 - 4 ベネズエラ
11月6日(水)19:00 日本 4 - 0 プエルトリコ
11月7日(木)19:30 チャイニーズ・タイペイ 1 - 8 日本
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)

スーパーラウンド

11月11日(月)19:00 日本 3 - 2 オーストラリア
11月12日(火)19:00 日本 3 - 4 アメリカ
11月13日(水)19:00 日本 3 - 1 メキシコ
11月16日(土)19:00 日本 10 - 8 韓国
※開始時刻は日本時間

決勝

11月17日(日)19:00 日本 5 - 3 韓国
※開始時刻は日本時間

開催地

日本、台湾、韓国、メキシコ

出場する国と地域

グループA
メキシコ、アメリカ、オランダ、ドミニカ共和国

グループB
チャイニーズ・タイペイ、日本、ベネズエラ、プエルトリコ

グループC
韓国、キューバ、オーストラリア、カナダ

ENEOS 侍ジャパンシリーズ2019「日本 vs カナダ」

特設サイト
大会概要 チケット 出場選手 放送予定

試合日程

10月31日(木)19:00 日本 5 - 6 カナダ
11月1日(金)19:00 カナダ 0 - 3 日本

開催球場

沖縄セルラースタジアム那覇

出場チーム

日本、カナダ

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